2015年8月にビッグマイナーチェンジを行なった三菱アウトランダーPHEVは、今回、制御変更を行ない、EV走行優先モードを追加した。また、スマートフォンとの連携が可能なAplle Car PlayとAndoroid Autoにも対応した。さらに上級グレードの「S Edition」を追加して2017年2月9日から発売する。
早速主な改良ポイントをみてみよう。
■EV優先モードPHEVシステムの制御変更により、従来の駆動用バッテリーの電力消費を抑える「バッテリーセーブモード」、充電する「バッテリーチャージモード」に加え、EV走行を優先させ、可能な限りエンジン始動を抑える「EVプライオリティモード」を新たに設定した。
これは高速道路の合流などの加速時に、エンジン始動を遅らせることでこれまでよりEV走行時間が長くなる。また、エンジンそのものの始動性も改良し、従来よりも素早くモーターへ電力供給が可能となり、高速道路での追い越し加速などでのレスポンスが向上している。
さらに、課金制充電器の普及も始まったことから、充電制御も改良し、約80%までの急速充電時間を従来の30分から25分に短縮している。
もともとアウトランダーPHEVはEVモード、シリーズモード、パラレルモードでの走行が可能なモデルであり、エンジン介入の捉え方次第で、EV領域を変更することが可能なわけだ。エンジンは5速相当のギヤ比しか持たず、高速走行時にはエンジン駆動での走行をするものの、市街地ではEVモードかシリーズモードで走行している。
今回の制御変更では、エンジン介入をできるだけ抑えたわけだが、技術的にはもともとのバッテリー・セルの能力を最大限に利用する制御に変更したことで、変更を可能としている。従ってハード部品等の変更はない制御改良だ。
■ボディ剛性の向上と操安性向上
構造用接着剤をボディの要所に塗布することで、ボディ剛性を向上させている。主に、リヤゲート周辺の開口部やリヤサスペンション取付け部付近に接着剤を使用し、効果を上げている。ボディ剛性が向上することにより、乗り心地や操安性にも好影響があり、細部にわたり変更が行なわれている。
ダンパーのバルブ構造の見直しと減衰力の最適化を行ない、操縦安定性の向上と接地性を向上させている。また、リヤのトーコントロールアームのブッシュを変更することで、直進安定性と操舵時のフィードバックを向上させている。
また、車両運動統合制御システムの「S-AWC」では雪道など滑りやすい路面で使うLOCKモード時において、前後モーターの駆動力制御とブレーキによるアクティブヨーコントロール=AYC制御を見なおすことで、より旋回性やハンドル操作に対する応答性の向上をしている。
■予防安全機能=e-Assist
衝突被害軽減ブレーキのセンサーを従来のミリ波レーダーからカメラとレーザーレーダーに変更した。これは人間への対応をより正確に行なうための対応で、衝突回避性能の向上とともに、歩行者検知機能が追加されている。また、従来のミリ波レーダーはそのままに、ACCに使用し、車両逸脱警報システムは警報精度を向上させ、警報タイミングも最適化している。
そして後側方車両検知警報システム、後退時車両検知警報システムを新たに採用し、誤発進抑制機能とセットでメーカーオプションとして設定した。
この後側方車両検知警報システムでは、高速道路など多車線道路走行時に後側方を並走する車両や隣接車線後方から接近してくる車両を検知する。
後退時車両検知警報システムは駐車場から後退して出庫する際、後側方から接近してくる車両や自車後方を横切る車両を検知し、いずれもドアミラーインジケーターと警告音で注意を促す。このシステムでは、一般的にソナー(超音波)を利用するモデルが多い中、アウトランダーでは測距の長いレーダーを使用することで、より予防安全に役立つとしている。
■スマートフォンへの対応
iPhoneに対応するApple CarPlayやAndoroid Autoに対応するスマートフォン連携ディスプレイオーディオ「SDA」を新グレードS Editionに標準装備し、G系3グレードにメーカーオプションとして設定した。
電動パワーパーキングの採用により、「ブレーキホールド」機能を追加。信号待ちや渋滞時にもブレーキペダルを踏み続ける必要がなくなる便利な機能だ。もちろん、アクセルを踏めば自動解除される。
■新グレード追加「S Edition」
接着剤をボディ構造に使用することで、剛性感が高まり全体の高級感が増す改良が加えられたグレードだ。ダンパーにはビルシュタイン製を採用し、接地性を向上させ車両挙動を安定させた、プレミアムでスポーティなグレードとしている。
S Editionのエクステリアはフロントラジエターグリル、アルミホイールをダーククローム調で統一し、Bピラー、Cピラーを光沢のあるブラック、前後バンパー下部のスキッドプレートをボディカラーと同色とすることで、スポーティでプレミアム感を演出している。
ルーフパネルはブラックにした2トーンをS Editionの専用色の3色に設定し、低重心でスポーティな印象を高めている。また、ブラック塗装されたルーフレールをメーカーオプションで選択可能としている。
インテリアでは、ステアリング、メーターフード、センターコンソールアームレスト、ドアアームレスト、本革シートにレッドのステッチを施し、パネル類をシルバーのジオメトリック調で統一することで、上質な居住空間としている。また、ブラックのヘッドライニングと各種トリムで居住空間を引き締め、アクセルおよびブレーキペダルをアルミ製とすることで、いっそうのスポーティさを高めている。
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