2023年8月29日、ブリヂストンは10月下旬にオーストラリアで開催される「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」を前に、ソーラーカーの最新技術と未来を語るイベント「ブリヂストン・ソーラーカーサミット2023」を開催。会場では、ブリヂストンのソーラーカー専用タイヤを装着し、BWSCでの3回目の優勝を狙う「Tokai Challenger」が披露された。
ブリヂストンがタイトルスポンサーを務める世界最高峰のソーラーカーレースが10月に開催
ハイドロニューマチック・サスをソーラーカーが搭載、工学院大学が世界大会に挑むマシンを発表[2023.07.11]
オーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの3,000kmをソーラーカーで縦断するBWSC。1987年に第1回が開催され、以降、さまざまな国のチャレンジャーが集う世界最高峰のソーラーカーレースとして回を重ねてきた。2013年の第13回大会からはブリヂストンがタイトルスポンサーを務め、それまでの「ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」からBWSCに名称を変更。その第16回大会がこの10月下旬に開催されるのに先立ち、東京都小平市にある「ブリヂストン・イノベーション・パーク」において、ソーラーカーの最新技術に触れるイベント「ブリヂストン・ソーラーカーサミット2023」が行われた。
2023年のBWSCには20以上の地域から約40もチームが参加を予定している。そのうち、35チームがブリヂストンが開発した最新のソーラーカー用タイヤを装着する。限られた電力で長距離を走行するBWSCでは、低転がり抵抗、耐摩耗性、軽量化を高い次元で実現するタイヤが不可欠だ。
ブリヂストンは最新の商品設計基板技術の「エンライトン」をモータースポーツに初投入し、必要な性能を高めるカスタマイズにより、BWSCに特化したタイヤを生み出すことに成功。さらに、再生資源・再生可能資源の比率を2019年大会の約30%から63%に高め、低炭素なタイヤ輸送を実現するなど、サステナブルなモータースポーツの実現を目指しており、BWSCをそのシンボルとして位置づけている。
一方、ブリヂストンとしてはBWSCを学生と企業が革新的な技術を生み出す“共創の場”とし、実際に後ほど紹介する東海大学はブリヂストン、東レ、東レ・カーボンマジックといった企業をパートナーとすることで輝かしい戦績を残すとともに、優秀な人材を輩出。BWSCが未来のエンジニアの育成に貢献することで、持続可能なモビリティに役立つ技術開発を後押ししているのだ。
2023 Tokai Challengerに期待が高まる理由
日本からは東海大学をはじめ、工学院大学、和歌山大学、名古屋工業大学、呉港高校が2023年大会への参加を表明しており、いずれもブリヂストンタイヤを装着して、上位入賞を狙う。なかでも「Tokai Challenger」を走らせる東海大学ソーラーカーチームは、2009年と2011年に2連覇を達成し、その後も2013年が2位、2015年が3位、2017年が4位、2019年が2位と、常に優勝候補と目されている有力チームだ。
2023年大会ではレギュレーションの変更により、高性能ソーラーパネルの使用が禁止され、シリコン系ソーラーパネルだけが搭載できるようになった。また、4輪仕様のみだったレイアウトが3輪も選べるようになったのも大きな変更だ。一方、最低地上高が70mmから100mmに引き上げられ、アプローチアングルとデパーチャーアングルがそれぞれ10°以上と定められたことから、空力抵抗が増大することが懸念されている。
これに対して東海大学は、4輪と3輪を比較検討した結果、3輪が有利と判断。空気抵抗の増大については、ボディ形状の最適化により2019年モデルとほぼ同レベルの空力特性が得られたという。ソーラーパネルも、以前からシリコン系を用いている東海大学にとっては、高性能ソーラーパネルの使用禁止措置は願ってもないこと。さらに、東レ・カーボンマジックと共同製作したボディはわずか24.6kg、車両重量も140kgと軽量化が図られている。加えて、モーターの高効率化やタイヤの性能向上などにより、2023 Tokai Challengerの実力は、優勝を狙うライバルたちにとって最大の脅威となるに違いない。
東海大学ソーラーチームは、学生16名を含む29名がBWSCに挑む。果たして3度目の勝利を手にすることはできるのか? 注目のスタートは10月22日である。
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