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プラレール号の記録簿 vol.5:プラレール号に乗るうえで気をつけていることは?

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プラレール号の記録簿 vol.5:プラレール号に乗るうえで気をつけていることは?

運営元:外車王SOKEN
著者 :松村 透

なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part5:大人になって改めて気づく…。小さなクルマの魅力とは?]

プラレール号を所有していると「壊れない?」とか「乗るの大変じゃない?」と聞かれることがしばしばあります。



おかげさまで壊れません(細かいところでは気になることもありますが、経年劣化の範囲とか)。理屈っぽい表現をすると「壊すことはあっても壊れることはない」といったところでしょうか。



現代のクルマであれば、ラフな操作や緩慢な運転をしても許容してもらえますが、プラレール号の場合、そうはいかないことがほとんどです。



ドライバーがクルマにあわせる必要があるのです。



それが楽しめる(あるいは興味がある)と感じたら、古いクルマの運転を楽しめるタイプかもしれません。



反対に「めんどくさいなー」と感じたら、「最新のポルシェは最良のポルシェ」の道を歩んだほうがよさそうです。



日々、プラレール号と接するうえで、持ち主なりに気をつけていることがいくつかあります。今回はそれをまとめてみました。



■暖機運転は停止状態ではなく、ゆっくり走りながら

近代および現代のクルマの取扱説明書には「エンジンを始動したらその場で暖機運転をせず、速やかに発進してください」といった内容の記述があります。つまり「暖機運転なんかしなくていいからサッサと走り出しなさい」とメーカー自身が明言しているのです。停止している状態でもエンジンが動いていますし、排気ガスも排出されていますからね・・・。



しかし、50年以上まえに誕生したプラレール号(・・・の元となったクルマ)はそうはいきません。それなりに準備運動、すなわち暖機運転が必要です。これに関してはどうすればいいか、あるとき主治医に聞いてみました。曰く「ゆっくり走りながら各部を暖めていって」とのこと。



プラレール号にはチョークレバーが装備されていて、コールドスタート時には適宜レバーを引き、エンジンがストールしない程度に回転数を高めに設定して、安定したアイドリングの状態を探ります。エンジンが暖まるにつれて油温の針が上昇していくので、走りながら少しずつレバー下げる(元に戻していく)のです。このあたりは感覚の世界。何度も何度も走るうちに「だいたいこんなもんかな(感覚値)」で調整しています。



夏場なら90度、それ以外の時期は80度くらいまで油温が暖まって少し経ったころに高速道路に乗るルートを確立したので、「エンジン始動~高速道路に乗る10km程度の道のり」が実質的に暖機運転の時間といえそうです。



■2週間に1度は乗る

現在は仕事と家のことを優先しているので、なかなかゆっくりとプラレール号に乗る時間(趣味の時間)を捻出できがないのが実情です。ちょっと油断するとあっという間に1ヶ月くらい放置してしまうことにもなりかねません。



そこで、車庫にカレンダーを置いて「いつプラレール号に乗ったか、次はいつ乗ればいいか」がひとめで分かるよう、マーカーでマル印をつけるようにしています。ブルーはプラレール号を動かしたとき、ピンクは給油したときといった具合に、カレンダー上でもすぐに分かるようにしてあります(そうしないとすぐに忘れてしまうので)。



こうしていつの間にかできあがったのが「2週間に1度のペースで、最低でも1時間は乗る」というサイクルです。幸い、自宅から少し走ればインターチェンジがあるので、限られた時間のなかで可能な限り高速道路を走らせてエンジンをまわすようにしています。距離にしてだいたい50km前後、そのうち2/3の行程が高速道路です。



■とにかく渋滞を避ける

現代のクルマのように、猛暑日の渋滞のなかでエアコンを全開にしてもオーバーヒートの兆候すらない・・・というわけにはいきません(そもそも、プラレール号にはクーラーがありません)。



夏場はもちろんのこと、季節を問わず、渋滞に巻き込まれたとたんに油温計の針が上昇していきます。意外とやっかいなのがトンネルのなか。冬場でもトンネルのなかって暑いんですね。ここで渋滞にハマると気が重くなります。



先日、とあるツーリングイベントに参加してきたんですが、集合時間にあわせて自宅を出ると渋滞に巻き込まれる可能性があり、早起きして早朝に自宅を出発。おかげで渋滞を回避することができ、集合場所のPAには1時間半前に到着することができました。そして、集合場所にはすで別のにナローポルシェが到着しており、オーナーさんによると「渋滞に巻き込まれる前に早めに来たよ」とのこと。皆さん、考えることが同じなんですよね。



■できるだけ雨も避ける

クルマは乗ってナンボだと重々承知してはいるのですが・・・防錆処理がされていない時代のクルマだけに、できるだけ雨を避けたいのが本音です。ただ、旧車乗りのなかでもこれは本当に個人差があって、大雨でもまったく気にしないで乗るオーナーさんがいるいっぽうで、雨が降るなら乗らない。出先で雨に降られたら、ホテルなどの屋内駐車場に停めて(もちろん有償で)、自身は電車で帰宅。後日改めて引き取りに行く(雨の心配がない日を選んで)という「ツワモノ」もいます。



このあたりは賛否両論あり「クルマにそこまで気を使ってどうする」といった考えがあるいっぽうで「こうした積み重ねが錆を含めたクルマのコンディション維持に影響する」という意見もあります。筆者の考えはどちらかといえば後者です。それと「エアコンがないので、雨の日に乗るとウィンドウが曇って大変」という問題もあります。



■ご近所と家族への配慮

これ、ものすごく大事です。筆者の家は住宅街にあるため、プラレール号のエンジンを始動する時間帯には気を使います。ご近所さんには「明日の朝、早くに出かけるんで・・・すみません」と事前にお伝えすることもあります。そういえば、以前、家族から「エンジンを掛けた瞬間に目が覚める。うるさい!」と、散々文句をいわれました。



現代のスーパーカーのなかには初爆(エンジンスタートの瞬間)に「ファン!」とものすごい音を立てるクルマがありますが、もしそんなクルマに乗り換えてしまったら・・・プラレール号の比ではありません。間違いなく妻にブチ○されるでしょう。まぁ、増車することはあっても(置き場所は?)、乗り換えることはないので考えるだけ意味がなさそうですね。



■まとめ:これらの苦悩?を楽しめるかどうか

古いクルマゆえ「乗り手がクルマに合わせていく必要」があります。ちょっとラフなクラッチやシフトワークをするだけでクルマが拒絶反応を示します。それを楽しめるか、苦痛に思うかで「最新は最良」を地で行くか、先祖帰りしていくかの見極めができそうです。



仕事を通じて最新の911を運転する機会がありますが、プラレール号に乗っているせいか「何もそこまで乗り手に従順じゃなくていいのに・・・」とすら思えてしまうこともあります。しかし、これこそが技術の進歩であり、「最新のポルシェは最良のポルシェ」たる所以なのでしょう。と同時に、本来の性能の10%も発揮できていないことの裏返しでもあります。



911の本当の姿を知るには、それ相応のドライビングテクニックを持ちあわせていなければならないのは、いつの時代も変わることがなさそうです。



[ライター・撮影/松村透(株式会社キズナノート)]

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