■順調に進んでいるSUBARUだが…未知数の「鈴鹿」への不安も
「GR86」と「SUBARU BRZ」の「カーボンニュートラル燃料を用いた先行開発車両」の実戦デビューが迫っています。
2022年2月23日にスーパー耐久の公式テストがおこなわれてから約1か月、どちらのチームも着実に準備は進められているようですが、期待と不安でいっぱいだと思います。
そこで両チームの開発責任者(GR:藤原裕也氏/SUBARU:竹内源樹氏)に、開発からテストの総括と開幕戦となる鈴鹿大会への意気込みを聞いてみました。
まずは2月15日の合同テスト(以下シェイクダウン)/2月23日の公式テストで順調にメニューをこなしていた「Team SDA Engineering」の竹内源樹氏です。
――シェイクダウン、公式テストでは順調にテストメニューをこなしているように見えましたが、どうでしたでしょうか?
竹内:どちらもトラブルが出ないか不安ばかりでしたが、想定していたメニューをこなせています。
サスペンションセットも方向性は見えてきましたし、カーボンニュートラル燃料のデータもシッカリ取れています。
――マシンの進化はどうでしょうか?
竹内:GRは結構手が入っていますが、我々は量産車技術の延長線でどこまで対応できるかを試している、探っている状態です。
例えばレースでは当たり前のノウハウも、メーカーとしては「速くなればOK」ではなく「技術として残す」ことが大事なので、全て検証しながら進めています。
――公式テストのベストタイムはGR86の1分53秒454に対して1分55秒19と差が出ている状況です。
竹内:素直に“速い”と思いました。ただ、我々も「(レースマシンとして)どんなドライバーでも乗りやすい」という目標に対して、まだまだ足りていませんので、そこは詰めていきます。ただ、我々には鈴鹿の知見が無いので手探りですね。
――公式テスト後、プライベートでのテストはおこなっているのでしょうか?
竹内:サーキットという意味ではおこないませんが、我々のマシンはSKC(スバル研究実験センター)で製作しているので、テストコースを走らせることはできます。
そのなかでさまざまな確認をおこなっています。すでに公式テストでの課題は確認済みでデータも取っています。サスペンションの仕様も地道に進めています。
――公式テストでは日中はガソリン、夜間はカーボンニュートラル燃料を使用していましたが、性能差をはじめとする課題などは?
竹内:タイムは大きな差もないですし、ドライバーからのフィードバックも良いです。
ただ、ベンチテストでは課題を確認できていますが、リアルでは「課題が出し切れていない」という懸念があります(笑)。
――この辺りはGRとはやり取りは?
竹内:燃料開発は協業で進めている部分なので、お互いの悩みは共有しています。
――それ以外の課題はありますか?
竹内:トランスミッションはトラブルが起きないようにコントロールしていますし、エンジンもどこが限界かを見極めている状態ですね。ただ、開幕戦は5時間耐久、そこまではまだ走っていないので。
――公式テストから見た目の変化などは?
竹内:すでにカラーリングも済んでいるので、フロントウィンドウに貼る大会メインスポンサーENEOSのステッカー(通称ハチマキ)が追加されるくらいで、変更はありません。
――ぶっちゃけ、GRのことは何をどれくらい知っているのでしょうか?
竹内:安全に関する部分は協調領域ですが、それ以外の部分は……。
速さに関する部分は絶対に秘密ではありませんが、GRの藤原さんと常に探り合いです(笑)。
――GRとガチンコで戦うことについて、どのように思われてますか?
竹内:正直チームのなかでも思い悩むことはあります。人材育成が主なのでプロセスを抜きにして勝てばいいものでもありません。ただ、負けるのは悔しいですからね……。
――最後に意気込みをお願いします。
竹内:やはり勝負ですので、忖度なしで挑みたいと思います。
■公式テストでは「1分53秒454(富士)」を記録も…開幕までの不安材料はいかに?
続いて、シェイクダウン、公式テスト共にトラブルが起きてしまった「ORC ROOKIE Racing」のマシン開発をおこなうGRの藤原裕也氏です。
――公式テストはエンジンテストに専念されていましたが、その理由は?
藤原:カーボンニュートラル燃料のエンジンに対する影響を見るためです。
ガソリンとほぼ同等のパフォーマンスを見込んでいますが、耐久性など、レースに向けて確認すべきことが多くありました。
――そんななか、1分53秒454とST-2クラスに匹敵するタイムを記録、これはSUBARUも驚いていました。
藤原:このときはガソリンの量はギリギリ……予選モードで走らせたタイムで、事前のテスト結果から好タイムは予想していましたが、ドライバーが会心の走りをしてくれました。
――夜間走行時にトラブルが起きてしまいましたが、原因は?
藤原:ミッショントラブルで合同テストと同じ部品が壊れました。正直ここが壊れると思っていなかったので、見立てが甘かったな……と。
現在、対策をおこなったトランスミッションの試験の真っ最中です。
――公式テスト後、プライベートでのテストはおこなっているのでしょうか?
藤原:社内テストは1回、おこなっています。
――アジャイルな開発……といっていますが、どのような手順でやっているのでしょうか?
藤原:「いつまでに何を判断するか」という工程表を用いた開発手法は、サイクルこそ短いですが量産車と何も変わりはありません。
ただ、そのサイクルが圧倒的に早い。おのずと仕事のやり方が変わってきています。
――GRは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を柱にしていますが、今回の取り組みで、どのような所が鍛えられていると思いますか?
藤原:メンテナンスのしやすさが、より速く組み付けられるか……など、「レースカーを作る」、「1分1秒を争う」とはどういうことかを含めて、クルマをより深く知るようになったことでしょうね。
――ちなみに足回りのセットアップは、まだできていないわけですよね?
藤原:本来、公式テストの夜間走行でロングランをおこなう予定でしたが、ミッショントラブルで走行出来なかったので、ほぼぶっつけ本番になります。この辺りはドライバーのコメントを聞いてチームと協議中です。
――公式テスト以降の見た目の変化などは?
藤原:すでに発表済みですが、外観はルーキーレーシングのカラーリングが施されているだけでなく、細かなところもアップデートしています。
この辺りはテスト時の写真と見比べて間違い探しをしてみてください(笑)。
――ぶっちゃけ、SUBARUのことは何をどれくらい知っているのでしょうか?
藤原:安全面やカーボンニュートラル燃料に関しては共有していますが、それ以外の部分……とくにパフォーマンスの部分は全く解りません。
ちなみにSUBARUのタイムは予想通りでしたが、「もうここまで来たか!!」という印象です。
ドライバー同士は色々話をしているようですが(笑)。タイミングが合えば、SUBARUの井口選手/山内選手にも是非乗ってもらいたいです。
――スバルとガチンコで戦うことについて、どのように思われてますか?
藤原:テスト後、各担当者も火が付いたようで、刺激的な環境のなかで楽しくやっています。
もちろん「SUBARUには負けない!!」という気持ちに変わりはありません。
――最後に意気込みをお願いします。
藤原:速さと強さを見せることができれば、おのずと結果はついてくると思っています。
※ ※ ※
このように両チーム共にさまざまな課題や悩みを抱えているようですが、決勝のスタートギリギリまで改善の手が止まることはなさそうです。
果たして、開幕戦の鈴鹿ではどのようなドラマが待っているのか。
2022年3月19日-20日、GR/SUBARUの「仲良く喧嘩」のゴングが鈴鹿で鳴りますが、筆者(山本シンヤ)はこのガチンコ勝負を冷静かつ平等に見守りたいと思っています。
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