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【ヒットの法則369】BMW5シリーズ(E60)はフェイスリフトで次世代に向けた見事な進化を遂げていた

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【ヒットの法則369】BMW5シリーズ(E60)はフェイスリフトで次世代に向けた見事な進化を遂げていた

2007年、BMW5シリーズがフェイスリフトされて日本に上陸した。内外装や装備の変更を中心とした目立つものではなかったが実は中身は大幅に進化していた。Motor Magazine誌ではさっそく525i(セダン)と530xiツーリングの2台を連れ出し、1000kmにおよぶロングランテストやサーキットでの限界テストを行い、その進化ぶりを確認した。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年10月号より)

見た目の変化は小さいが中身の進化は大きい
BMW5シリーズは2003年夏に日本でデビューしているので4年目のマイナーチェンジとなる。今回は525i(セダン)と530xiツーリング(ワゴン)をテストに用意したが、1シリーズのマイナーチェンジと同様、見た目の変化は小さいが中身の進化は大きいようだ。

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525iを運転してすぐに気づいたのはアクティブステアリングのプログラムが変わったことだ。アクティブステアリングの本来の目的は、左右でミューが違う路面でABSが作動するようなブレーキをかけてクルマが高ミューの方へハンドルが取られた時や、急激なレーンチェンジなどでリアが滑り出しそうになった時に、自動的にカウンターステアを当てるというものだ。

違いを感じたのは通常使うバリアブルギアレシオのところだ。これまでのように直進から小さく切った時にノーズがピクピク動くことはなくなり、小舵角でのシャープさがちょうどよくなった。もちろん切り込んでいけばシャープに動いてくれるから便利さはそのままだが、慣れを要するところが姿を消した。熟成されたということだ。

M5と530xiツーリングにはアクティブステアリングは装着されない。それはM5はドライビングカーゆえにドライバーの操作に委ねようということであり、530xiツーリングの場合はアクティブステアリングの本来の目的である安定性の確保はインテリジェントなフルタイム4WDがやってくれるからだろう。

525iに乗ると直列6気筒2.5Lでパワーは十分かと思うが、530xiツーリングに乗ると加速感の気持ちよさ、スピードの伸びの良さに惹かれるものがある。3Lエンジンはこれまでより14psパワーアップしているが、それが効いているのだろうか。

525iのパワーではサスペンションの方が勝っていて、サーキットを走っても常に安定感が高かった。一方の530xiツーリングのエンジンパワーは大きいが、賢いフルタイム4WDの制御によって滑り出しにくいという印象だ。

530xiツーリングは40:60というトルク配分を基本に、ターンインのときには0:100になり、リアが滑ってしまった時には1000分の数秒という速さでセンターデフをロックして駆動力を前に移して、走り味を損なわず安定性と駆動力を高めている。

ところでフルタイム4WDの5シリーズが正規に日本に輸入されたのは、数は少ないがアルピナB10 3.0アルラッドが最初で、今回の530xiツーリングが2モデル目となる。先代も先々代もドイツ本国ではフルタイム4WDをラインアップしていたが、BMWジャパンが輸入したのはこのモデルが最初だ。

ひとことでフルタイム4WDと呼ぶものの、xDriveは並みのフルタイム4WDとは違い、相当進化したプログラムが組まれている。これには前後50:50という重量バランス、しっかりしたボディ構造、そして優秀なDSCとの組み合わせの上に成り立っていることも大きな要素となる。

BMWの先進性を感じさせる新しいシフトバイワイヤAT
外観上の変化は大きくないが、それでも確実にスポーティなテイストになったと感じる。バンパー下のエアインテークに横に走るトリムバーが横幅の広さと踏ん張り感を強調し、ヘッドライトやウインカーにクリアガラスを採用したことで若々しくなった。リアのコンビネーションランプにもクリアガラスを採用し、さらにLEDを使ってデザインを一新した。

インテリアは見た目と手触りの品質感が増した。高級パールグロスクロームの採用、操作性の向上と手触りの良さを狙ったスイッチ類のラバーフィニッシュ化は誰にでもわかる高級化だ。ドアアームレスト、ドアパネル、センターコンソールに施されたパッドも高品質のイメージを与えている。

新しい5シリーズで何よりも先進性を感じるのはシフトバイワイヤATになったことだ。新型X5と同じタイプの電子式になったのだ。手首のスナップだけでシフト操作できるだけでなく、それを電気信号で伝えるので反応時間も短くなっている。

もう少し電子式セレクターレバーの扱い方を説明しよう。ブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押せばエンジンがかかる。走り出す時はセレクターレバーの横の黒い(ロック解除)ボタンを押しながら手前に引くとDレンジに入る。車庫入れなどでバックする時は、そのままロック解除ボタンを押しながらセレクターレバーを前方に押す。基本構造はこれまでと同じようにステップトロニックのATだから、Dレンジから左に倒すとスポーツモードになり、エンジン回転が上がる。そこからセレクターレバーを前(−)か後ろ(+)に動かすとそのままマニュアルモード固定になる。ここはこれまでのセレクターレバーの動きと基本的には同じだ。

違うのは止めるときだ。スタート/ストップボタンを押してエンジンを止めると自動的にPレンジに入る。スポーツモードやマニュアルモードに入っている時にはセレクターレバーは左側に倒れているが、エンジンを止めると自動的に右のホームポジションに戻ってくる。つまりエンジンを止める前にわざわざPレンジに入れる操作をしなくても自動的にやってくれるのだ。エンジンをかけたままPレンジに入れる場合は、セレクターレバーの頭の黒いボタンを押せばいい。

走行式洗車機を使う場合など、エンジンを止めてNレンジに入れたい時は、Nレンジにしてからエンジンを止める。コンフォートアクセスが全車標準装備になったので普段はスロットにリモートコントロールキーを挿さないで走ることが多くなるかもしれないが、エンジンを止めてNレンジにするためにはリモートコントロールキーを挿しておく必要がある。スロットから抜くとすぐにPレンジに入る。また挿ておいても30分経過するとPレンジに入るプログラムになっている。

マニュアルシフトする時はセレクターレバーを左に倒してから前後に動かすが、右ハンドルの場合、レバーが遠くなり扱いにくい。こうなるとハンドルに付くパドルシフトが欲しくなる。

iDriveの弱点を克服し、さらに機能と利便性を追求
5シリーズにはiDriveとナビが標準装備されているので、全車にプログラマブルボタン(8個のダイレクト選択ボタン)が付いた。これはあらかじめセットしておけば、走行中でも一発で使える便利なボタンだ。セットできるのはナビの目的地、AVのAM/FMラジオ、MD、CD、CDチェンジャー、そして電話番号。

ナビの目的地をセットする場合、カーソルを合わせておいてプログラマブルボタンを2秒以上長押しすればいい。そうすれば走行中でもそのボタンを一回押すだけで目的地設定ができ案内が始まる。電話も同じように電話番号を表示させておいてボタンを長押しすることでセットできる。セットしたボタンを押せば自動的に電話がかかる。ボクがセットしたのは1620kHzの交通情報だ。高速道路でも一発で聞くことができるようになった。

室内で変わったところで目立つのはエアコンのコントロールパネルだ。MAXのスイッチが付き、猛暑の中とても有効だった。中央の風量コントロールダイヤルを押すとAUTOになる。左右独立の温度設定だけすれば、吹き出し口も風量も自動調整になる。iDriveを使ってAUTOの時の吹き出し口の風量を選ぶこともできる。

これまであったエアコンのコントロールパネルからRESTボタンが消えてしまった。しかし、これまでと同じように冬には余熱暖房することができる。エンジンを止めてから15分以内に風量コントロールダイヤルを回せば、外気温25度以下、クーラント温度が高く、バッテリーの電圧が規定まであるという条件の下で、ヒーターが30分程度作動する。

530xiツーリングにはバックドアを電動で開閉することができるオートマチックテールゲートオペレーションがオプション装着されていたが、どの高さまで開けるかをiDriveで調整することもできる。

装備を大幅に充実させてクルマとしての魅力をアップ
今回のマイナーチェンジで注目すべき点は装備品のグレードアップだ。これまでオプションだった多くのものが標準装備になった。その中のひとつであるコンフォートアクセスは、リモートコントロールキーを上着のポケットに入れたままで、ドアのロック/アンロック、エンジンスタートが可能というもの。ロックしているドアを開けるには運転席以外でもアウタードアハンドルを握るとアンロックになる。ロックするには運転席ならキーホールの端に指を当てるだけ。コンフォートオープン/クローズと呼ぶ窓の開け閉めもできる。

全車標準装備になったアダプティブヘッドライトや530iのレザーシートもグレードアップされたもののひとつだ。アダプティブヘッドライトには55WのH3で照らすコーナリングライトも加わった。

細かいところの変更もある。クルーズコントロールの速度指示はスピードメータ内に表示されるが、オンのときには緑色に、リジューム可能な場合には白色になる。また、ハンドルが振動するレーンデパーチャーウォーニングも眠気覚ましやわき見運転の警告にはよいものだし、遠赤外線技術を使った温度感知式のナイトビジョンは照明の少ない夜道などでも早めに認識することができるのでとても有効だ。

新型5シリーズは装備を充実させながら、価格上昇は低く抑えているのが大きなポイントで、熟成した分も含めていよいよ旬の時期を迎えたようだ。(文:こもだきよし/Motor Magazine 2007年10月号より)



BMW 530xi ツーリング 主要諸元
●全長×全幅×全高:4855×1845×1490mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1860kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:272ps/6650rpm
●最大トルク:315Nm/2750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:818万円(2007年)

BMW 525i 主要諸元
●全長×全幅×全高:4855×1845×1470mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1620kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2496cc
●最高出力:218ps/6500rpm
●最大トルク:250Nm/2750-4250rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:633万円(2007年)

[ アルバム : E60 BMW5シリーズ 530xiツーリング 525i はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • 乗ってたな~懐かしい!けどこれ出てすぐは猛バッシング受けたんだよな。こんなのBMWじゃない!ってさ
  • 今でも貧民が誇らしげに乗ってるよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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