この記事をまとめると
■真夏の日中の洗車は人だけでなくクルマにもダメージを及ぼす可能性がある
大雨でもクルマは走れるんだからドコに水をかけてもOK……じゃない! 洗車で水をかけてはいけない場所とは
■真夏の洗車は炎天下を避けてボディが熱くない状態で行うしかない
■夏にどうしてもクルマをキレイにしたいならプロに屋内での洗車を頼むのも一案だ
真夏の日中洗車は絶対に「やめるべき」だった
クルマを大事にするがゆえに、年中洗車は欠かせない……という人も多いはず。しかし、真夏の炎天下での洗車は絶対に避けるべきなのである。
その理由はこうだ。炎天下の屋外で洗車をすると、ボディに乗った水がすぐに蒸発し、第一段階として水道水に含まれるカルシウムや塩素、不純物などがボディに残り、水滴がリング状の汚れ、シミを引き起こす。炎天下、ボディが熱い状態で洗車することで、かえってボディにムラムラのシミ、ダメージを付けてしまうのだ。
そしてその症状は、第二段階としてウォータースポットというかなりやっかいなダメージに進行する。ボディに乗った水分、水玉が直射日光を浴び、レンズの働きをして、塗装面の焼き付きを引き起こし、クレーター状の凹となって塗装を浸食。簡単には落とせなくなるのだから怖い。
こうなると、洗車はもちろん、クリーナーなどでも落とすことはできず、プロの領域の研磨作業でないと修復はできない。当然、真夏の日中や雨に降られたあとも、水滴を放置すれば同じことが起こりうるというわけだ。
ちなみに、プロの洗車で水道水ではなく、コストのかかる純水を使っているところがあるのも、水道水に含まれるカルシウムや塩素、不純物をボディに付着させないためなのである。
では、真夏の洗車はどうしたらいいか? 炎天下を避け、気温が上がらず、ボディが熱くない状態で行うしかない。ボディに手を触れてアチチとなればNG。しかも、6~9月は曇りの日でも紫外線は照射されているため、屋外洗車の場合はスピーディな作業、つまりボディに乗った水滴をいち早く除去、拭き上げる必要がある。
1980~90年代の洗車ブームをけん引し、洗車に関する書籍、ビデオ、TV、ラジオ出演のほか、洗車関連メーカーのアドバイザーに20年間携わってきた筆者の経験からすれば、屋外駐車のクルマにはコーティングが不可欠で、理想は水玉のできにくい親水性のコーティングを施し、もちろん洗車するにしても炎天下を避け、早朝や夜の涼しい時間帯に行い、手早く水滴を拭き上げることが重要。
また、天気雨のような、晴れた日の突然の雨のあとは、こだわりすぎかもしれないが、筆者はイオンデポジット、ウォータースポット対策として、可能であれば水滴をやさしく拭き取ることにしている。
真夏の洗車では拭き取り用のクロスが重要な役目を果たす
そこで重要なのが、拭き取り用のクロスだ。吸水性、保水性がよく、水滴を素早く拭き取れる、ボディに優しい上質な合成セーム皮やマイクロファイバークロスを使うこと。
筆者はそれを大きく広げてボディにペタンと乗せ、手前にスルスル引っ張って手早くボディに圧がかからないように水滴を拭き上げるテクニックを用いている。
吸水、保水性の悪い廉価、粗悪なクロスを使うと水滴の除去に時間がかかり、イオンデポジットやウォータースポットを誘発してしまう可能性があるから要注意である。
その際の手順だが、ホコリが乗りやすい上面をまず拭き取ること。つまり、ルーフ→ボンネット→フロントウインドウ→リヤウインドウ→トランク(またはバックドア)、そしてホイール&タイヤ、下まわりを拭き上げるという手順だ。
洗車の拭き上げ用セーム皮、クロスの選び方や部位別の使い分けについては、このWEB CARTOPの筆者の過去記事を参照していただきたい。もちろん、使ったクロスは洗ってキレイにして保管すること。
ところで、今年の夏の暑さは半端ではない。猛暑を超えた酷暑、命の危険が迫りうる暑さである。水のシャワーを浴びる気分で、炎天下の洗車を決行すれば、上記のボディ、塗装面に深刻なダメージを与えるだけでなく、洗っている人自身も熱中症になる可能性大だ。洗車のせいで病院送りでは、シャレにならない。
というわけで、夏の炎天下の屋外洗車は、かえってクルマにも洗う人にもダメージを与えてしまうため、厳禁としたい。そして雨のあとの水滴を残さないことも、愛車を、ボディを、塗装を美しく保つ秘訣であることも覚えておいて欲しい。
夏、お出かけ前の晴れた日中にどうしてもクルマをキレイにしたい、というなら、プロに屋内での洗車を頼むのも一案である。
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