上質で意匠性に優れた内外装 e-POWERの走りは格別
2012年にデビューした二代目「日産ノート」がシリーズ式ハイブリッドのe-POWERを追加し、人気が一気に爆発したことは周知のとおり。17~19年国産コンパクトカー販売台数ナンバー1の座についたほどだ。そして20年に登場した三代目ノートは、ルノー/日産/三菱のアライアンスから生まれた、ルノー・ルーテシアなどと共用のCMF-Bプラットフォームを採用するとともに、エンジンを発電のみに使い、駆動は大出力モーターで行なう100%モーター駆動のe-POWERのみで勝負。その完成度の高さから、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
欧州コンパクトに匹敵する上質さと完成度「日産ノートオーラ」【最新コンパクトカー 車種別解説】
エクステリア
コンパクトカーらしい凝縮感のあるフォルムに、先進的な雰囲気を巧みに表現。「X」系はシャークフィンアンテナを標準装備する。撮影車はセットオプションを装備し、16インチアルミホイールやLEDヘッドランプも装着。最小回転半径は4.9m。ボディサイズは5ナンバーを維持するが、実は先代より全長、ホイールベースともにダウンサイズ。理由は先代モデルの全長が長く見え、運転がしにくそうな印象をユーザーに与えていた反省からだという。BEVのアリアに通じる顔つきエクステリアデザインの上質さもさることながら、インテリアのデザイン性、質感の高さも見どころのひとつ。しかし、先代に対して短くなったボディが影響し、後席の居住スペース=ニースペースはやや減少。身長172cmの筆者のドラポジ基準で先代の270mmに対して現行型は200mmにとどまる(頭上方向はどちらも120mm)。とはいえ、狭さなど感じるはずもない後席居住空間だ。
欧州コンパクトに匹敵する上質さと完成度「日産ノートオーラ」【最新コンパクトカー 車種別解説】「高級なノート」というコンセプトのもと誕生した「日産ノートオーラ」。3ナンバーのワイドボディと細やかな上質感のあるインテリア、そしてオーラ専用のe-POWERの力強さ…motor-fan.jp乗降性
前席後席先代より全高の低いスタイリッシュなプロポーションとなったため、乗り降りする際の頭上の余裕は少し狭まった。それでもなおドア開口部は広い部類に入り、競合他車と比べて乗降性は良好と言えるだろう。ラゲッジスペースは全長、ホイールベース短縮の影響をほぼ受けず、さらに先代に対して幅方向を拡大。使い勝手(容量)が向上し、ベビーカーなどを真横に積むことも可能だ。
インストルメントパネル
メーターパネルと9インチワイドディスプレイを組み合わせた先進的なインターフェースを採用。空調は全車オートエアコンを標準装備する。Nissan Connectナビゲーションは「X 」系にメーカーオプ ションとして設定。日産が電気自動車の新しいカタチと称するe-POWERも第二世代に進化。発電用1.2lエンジンに組み合わされるEM47型駆動用モーターはコンパクト&軽量化を果たすとともに、先代に対して最高出力が約6%上昇の116psに向上。最大トルクが約 10%上昇の280Nmに向上している。バッテリー残量に余裕があると極力、発電をしない(エンジンを始動させない)制御や、路面状態や走行速度によって、タイヤが発するロードノイズが大きくなるとエンジンの発電を積極的に行ないバッテリーを充電する制御も新たに採用。走行面でも先進的だ。
居住性
後席前席前席はオプションの本革シートは背もたれに20mm厚のスラブウレタンを採用し、座り心地を向上。ステアリングにはテレスコ機能も備わり、運転しやすいポジションに調節できる。ニークリアランスは約160mmで、頭 上には約90mmのゆとりがあるなど、クラストップレベルの広さを確保。「X 」系はシートのリクライニングも備わり、楽な姿勢で着座できる。先進性という点では日産自慢のプロパイロットに注目だ。プロパイロットは1.5と呼べるもので、2.0とは違い高精度3Dマップこそコストを理由に使っていないが、GPS、地図データとカメラ&レーダーにより、高速道路上でのカーブ手前減速制御(制限速度まで下げるイメージ)、標識の読み取りによる速度制御まで廉価に可能にしているのだ。
うれしい装備
「X 」系のリヤシートにはカップホルダー付きのセンターアームレストをオプション設定。有料サービスのNissan Connect には車内Wi-Fiも用意されているので、より快適な移動空間となってくれる。Nissan Connectはスマホアプリとの連携機能も充実。アプリで検索した行き先をナビゲーションに送信したり、降車後にドアロックをしたかどうかをスマホで確認することもできる。SPORT、ECO、NORMALから選択できるドライブモードを採用。バッテリーのチャージモードやマナーモードも選択できる。非接触充電対応のスマホを充電するワイヤレスチャージャーをオプション設定。充電中は上のインジケータが点灯する。運転支援機能のプロパイロットにはナビリンク機能を搭載。地図情報からカーブの曲率を読み取り、車速をスムーズに制御。カメラで捉えた後方画像を表示するインテリジェントルームミラーは、「F」を除くグレードにオプション設定。月間登録台数 6248台(21年11月~22年4月平均値)現行型発表 20年11月(グレード追加 21年10月)WLTCモード燃費 29.5 km/l ※「F」
ラゲッジルーム
通常時後列格納時最も広い部分の幅は約1260mmとゆとりがある。後席には6対4分割可倒機構を採用。4WD車はシート格納時のフロアがフラットになる。FF車は販売店オプションのラゲッジアンダーボックスを装着すれば、同じ状態を実現可能。ノートを走らせれば、出足はもちろんモーター走行。そこからも電動車感が強く、クラスを超えた重厚感ある乗り味、加速フィールを示し、極めてスムーズで力強く、そして静か。ボディ剛性も高く、乗り心地はおおむねフラットで快適だ。高速走行、山道走行での安定感もなかなかである。また、ワンペダル機能もずいぶん自然な制御となり、扱いやすく、先代と比較して減速Gによる同乗者の車酔いもしにくくなった印象。日産コネクトナビ、プロパイロットなどコミコミで200万円台から手に入るところも大いに魅力的だ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/142/
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