この記事をまとめると
■ポルシェの名車を題材にして世界中のアーティストがひとつの芸術作品を創作している
このポルシェもフェラーリも「自転車」ってマジか! オーストリアの悪ノリを極めたアーティストの正体とは
■なかでも見た目が柔らかい作品を紹介する
■どちらもポルシェから公式にコラボレーションの依頼があるほどの人気を誇っている
まさかの959までアート作品に!
ポルシェ911は誕生から現在に至る歴史が長いためか、はたまた個性的でアイコニックなスタイルからか、さまざまなアート作品のモデルとなってきました。ポスターや絵画といった二次元はもとより、ミニチュアを使い自由闊達なクリエイティブを発揮したり、あるいは実車にアートフルなペイントを施したり枚挙にいとまがないとはこのことでしょう。そんな911のアート作品を見慣れた方々でも、今回ご紹介する作品には思わず頬を緩めるはず。クルマという概念をはるかに超越し、あたかもおばあちゃんの手芸作品かのような佇まいは新鮮であり、またどこか心温まるアートピースに違いありません。
ブラジルのアーティスト、ティアゴ・トールマンはポルシェを題材にとった作品をいくつか発表していて、「The art of dream」というポルシェが主催する展覧会では常連といっていいかもしれません。つまり、ポルシェ公認の911アーティストということ。
彼の作品の特徴は、決してポルシェのディテールを損なうことなく、スタイリングの再解釈、素材感の新たな提案にあるといえるでしょう。初期の作品としてバーゼルの会場に展示された911はコーデュロイやカラーニットのパッチワークで全体を覆った911でした。色とりどりの布、そのテクスチャーが911のメカニカル感を優しくカバーして、しっとりとした置物のような印象を与えてくれます。
911の次にトールマンが選んだのは、なんと959でした。911で選んだ布のパッチワークから、今度はベージュ一色で覆うことにして、フェンダーやリヤパネルには刺繍によるアイキャッチを追加。ロンドンのアパレルメーカー「AIME」とのコラボレーションとされ、ファッションテイスト漂う逸品に仕上がっています。また、布での覆い方も手が込んでいて、ボンネットフードやピラーなどパートごとに異なるテクスチャーを選んだり、センターロックホイールのキャップまで刺繍をかぶせるなど、アート感は果てしのないもの。
そのほか、911のボディを透明なアクリル素材で再構成した作品や、ケイマンの走行シーンをモチーフに選んだ二次元作品などトールマンのポルシェ愛はとどまるところを知らぬかのよう。ぜひ、次回作にもご注目を!
飛ばす気が完全にそがれる暖かそうなポルシェ
そして、ふたり目のアーティストはアメリカのケン・ケレハーをご紹介しましょう。彫刻家としても知られる彼もまたトールマン同様にポルシェ愛がバチバチなようです。代表作は粗いゲージのニットで覆った928で、発表と同時にポルシェから公式にコラボレーションのオファーを受けたのだとか。
トールマンのどちらかといえば静的で、おとなしい色使いに比べ、ケレハーはビビッドで躍動感あるテクスチャーが特徴かと。また、ライトやフロントスクリーン、果てはタイヤ&ホイールまでニットで覆った作品はまさに手芸やメルヘンの世界観といっていいでしょう。ケレハーは、この928を皮切りに968、718、そして911カレラやターボまで色鮮やかなニットで覆い、「The art of dream」でも不動の地位を築き上げたとされています。
なお、ニット911の値段は公表されていませんが、彼の彫刻作品のうちドリッピング・ポルシェと名付けられた実車の約12分の1となるオブジェは2万5000ドル(およそ375万円)で販売されています。こちらもユニークな作品として注目を浴びたものですから、ポルシェ愛に満ちた方はぜひチェックしてみてはいかがでしょう。
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