コンパクトなボディに高いオフロード性能を持つディスカバリースポーツ。その新型モデルは、高い多用途性、快適性などに加え安全性能、運転支援機能(ADAS)などあらゆるところがグレードアップした。(Motor Magazine 2020年6月号より)
新世代プラットフォームPTAを採用
ディスカバリースポーツは、質実剛健、実用性重視のランドローバーブランドのエントリーモデル。高い実用性と悪路走破性を備え、もっとも価格が手頃なことでも根強い人気を得ている一台だ。
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そのディスカバリースポーツが2019年11月、20年モデルの受注を開始した。輸入車はイヤーモデル毎に少しずつ改良を加えて完成度を高めていくケースが多いのだが、今回ディスカバリースポーツが受けた年次改良はちょっとレベルが違う。スタイリングデザインこそ大きくは変わっていないものの、中身についてはほとんどフルチェンジと言っていいほど大がかりな変更が行われている。
一番大きなポイントは車体構造の刷新だ。新型レンジローバーイヴォークで世に出た新世代の横置きエンジン用プラットフォームPTA(プレミアム トランスバース アーキテクチャ)に変更されたのである。将来の電動化に備えるという意味合いも大きいに違いないが、PTAは剛性が高い上に、エンジンマウント位置が下がることで低重心化も行えるという。
18年に2L直4のインジニウムに切り替わったエンジンも若干変更、これまでは240ps/340Nmのガソリンターボと、180ps/430Nmのディーゼルターボの2本立てだったが、ガソリンに200ps/320NmのP200を追加。P250と名付けられた高出力版は249ps/365Nmとさらにパワーアップ。なおD180に変更はない。
サイズは全幅が拡幅され、前後のバンパー形状変更や兄貴分のディスカバリーとの共通性を強調した新しいフロントグリル、シグネチャーLEDヘッドライトの採用などフェイスリフトも行われたほか、クラディングパネルをボディ同色化し、スキッドプレート形状も見直してスポーティさを強調したRダイナミックという新しいボディタイプを追加している。
装備面でもテレインレスポンスが「2」に進化。自動緊急ブレーキ、レーンキープアシスト、ボンネットが透明化したように前方直下視界をモニターに映し出すクリアサイトグラウンドビューなどを標準装備、充実化が図られている。
格段に軽くなった身のこなし
今回試したのはダイナミックSED180。つまり外観はスポーティで装備も充実の、ディーゼルエンジン搭載モデルである。走り出してすぐ違いがわかった。以前はややダルなところもあったハンドルの操舵が確実にシャープになっている。オフロード走行を考慮してか、ストロークの豊かなサスペンションは比較的ソフトな味付けで、これが日常域の乗り心地の良さにも繋がっている。
一方、ワインディング路ではこのソフトさが大きめのボディアクションとコーナリング時の位相遅れを生む傾向があったが、20年型のディスカバリースポーツは身のこなしが格段に軽い。ハンドル操作に素直にボディが付いて来る。これこそPTA採用の恩恵だ。
ディーゼルのエンジンフィールは以前と同じだ。アクセルペダルを踏むと一瞬の間を置いた後に430Nmのトルクが湧き上がってくる。試乗車はオプションのサードシートを備えていたため車重が2120kgもあったが、それでも俊敏に加速するのはこの大トルクのおかげ。9速ATとの連携も、より滑らかになった。日常域での静粛性と低振動ぶりは健在。一方で高回転域ではエンジン音が大きくなる傾向にあったが、その辺の静粛性も高まった。
マイナーチェンジのため、インテリアの基本デザインは変わっていないが、エンジン始動と共にせり上がるシフトダイヤルが通常のレバー式に改められていたのは印象的だった。いずれにせよ、改良によりディスカバリースポーツの商品価値がより高まったのは間違いない。(文:石川芳雄)
■ランドローバー ディスカバリースポーツ Rダイナミック SE D180主要諸元
●全長×全幅×全高=4610×1905×1725mm
●ホイールベース=2740mm
●車両重量=2120kg
●エンジン= 直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量=1999cc
●最高出力=180ps/4000rpm
●最大トルク=430Nm/1750-2500rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=9速AT
●車両価格(税込)=660万円
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何故ならこの価格帯でこの走りはヤバいです。