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EVで雪道を走って大丈夫?安全かつ快適なドライブ旅行を実現してくれたフォルクスワーゲン「ID.4」

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EVで雪道を走って大丈夫?安全かつ快適なドライブ旅行を実現してくれたフォルクスワーゲン「ID.4」

スリークかつスマートなSUVデザインが特徴のID.4。滑らかなボディパネルには意外と雪がつきにくい(落としやすい)ことも新たな発見だった。

サステナブルなモビリティの世界の構築を目指し、カーボンニュートラルに向けた取り組みが著しい自動車業界。その象徴とも言えるEV(電気自動車)を各社が矢継ぎ早にリリースしていることが何よりそれを物語っている。使い勝手のいい実用車を数多くリリースしてきたフォルクスワーゲン(VW)もそのひとつ。このドイツの一大自動車ブランドは、2030年までに車両の生産からリサイクルまでの二酸化炭素排出量を2018年比で40%削減し、2050年までには全モデルをEVとする目標を掲げて、車両の電動化を推し進めている。その一翼を担うのが、昨年日本に導入された新型ピュアEVの「ID.4」である。

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VWはこれまでゴルフやup!をベースとしたEVを販売した実績はあるものの、ID.4はそれらとは違い、新た開発された電動車専用の車台(プラットフォーム)を用いて一から開発された。実用性の高い5ドア・ボディを基本としながらも、そのスタイルは昨今特に人気の高いSUVタイプとして注目を集めている。ならばと、今回は日本で初めての冬を迎えたこの新型EVで雪山を目指してみた。

次世代ピープルズカーはよりフレンドリーに

実際、ID.4を目の当たりにすると意外と大きく感じる。それもそのはず、全長4,585×全幅1,850×全高1,640mmのボディサイズはVWの中核SUVであるティグアン(4,515×1,840×1,675mm、ホイールベース2675mm)よりもわずかに大きい。もっとも、フロントウィンドーがかなり傾斜していることもあり、ティグアンよりもスリークかつスマートな都会派SUVといった印象だ。注目したいのはホイールベースが2,770mmと長く取られているところで、フロント部分の補機類はもとより、モーターを後輪の車軸上にコンパクトに収め(つまりID.4は後輪駆動)、前後オーバーハングを切り詰めてタイヤを限りなく四隅に配置した結果だろう、室内はゆったりと寛げる上質な空間が広がっている。

印象的なのはシンプルかつミニマルなインストルメントパネル周りの仕立てで、ステアリングホイール前には必要な情報のみを表示する見やすいモニターが据えられ、その脇にロータリー式セレクターが備わるだけ。あとはセンターコンソールの大型モニターに機能を集約、その直下にタッチセンサー式の空調コントロール等が配置される。シンプルかつクリーンな仕立てはVWモデルに共通するところだが、センターコンソール部分の収納スペースはドリンクホルダーの配置などが変更できる設計となるほか、アクセラレーターとブレーキのペダルフェイスにオーディオなどで用いられるPLAYとPAUSEのピクトグラムが施されているのが面白い。人に寄り添った仕立てを基本としながらも、ちょっとした遊び心が加えられているところに、新しいVWの息吹を感じる。

落ち着いた振る舞いはVWそのもの

新しさは動き出しても同じことが言えて、キーフォブを持って運転席に座ればスタートの準備が整っており、そこからアクセラレーターを踏み込んでいくとID.4はスルスルっと自然なフィールで歩みを始める。そのパワーの湧出は街中、高速でもドライバーの意のままで、加えて減速エネルギーを充電にあてる回生ブレーキの利きがナチュラルなのもいい。駆動用のリチウムイオンバッテリーを床下に敷き詰めた低重心化と重量増、そしてバッテリー自体を車体の骨格に利用したボディ剛性の高さとも相まって、特に高速巡航では落ち着いた乗り心地も味わえた。

そんな快適ドライブの先にたどり着いた雪道での足取りはというと、決して不安を感じさせない確実性の高いシュアなフットワークだった。ID.4はモーターを後車軸上に配置した、雪道では不利と言われるRRの駆動方式だが、スイスイと雪の峠道を駆け上がっていける。もちろん最新のスタッドレスタイヤの性能に助けられている部分はあるものの、操舵輪、駆動輪ともに路面の状況がステアリングや車体を通してしっかりとドライバーに伝わってくるのがいい。前後重量配分が47:53とバランスよく仕立てられているのも効いているはずで、ドライ路面で感じたバランスの良さとインフォメーションの豊富さが、雪道でもしっかりと生きている印象だ。最低地上高が一般的なハッチバック等よりも多く取られているおかげで、轍の深い雪道でもアンダーボディを擦るようなこともなかった。

充電時間を上手に楽しめる人へ

EVといえばまだ十分とはいえない航続距離に不安を覚えるかたも多いかもしれないが、ID.4は満充電なら実質的に500km超を走り切れる足の長さもあるため、都内から長野の山中までの約200kmの道のりは無充電でクリアできる。もっとも、ドライバー自身が注意しておきたいのは目的地近辺の充電施設の有無と、その環境だ。気温が氷点下になるような極寒の地だとたとえ50kWの出力を誇る急速充電器でも30分で20%程度、距離にして80km分回復できただけだった。これは寒さが大きく影響しているに違いないが、やはりまだこまめな充電を心がけることが得策だといえる。

もっとも、雪道を含んだドライブは疲労がたまりやすいことを考えると、休憩はいつも以上に必要となり、その都度充電すれば心理的不安も解消されるはず。旅のアクセントとしてはもちろん、心と体が十分に休まるのがいい。それも旅の楽しみと捉えられるドライバーなら、季節を問わず豊かなEVライフが送れるだろう。そんな余裕を持って接することのできる大人のドライバーに、ID.4は格好の相棒となってくれるはずである。

補機類やモーターなどのコンポーネンツをコンパクトに収め、タイヤを四隅に配置することで、窮屈さを覚えない広い室内空間を確保している。

インストルメントパネル周りの造形はすっきりとしている。ステアリング前のメーターディスプレイ横に付くのがロータリー式のドライブセレクト。ペダルフェイスにPAUSEとPLAYのマークが見える。

シートはクッションの硬さも適切で、ロングドライブでも疲れることはなかった。冬場はシートヒーターが体を優しく暖めてくれるのがいい。

床下にモーターが配置されているものの、ラゲッジ容量は543~1575ℓと十分実用に足る容量が確保されている。

2023年モデルからは写真のProグレードの1充電あたりの航続距離が618kmにまで引き揚げられた(Liteグレードは435km)。

ご覧のように最低地上高もそれなりに確保されているため、雪道でも安心して走れる。RRという駆動方式の弱点も特に見当たらなかった。

フォルクスワーゲンID.4 Pro
Specification
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,585×1,850×1,640mm
車両重量:2,140kg
最低地上高:160mm
最小回転半径:5.4m
駆動方式:RWD
モーター:永久磁石同期式
最高出力:150kW(204PS)/4,621~8,000rpm
最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0~4,621rpm
WLTC電費:153Wh/km(一充電走行距離:618km)
車両本体価格:6,488,000円
問い合わせ先
フォルクスワーゲン・カスタマーセンター
TEL:0120-993-199

文/桐畑恒治(AQ編集部)

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みんなのコメント

6件
  • 寒くなると航続距離だけでなく充電の性能も落ちるわけね。まだまだヤワだなEVは。
  • でもあなた、
    どんなに煽ったことを並べたところで
    自分で電気自動車なんか買いませんよね。

    どいつもこいつも他人任せなんだよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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