米国GM傘下のブランド「キャデラック」は2021年4月22日、ラージサイズのSUV型電気自動車(EV)『LYRIQ(リリック)』を世界初公開した。9月から全米で受注予約を開始し、2022年前半から販売を開始する予定だという。
日本でも販路を持つキャデラックとあって、日本導入の可能性も高いモデルだと考えられる。この『リリック』とはどういったモデルなのか? また今後キャデラックはどのような電動化戦略を考えているのか? 車両の紹介をしつつ、解説していきたい。
EVに寿命があるけれど 急速充電器に寿命はないのか? 自家用の最良の選択は何か!?
文/桃田健史
写真/GM
【画像ギャラリー】GMがEV市場に本格参入!新型EVキャデラック「リリック」発表で反撃開始だ!!
■GMは旗艦ブランドであるキャデラックよりEVを発表!!
GM(ゼネラルモーターズ)傘下のブランドとして最上級に位置するキャデラックが、ついにEVへ参入した。
EV第一弾となる『リリック』が2021年4月22日、オンライン形式で世界初公開された。北米では2022年前半に2023イヤーモデルとして発売される。
発表された『リリック』。キャデラック初のEVは、キャデラックとしてのアイデンティティを持ちつつ、EVならではの新しさを取り入れた洗練されたデザインとなっている
クロスオーバーSUVに属するリリックは、デザインテイストとして「XT4」「XT5」「XT6」そして「エスカレード」へと続くキャデラックSUVとの共通項を持ちながらも、いわゆるアーバンコンテンポラリーな雰囲気を目いっぱい表現している。車内では33インチの超大型ディスプレイが目を引く。
クルマの中身がEVであれ何であれ、こうした大胆な内外装デザインに惚れ込んで購入を即決する富裕層がいても不思議ではない。
プレミアムEVといえば、いまやテスラの独壇場となっているだけに、GMお墨付きの本格的EV登場を喜ぶ販売店やユーザーは日本を含めて世界各国に大勢いるだろう。
車内は33インチ! のメーター一体型の大型ディスプレイが目を引く。価格もテスラや日産アリアといったライバルに対して十分な競争力を持つ価格となる模様
驚くのはその価格で、北米仕様は5万8795ドル(1ドル109円換算で641万円)とテスラモデルXの北米価格に比べてもかなりリーズナブルな設定である。ライバルとしては、日産が2021年秋に発売する「アリア」も視野に入ってきそうだ。
それにしても、なぜこのタイミングでキャデラックEV登場なのだろうか?
■意外にもGMのEV投入は早かったが、様子見する間に出遅れてしまった
まずは、GMの量産型EVの歴史を振り返っておきたい。
「EVは規制ありき」、というイメージが長年に渡り、自動車産業界の中に根付いた。その筆頭は、1990年に施行された米カリフォルニア州環境局によるZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制法だ。
筆者は1980年代からアメリカでレース活動や取材活動をしているが、1990年代初頭を振り返ってみると、自動車メーカー各社はZEV規制に振り回されていたように思う。なにせ、規制の内容や方針が数年毎に変更されたり修正されたりで、各メーカーの開発者のその都度、頭を悩ませていた。
当初のZEV法では、かなり早い段階でEVシフトを試みるも、当時のバッテリー技術などでは航続距離も限定的であり、バッテリーの劣化も早いなど技術的な制約が多かった。
そうしたなか、GMはZEV法対応に一番乗りすべく『EV1』を発売するも、さまざまな課題を抱えるなかでGMが車両を回収して廃棄処分するという前代未聞の状況に陥る。これについては民間事業者がドキュメンタリー映画を制作してgmの姿勢を厳しく批評するなど、アメリカで大きな社会問題となり、結果的にgmはこれからしばらくの間、EV事案を封印してきた。
ZEV法はその後、電動化ありきではなく、排気ガス規制という文脈で内燃機関エンジンのクリーン化の流れになっていく。ZEVに対する換算クレジットという考え方が強調されるようになる。
量産型ZEVについてはEVよりも燃料電池車に注目が集まり、gmは当初は独自開発し、その後はホンダとの協業体制に移行していく。
ZEV法におけるEVでは、例えばホンダは『フィットEV』を登場させるも、当時のホンダの伊東孝紳社長はロサンゼルスショーで「あくまでもZEVありきで、しかたなく……」とコメントしている。
この時期、大手自動車メーカーとしてEVを発売していたのは、日産『リーフ』と三菱『i-MiEV』のみで、GMにEVはなくプラグインハイブリッド車の『VOLT』だけだった。
またテスラは『モデルS』登場前で、ラインアップは『ロードスター』だけの小規模ベンチャーに過ぎなかった。
こうして、大手自動車メーカーがEVを「規制ありきの特殊車両」というイメージでEVを遠巻きにするなか、テスラはEV専用メーカーとして着実に成長し、その結果として大手メーカーに先んじて、プレミアムEV市場の王者に君臨してしまった。
1990年のZEV規制法以降、GMは実験的にZEVを投入してきたが、他社の参入を様子見していた状態だった。ライバルが続々とEVを投入していく中、旗艦ブランドでのEV本格投入を決めた
欧州では2016年にフォルクスワーゲングループが事業戦略としてEVシフトを掲げ、さらに2010代後半になり、欧州でのCAFE(企業毎平均燃費)強化の影響を意識して、
欧州メーカーがEVシフトに一気に動いた。
また、世界的にカーボンニュートラルに対する意識が高まり、2020年代に入り投資案件を含めてEVシフトが急激に加速している状況だ。
■GMの反撃は「ハマー」の復活に始まり、「リリック」が続く!!
こうした時代変化に対応するため、GMは2020年に車内の開発体制を大幅に見直し、
EVについては中大型車向けEV専用プラットフォーム「アルティウム」を開発した。床下にリチウムイオン二次電池の大型電池パック、そして前後の車軸にモーターを配置してFWD、RWD、またはAWDの各グレードに振り分ける。
こうした発想は、テスラを含めて近年のEV開発の定石となっているが、gmの場合、VOLTから協業している韓国LG化学との連携強化などにより、リチウムイオン二次電池のコスト低減などを狙う。
アルティウムの量産第一号は、GMC『ハマーEV』となる。
ハマーといえば、2000年代にgmの既存車体やエンジンを活用した「H2」や「H3」が人気となるもリーマンショックの影響で2009年にGMが経営破綻した際、廃止された販売チャネルだ。
今回は、上級なSUV、ピックアップトラック、ミニバンを持つGMCブランドでのひとつのモデルとしてハマーをEVとして復活させた。ハマーの場合、大出力と大型電池パックを強調して、GMのEV本格参入を印象付けている。いわゆる、飛び道具という印象がある。
一方、リリックの場合は、価格は最上グレードでハマーEVのほぼ半額に設定しており、
GMとしてはテスラに対抗してプレミアムEV市場で大きなシェア獲得を狙う、販売台数増を狙う本気モードのEVだといえる。
「リリック」のリアスタイル。2mに迫る全幅と低めの全高により、クーペルックのクロスオーバーSUVとして伸びやかで魅力的なスタイルだ。日本上陸にも期待!
では改めて、リリックのスペックを見ていく。
ボディ寸法は、全長4996×全幅1977×全高1623mm、ホイールベースは3094mm。モーターはひとつ(広報資料には搭載位置の記載はないがRWDと推測)で、最大出力は255kW(340hp)、最大トルクは440Nm。
電池容量は100kWhで、満充電での航続距離は300マイル(約482km)以上。交流充電では19.2kW、また直流での急速充電では190kWに対応し、直流急速充電の場合で例えば10分間で76マイル(122km)走行可能だ。
はたして、リリックはプレミアムEVの新常識となるか? リリック日本上陸に期待が高まる。
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みんなのコメント
どう見てもEV化しなければ、締め出しを食らう事は明白。
ルールが変わったのだから、ルールを作る力の無い国はその中で商売をするしか無い。
でも、アメ車からエンジンがあっという間に無くなっていくとは、ヤッパ農耕民族と違って狩猟民族はやることがドラスティックで早いわ。
かたや自分たちで決めた規制もインチキしないとクリア出来ず、完全にお手上げ状態になった欧州メーカーが、科学的に馬鹿馬鹿しいにも程がある全EV化などというルール根本変更に打って出たということ。
やろうと思えばアメリカ国内だけでも商売可能なGMのEVには、サイズだけでなくどこか余裕すら感じられますねw
反日マスゴミが盛んに日本のEVは遅れているとか煽っていますが、欧州やテスラの高性能EVとやらは、製造時に環境負担が桁違いの大容量バッテリーを無理やり積んでいるだけの、発電インフラ充電インフラ無視したシロモノにすぎません。
去年夏の電力不足時、テスラがオーナーたちに充電を控えるように一斉メールしてたのはコントでしたなw