新開発の4.0L V型8気筒と5速AT、Catサス
「センセーショナルな新型XK8へ初試乗!」。1996年10月のAUTOCARの表紙に、そんな見出しが踊った。だが試乗評価を読まずとも、XJSの後継モデルがどんな印象を与えるのか、多くの読者は恐らく想像できただろう。
その時に試乗したジャガーXK8は量産前のプロトタイプで、ダッシュボードやドアパネル、シフトレバーの仕上がりが完璧ではなかった。だが、インテリアの小さな課題を除いて、批判するような部分は殆どなかった。称賛する言葉が続いた。
XK8のクーペは、1996年のスイス・ジュネーブ・モーターショーで発表。コンバーチブルも直後に追加された。
エンジンは、新開発の4.0L V型8気筒。オールアルミ製でツインカムヘッドが載り、最高出力294ps、最大トルク40.0kg-mを発揮した。エンジンの制御システムも新開発で、洗練性が高く、燃費も良好といえた。
トランスミッションは、ZF社製の新しい5速オートマティック。ほぼ感知できない滑らかなシフトアップと、的を得た鋭いシフトダウンに、試乗したスタッフは感銘を受けている。特徴といえるJゲートを滑らせ、2速、3速、4速と選ぶことも、喜びだった。
動力性能はクラストップへ並び、0-100km/h加速は6.6秒。80km/hから112km/hの中間加速は、3.5秒でこなした。
ジャガーは、顧客が望むものを理解していた。オプションのコンピューター・アクティブ・テクノロジー・サスペンション(Cats)には、4モードが用意され、ジャガーらしい快適性も備わった。操縦性も犠牲になっていなかった。
数度のアップデート 価値あるビッグ・ジャガー
1998年に、スーパーチャージャーで過給したXKRが登場。最高出力は375psへ上昇し、0-100km/h加速を1秒短縮した。エッジの効いたサウンドも、大きな魅力になった。
XKRでは、ボンネットにルーバーが切られ、フロントグリルは専用品。サスペンションにチューニングを受け、鋭い走りも与えられていた。
このタイミングで、XK8の5速MTは堅牢なメルセデス・ベンツ製ユニットへ置換。サーボトロニックIIと呼ばれる、パワーステアリングも装備されている。
2002年にビッグマイナーチェンジ。V8エンジンの排気量は4.2Lへ拡大され、最高出力はXK8で304ps、XKRで405psへ上昇。ATは、ZF社製の6速へアップデートされた。
2004年にはスタイリングへ手が加えられ、新しいフロントグリルとリアスポイラーを獲得。アグレッシブな容姿になった。
装備は充実し、エアコンとレザー張りのパワーシート、高音質ステレオなどが標準。スポーツやクラシックなど、複数のトリムグレードを選択できた。アルミホイールやボディカラーは定期的に入れ替わり、限定仕様も複数リリースされた。
ジャガーらしいクラシカルな見た目のXK8だが、購入するなら状態確認は欠かせない。走行距離が少なく、パリッとした印象を残す例なら、間違いはないだろう。
後期型の極上車になると、Fタイプの中古車も狙える予算が必要になる。しかし、そこまで気張らなくても、価値あるビッグ・ジャガーを手に入れられるはず。
新車時代のAUTOCARの評価は
XK8には、これまで体験してきた中でも最高のパワートレインの1つが載っている。4.0L V8エンジンと5速ATが融合し、極めて迅速でありながら、高速道路を穏やかにクルージングできる。
これほどシームレスな体験を与えるモデルは、極めて珍しい。そして何より、運転そのものが非常に楽しい。(1996年10月2日)
オーナーの意見を聞いてみる
ピーター・フェアバーン氏
「XKRのコンバーチブルを、15年間ほど所有しています。2000年式ですが、走行距離は約9万km。車検の前に、毎回サビがないか入念に検査してもらいます。リアのサブフレームが錆びることで有名で、交換はかなり高く付くんですよ」
「最近、エンジンの回転が乱れた時は、エアフローメーターが原因でした。ソフトトップの開閉システムからフルードが滲み始めたので、一式交換しました。よくある不具合ですね。燃費は、丁寧に扱えば8.0km/Lくらいは得られます」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
2000年までに製造されたエンジンには、ニカシル合金のシリンダーライナーが用いられていたが、錆びる。それ以降は鋳鉄製のライナーへ交換されている。
4.0Lユニットには、樹脂製のタイミングチェーン・テンショナーが用いられており、破損する場合がある。冷間時の始動で、ガラガラと異音が出ないか確かめたい。
滑らかに回転し、鋭いレスポンスが正常。スロットルセンサーやスロットルボディ、点火コイル、エアフローメーターなどが不調の主な原因。XKRでは、スーパーチャージャー内のベアリングから異音が生じる場合がある。
トランスミッション
5速のZF社製ユニットは密閉式だが、フルード交換は必至。ただし作業は簡単ではなく、専門家へ依頼する必要がある。ギアが抜けたり滑るような場合は、フィルターの詰まりが原因かもしれない。
サスペンションとステアリング
サスペンションのブッシュ類は、寿命を迎えていて不思議ではない。乗り心地が安定しなかったり、タイヤの偏摩耗が酷い場合や、足まわりからコツコツと音が出るなら、交換時期のサイン。
オプションのCatsシステムは、制御ワイヤーの摩耗や、ダンパーからのフルード漏れが起きがち。2000年式以前のモデルでは、ステアリングコラムが劣化しやすい。修理には相当な金額が必要になる。
ボディとインテリア
クリア層の剥がれやバンパーの変形、サイドシルやサブフレームのサビがないか確かめたい。見えない内側で、酷く腐食が進んでいることがある。ヘッドライト・カバーのひび割れにも注意したい。後方視界が悪く、リアバンパーなどには擦り傷が付きがち。
シートのサイドサポートの破れ、ウッドトリムの劣化、電気系統の不調などは定番。カーナビは旧式なので、使えなくても気にする必要はないかも。キーが複数備わることも確認したい。
知っておくべきこと
XK8はXJSをベースにしたという情報もあるが、実際に流用されたのはフロアパンのみ。フロントシート側の空間は広大な一方、リアシート側は子供でも窮屈に感じられるというXK8のパッケージングに、その事実が表れている。
それでも荷室は広い。ゴルフクラブのフルセットを2つ、問題なく搭載できる。
XK8の中古車を探していれば、2006年に発売された、後継モデルのXKも視野に入ってくるだろう。オールアルミ製のボディで90kgも軽量で、ボディはひと回り大きい。4.2L V8エンジンとZF社製の6速ATは、XK8の後期型と共有している。こちらも魅力的だ。
英国ではいくら払うべき?
3000ポンド(約55万円)~5999ポンド(約110万円)
走行距離が10万km以上へ伸びた、初期型のXK8が売られている。個人売買が中心。
6000ポンド(約111万円)~9999ポンド(約184万円)
同じく個人売買で、状態の良いXK8が出始める。XKRが混ざっていることも。
1万ポンド(約185万円)~1万3999ポンド(約258万円)
走行距離の少ない後期型のXK8が選べるようになる。XKRの選択肢も増える。
1万4000ポンド(約259万円)~1万7499ポンド(約323万円)
特に状態の良いXK8は、この価格帯にある。XKRも望ましい例が多い。
1万7500ポンド(約324万円)以上
極上のXKRをお探しなら、この価格帯まで奮発したい。
英国で掘り出し物を発見
ジャガーXK8 4.2 S ファイナルエディション(英国仕様) 登録:2005年 走行距離:9万3300km 価格:1万3950ポンド(約258万円)
整備記録が一式揃い、丁寧に乗られてきたと思しきクーペ。個人売買としては価格が高め。最終年式の特別仕様なため強気なのかもしれないが、値引き交渉する価値はある。
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みんなのコメント
空気抵抗が少ないフォルムでブン回すと中々走りましたが、中低速のトルクが薄く街中だと少しタルい感じ。
足回りがゴツくスポーツカー的なイメージだが硬めのシートは着座位置が高く、燃料タンクも後席真後ろの高目に位置する為、腰高な印象でワインディングも楽しくは無い…
難しい事は考えず、隣にお姉さんを乗せて旅行に出掛け軽く流して走る、なんて用途がピッタリですかね。
それでも、いまだにXKRは見掛けるのでスーパーチャージャーの過給でトルクが増すと印象も変わるんでしょうね。
(でも…良くミッション壊れないなぁ…)
刺激的なV8が好みな方は、物足りないと思います。
ただ回せばやはりそれなりに速いです。
よく言う「気が付けば結構スピードが出ていた」という表現が合います。
ATとの相性もあり、滑らかでスムーズで上品です。
標準車の18インチの方が乗り心地(路面からの当たり)は優しいです。
写真にある最終の4.2Sや限定車(色んな種類が出ています)の20インチは、やはり街乗りでは突き上げ感が大きいです。
F255/35R20、R295/30R20のサイズなので仕方ないと思います。
ただこれだけのサイズにもかかわらず、古い車体は軋みもしません。
そこは優秀だと思います。
1996年から2005年までに9万台以上生産されましたが、日本には800台ほどしか入ってきていません。
その内XKRは300台にも満たないです。
程度が良い車両があれば中々面白いですよ。