■クルマの顔立ちが変わる理由は「売れるため」?
クルマの外観が大幅に変わるタイミングは、一般的にはフルモデルチェンジですが、最近はマイナーチェンジでフロントマスクを刷新する車種が増えました。また、顔立ちの異なる新しいグレードの追加もおこなわれています。
クルマの顔立ちが変わるパターンには、どのようなものがあるのでしょうか。
マイナーチェンジなどで顔立ちを変えるもっとも分かりやすい理由は、デザインが不評で売れ行きも伸びない場合です。
例えば、現行モデルのトヨタ「プリウス」は2015年末に発売され、2016年の登録台数は1か月平均で2万688台でした。
一般的には人気車に分類されるほどの売れ行きで、同年の登録車販売ランキングでも1位になりましたが、2009年に発売された先代プリウスは、2010年に1か月平均で2万6306台も登録されていました。
現行プリウスの売れ行きは先代型を20%以上も下まわっていて、そのため販売が低調と判断されたのです。
そこで現行型で個性を強めたフロントマスクとリアビュー、インパネの色彩を2018年12月のマイナーチェンジで変えることになりました。
このマイナーチェンジでは、不評だったフロントマスクを変更しました。縦長のテールランプも横長に見直したほか、洗面器を連想させた乳白色のインパネトレイもブラックに変更されています。
この効果により、2019年の登録台数は前年に比べて10%伸びました。
同じように、現行型のホンダ「ステップワゴン」は2015年に発売されましたが、やはり売れ行きが伸びません。そこでエアロパーツを装着した「スパーダ」は、2017年のマイナーチェンジでフロントマスクを大幅に変えました。
フロントグリルの形状を目立たせ、LEDヘッドランプも精悍なデザインに改めています。
ちなみに近年のステップワゴンは、新型を発売したときにはフロントマスクの形状が大人しい傾向です。
理由を開発者に尋ねると「ライバル車が目立つデザインだから、ステップワゴンは抑制を利かせて個性的に仕上げました」といいます。その結果、売れ行きが伸び悩み、マイナーチェンジで目立つ形状に変えるのです。これを繰り返しています。
また、高価格ながら販売が好調なLサイズミニバンのトヨタ「アルファード」は、2017年12月のマイナーチェンジでフロントマスクを仮面のようなデザインに変えました。
これにより販売台数がさらに伸び、姉妹車となる「ヴェルファイア」との販売順位が逆転して、いまではアルファードが多く売れています。
アルファードを販売するトヨペット店は全国に1000店舗、ヴェルファイアのネッツトヨタ店は1600店舗です。販売網を考えても、ヴェルファイアが多くて当然ですが、フロントマスクの変更で逆転しました。
いい換えればアルファードとヴェルファイアにとって、フロントマスクはそこまで重要なのです。
このほかトヨタ「シエンタ」も2018年9月にフロントマスクを変更して、2019年に売れ行きを急増させています。
■顔立ちが変わる理由にはメーカーの開発スケジュールの事情も
フロントマスクの変更理由として、メーカーのファミリーフェイス(共通デザインコンセプト)が変わったことも挙げられます。
例えばレクサス「CT200h」は2011年の発売後、2014年にフロントマスクを大きく変えました。レクサスの全車が新しいスピンドルグリル(糸巻状のグリル)を採用することになったので、CT200hもこのデザイン変更に沿って新しい顔立ちになったのです。
ほかにも、三菱「デリカD:5」は2007年に発売された後、2019年にはクリーンディーゼルターボエンジン搭載車のフロントマスクを刷新しました。
いまの三菱車に共通するダイナミックシールドの形状で、ボディパネルが側面からフロントマスクへ回り込むようなデザインです。そしてフロントグリル両側の回り込んだ部分に、LEDヘッドランプを縦方向に配置しています。
デザイン刷新の効果について、三菱の販売店スタッフに聞いたところ、次のようにコメントします。
「もともとデリカD:5は、マイナーチェンジをおこなうと、従来型のお客様が乗り替える傾向が強いです。購入から数年を経ても高い金額で下取りできるため、デリカD:5を何台も乗り継ぐのです。
その意味でフロントマスクを大幅に変えたマイナーチェンジは効果的です。多くのお客様が新型と考えてくださり、乗り替えていただきました」
このほか三菱では、「アウトランダー」や「RVR」も、ダイナミックシールドの考え方に基づいてフロントマスクを変更しています。
また、マツダ「マツダ6」は2012年に3代目「アテンザ」として発売されたモデルですが、2018年の改良でフロントマスクを大幅に変更しました。
これは、いまのマツダ車は「魂動デザイン」というコンセプトに基づいてデザインされていますが、そのコンセプトが新しい魂動デザインへステップアップしたからです。
※ ※ ※
近年はSUVが人気のカテゴリとされています。そこでフロントマスクや外観をSUV風にアレンジしたグレードも増えました。
ホンダ「フリード」は2019年10月にSUV風の「クロスター」を加えています。好調に売れて、いまではフリードのうち全体の約30%をクロスターが占めています。
トヨタ「アクア」は2011年に発売されたモデルですが、2014年にSUV風の「Xアーバン」を設定しました。
このときにはSUVの定番装備とされるフェンダーアーチモール(フェンダーやボディの下側に装着されるブラックの樹脂パーツ)がディーラーオプション扱いで売れ行きが伸び悩みましたが、2017年にはこれを標準装着する「クロスオーバー」を設定しています。
フロントマスクもさらに変更して、ようやくSUVらしくなりました。
※ ※ ※
マイナーチェンジでフロントマスクを大幅に変える背景には、フルモデルチェンジの周期が長期化していることも挙げられます。
前出のモデルの発売年をまとめると、デリカD:5は2007年、CT200hは2011年、マツダ6(旧アテンザ)は2012年となります。
ほかにも長寿モデルは存在し、トヨタのセダン「プレミオ/アリオン」はデリカD:5と同じく2007年、日産の高級ミニバン「エルグランド」は2010年、日産のコンパクトカー「ノート」は2012年という具合です。
このように発売から6年以上を経過すれば、途中で新鮮味が薄れたり、メーカーのファミリーフェイスが変更を受けることもあります。そこでマイナーチェンジにより、フロントマスクのデザインを大きく変えるのです。
新しいプラットフォームを採用して走行安定性を大幅に高めたり、衝突被害軽減ブレーキなどの先進装備を抜本的に進化させるには、フルモデルチェンジをおこなう必要があります。
しかしいまの自動車メーカーは、海外向けの商品開発、将来的な環境技術や自動運転技術などに力を入れる必要もあり、フルモデルチェンジの周期が長引いています。
この状況で新鮮味を保つため、マイナーチェンジでフロントマスクを大きく変えるのです。
つまり顔立ちを大きく変えるマイナーチェンジは、本来ならフルモデルチェンジをしたいのに、それができないメーカーの苦悩の表われともいえるでしょう。
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