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打倒テスラ! それがタイカンの使命【清水和夫のポルシェに乗らずに死ねるか】

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打倒テスラ! それがタイカンの使命【清水和夫のポルシェに乗らずに死ねるか】

オレの血管を流れるのはガソリンから電気へ

「オレの血管にはガソリンが流れている」と自負してきた。ステアリングを握って47年。人生の半分以上、クルマに魅せられてきた。一度はV型12気筒エンジンのモデルを所有してみたいと思っているが、この環境時代のなか、V12どころかV8も絶滅危惧種になりかけている。時代はハイブリッドからプラグインハイブリッド(PHV)、バッテリーEV(BEV)へと移行し、将来は水素を燃料とする燃料電池車のロードマップも見えてきた。そんな時代の空気に押され、昨今「オレの血管には電気が流れている」と思うようになった。

打倒テスラ! それがタイカンの使命【清水和夫のポルシェに乗らずに死ねるか】

その引き金をひいたのは、BEVのポルシェ タイカンだ。

この過激すぎる加速は打倒テスラのためか?

2019年8月、上海で開催されたタイカンのワークショップ。プレゼンテーション後、タイカンの助手席に乗り、異次元の発進加速を味わった時である。正直に言うと、リアルに気絶しそうだった。ローンチコントロールによる衝撃的な加速状態下で、オレの脳は揺れ動いた。まさにブラックアウト寸前ーーこのままあの世に逝ってしまうのかと思ったほど、過激すぎる加速。必死になって頭を両手で押さえ、脳の衝撃を和らげた。

「こんな強烈な加速性能が必要なのか!?」

BEVといえどもポルシェの名を冠するだけに高性能はマストなのだろうが、エンジニアはニュルブルクリンクのノルトシュライフェを7分40秒くらいで走れると自信満々だった。確かにニュルでのタイムも重要なのだろうが、けして自ら語ることはないものの、もうひとつタイカンには与えられた使命がある。

打倒、テスラ!

思い返してみると、テスラはモデルSをリリースする際に「ポルシェ 911ターボよりも速く、プライスは半分」というセールススローガンを掲げていた。実際、モデルSの0-100km/h加速は2.7秒。これに対してポルシェは心中穏やかではなかったようだが、その加速性能を武器にしてアメリカのシリコンバレーの富裕層の多くをテスラ信者にしてしまった。

ポルシェ初のBEV「タイカン」はテスラ・イーター

タイカンには、EV初の800Vという高電圧が与えられている。この数字に聞き覚えがあるとしたらかなりのポルシェ オタクだが、ル・マン24時間レースで活躍していたポルシェ919(LMP1)と同じ電圧。ポルシェは昔からレースで鍛えた技術を量産車に投入するのが上手なメーカーだ。レースはまさに走る実験室。超高電圧に耐えるモーターやインバーターを耐久レースで鍛え量産に採用した、そのファーストモデルが“Turbo S”と命名されたタイカンであり、テスラ・イーターなのだ。

一方のテスラは、モデル3という安価なモデルを市販し好調な販売を続けている。先日モデル3の運動性能をテストしたのだが、モデル3は速さに加えハンドリングと乗り心地の良さも光っていた。技術的にはモデルSやモデルXと同じように思えるが、実はクルマの基本骨格のひとつである前後のサブフレームをアルミニウム製からスチール製に変更している。

衝突安全テストや実際の事故調査から、前後のサブフレームを頑丈なスチール製としたのだ。サブフレームは乗員を守るだけではなく、衝撃に弱いリチウムイオンのバッテリーを保護する役目も担っており、このサブフレームは日本のFテックが製造。テスラもEVの熾烈な戦いのために、速さ以外の価値を提供し次のステップを踏み出している。

一日の長があるテスラに対しタイカンは・・・

ポルシェも負けていられない状況だが、EVビジネスで利益を得るには速さだけのタイカンでは難しいだろう。次の戦略が必要だ。バッテリーは金食い虫なので、EVは売るほど赤字というメーカーもあるのが現状だが、ポルシェはVWグループの強みを活かして、ブランドを超えてEVのプラットフォームを共有(アウディ R8 GT e-tronは2020年度にアンベールされると思うが、アウディで最速のスポーツモデルになることは間違いない)。成功の条件は整っている。

タイカンは“速さ”に貢献する“J1”と呼ばれるプラットフォームを採用し、4ドアモデルでありながら911ターボ並の加速性能を武器とするが、今後プラスアルファの付加価値が求められるだろう。その真価を問われるのが、本命だと言われているPPe(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)というプラットフォームでつくられるEV(2022年頃に登場か!?)である。これはEV専用のプラットフォームで、その頭出しは2022年頃のポルシェ マカンのEV仕様になるだろう。

タイカンのエンジニアは「911が最後のエンジン車になるかもしれない」と言っていたが、その911のような魅力をEVモデルに与えることができるのか。EVとしての性能だけではなく、クルマとしていかにセクシーか。いつの時代にも当てはまるが、それが重要になってくるはずだ。

TEXT/清水和夫(Kazuo SHIMIZU)

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