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VWの新型SUV「Tロック」と「Tクロス」、乗り比べてわかった似て非なる個性とは

掲載 更新 21
VWの新型SUV「Tロック」と「Tクロス」、乗り比べてわかった似て非なる個性とは

■TロックのほうがTクロスよりもひと回り大きいボディサイズ

 2019年11月に登場したT-Cross(Tクロス)に次いで、2020年7月に発表されたT-Roc(Tロック)と、SUV攻勢を強めるフォルクスワーゲンから「T」からはじまるネーミングの新型車が相次いで日本に上陸した。

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 この2台がどのように違うのか、気になっている人も少なくないだろう。そこで今回は、新たに登場したTロックとTクロスを乗り比べ、あれこれ検証してみた。

 ちなみに試乗車は、Tロックは価格が453万9000円のスポーティかつ上級装備を満載した「R-Line(Rライン)」、Tクロスは価格が299万円と300万円を切った「1st」と、それぞれをもっとも象徴するグレードだ。

 全長は、Tロックの4240mmに対しTクロスは4115mm、全幅はTロックの1825mmに対しTクロスは1760mmと、ボディサイズはTロックがひとまわり大きい。またホイールベースもTクロスの2550mmに対しTロックは2590mmとやや長く、全高はTロックが1590mm、Tクロスが1580mmとほとんど変わらない。

 ボディ形状がスクエアでオーソドックスなSUVスタイルを持つTクロスに対し、TロックはクーペSUV的デザインなせいか、サイズ感は同じぐらいに見える。

 太いCピラーはフォルクスワーゲンの一員の証として、フォルム以外の外観の雰囲気はお互い似ているが、クロームパーツをあしらってプレミアム感を演出するTロックに対し、Tクロスは材着パーツを多用し、よりSUVイメージを演出している。

 さらには、フロントのデザインは似ているものの、バンパー両サイドのアイコニックな部分がTロックはLEDなのに対し、Tクロスはフォグランプが配されていたり、テールゲートのガーニッシュのデザインもだいぶ異なるなど、よく比較してみるといろいろと差別化されているのがわかる。

 インテリアの雰囲気も似て非なるもので、ヒップポイントの高さも違えば、サイドウインドウの形状も違うので、後席の開放感も異なってくる。

 5名乗車時のトランク容量は、Tクロスの445リッター、Tロックは455リッターと、数字上は意外や拮抗している。ただしこれは、Tクロスのリアシートが前後スライドすることで、トランク容量を稼いでいることにある。リアシートを一番前にスライドすると445リッターだが、リアシートの空間を確保するため一番うしろにスライドさせると385リッターになるのだ。

 また、Tロックには電動テールゲートや、一部グレードにレザーシートが設定されているのも特徴だ。

 印象的なのは、TロックがクーペSUVのデザインでありながら、居住性も十分でトランクも広く、使い勝手に優れることだろう。こうして別の車種としてつくり分けたのだから、Tロックはもっと尖っていてもおかしくないところを、あまりそうすることもなくきちんとした実用性を確保しているあたりは、いかにもフォルクスワーゲンらしいな、と感じるところだ。

■Tロックは2リッターディーゼル、Tクロスは1リッターターボのみ

 日本仕様の搭載エンジンは、現状のラインナップでは、Tクロスが最高出力116ps・最大トルク200Nmを発生する1リッター直列3気筒ガソリン直噴ターボ。対するTロックは最高出力150ps・最大トルク340Nmの2リッター直列4気筒ディーゼルターボのみとなっている。

 加速性能の違いはいうまでもないだろう。Tクロスもターボ付きで性能的には十分とはいえるのだが、ディーゼルのTロックはより低回転から力強く加速する。むろんディーゼルとガソリン、4気筒と3気筒とではエンジンサウンドもまったく別モノだ。また燃費の公表値も、すべての数値でTロックが上回っている。

 組み合わされるトランスミッションは7速DSG(DCT)で共通になる。

 タイヤサイズは、今回の車両については、Tロックが215/40R19、Tクロスが205/60R16となっていた。

 数字だけ見ると、タイヤの厚いTクロスのほうが乗り心地はよい気がするのだが、実際には反対で、Tロックのほうがしなやかでありながらフラット感も高く、上質なドライブフィールを実現していた。

 これには一般的なサスペンションのTクロスに対し、Tロックには電子制御ダンパーが最適に減衰力を調整する「DCC」が与えられていたことが効いていそうだ(Rラインに標準装備)。

 また、TクロスはSUVゆえ、タイヤが大径で重心が高くなることに対してロール等の挙動を抑えるために、足まわりをそれなりに固めたように見受けられ、ややコツコツとした硬さを感じた。

 ただし、タイヤ自体の厚みがあるため衝撃は緩和されるので、けっして不快に感じるほどではない。多少は乗り心地に影響があっても、しっかり走れることを優先しているあたりも、これまたフォルクスワーゲンらしい部分だろう。

 その上で、Tロックのほうが洗練度では上回るというニュアンスになる。そして、狙ったラインを正確にトレースできるハンドリングと、路面の状況を手に取るように伝えてくるしっかりとしたステアリングフィールは、両車とも共通していた。

 先進安全運転支援装備については、Tロックの大半のグレードに付くレーンキープアシストシステムやハイビームアシストが、今回のTクロスの1stには装備されていなかったが、上級の「1st Plus」(価格335万9000円)には設定されている。

※ ※ ※

 こうして見てくると、新たに登場したTロックは、Tクロスよりもだいぶ「格上」に位置づけられているように見受けられ、予算に余裕があるならTロックを買ったほうがよいといえそうだ。

 とはいえTクロスのコストパフォーマンスの高さも、それはそれでもちろん魅力的であることには違いない。フォルクスワーゲンのSUVとして、どちらを選ぶかは悩ましいところだ。

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みんなのコメント

21件
  • それはそうとしてDSGの欠陥は直ったのかな?
    日本だけDSGの保証が5年なんだけど。
    (アメリカ・中国・ヨーロッパは10年保証)
  • cmにTT兄弟使うのはさすがに安易と思ったのか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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