恒例(にしようと目論む)の全開シリーズ。今回全開にするのは「昔の名前で出ています」で登場した三菱自動車のスモールセグメントSUV・エクリプスクロスである。
三菱でAWDちゅうたらパジェロじゃろうが。そういう筆者のような狂信的なマニアはいまやすっかり少なくなり、華やかなりしSUVという昨今である。三菱自動車もアウトランダーというSUVにシリーズハイブリッドという特質を持たせることで差異化を図り、成功。続く第二弾として「少し小さいSUV」という激戦区にエクリプスクロスを送り込んできた。
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ドア関連からご紹介。
ユニークだったのは、開閉ノッチの数が前が1、後が2だったこと。リヤドアを2ノッチ構造としたのはなぜだろう。後部座席のほうが使用頻度が低く、乗り馴れない人が多いので止める場所を増やした──というのは無理があるか。1ノッチ目の49cmという数字が小さいのも気になるところ。ドアの開口長についてエンジニアにお話をうかがったことは……ないので機会があったらどのようにしてノッチ数と開口長を決めているのか、ぜひうかがってみたい。
続いてフロントフードとバックドア。
フロントフードはステー保持型、ボンネットダンパーは備わらないタイプ。バックドアは電子スイッチ式オープナーながら自動開閉ではなく、ガスダンパーを用いる。
開けたときのバックドアの最上部はテールランプユニットから続くガーニッシュかなと思ったが、写真に示すクロームトリムの部分だった。万一天井に当たったとしても、ガーニッシュなら割れてしまうところトリムなら被害は大きくならない。よく考えられているなと思う。
なお、ドアの端部というともっとも膨らんだ部分を想起するが、エクリプスクロスはドア下端にマッドガードを備えていて、フロントドアではそこも最端部に近い印象だった。いずれにせよ、SUVはヒップポイントがセダン/ワゴンよりも高く、乗り込むときにはヨッコラセとなるために身体が車両に近くなる。サイドシルの汚れを気にしないで乗り込めるのはありがたい装備だ。
バックドアを閉めるときに用いるグリップが別体なのもユニークかつ良心的。通常は内張りに指を差し込める凹みが設けられているだけなのだが、エクリプスクロスは内張りのその部分にグリップを別に装着している。内張り凹みなら閉めるときに手首を掌側に裏返さないといけないところ、グリップなら手の甲の側のまま握ることができる。使い勝手がまったく違うのがうれしい。
バックドアを開けると、少々複雑な開口部形状が現れる。上下二段構えのガラスから想像できるとおり、バックドア自体がユニークな格好をしていることに起因するが、ぱっと見た印象では入れにくそうだなと思わされる。
実際には数字をご覧いただければおわかりのとおり、最小幅でもきちんと100cmを確保しているので出し入れに難儀するということはないだろう。むしろ、「幅の大きなところがある」というようにとらえたほうがよさそう。視覚的な印象というのはこわいものだ。
画像には描き込めなかったが、開口部の高さは地上から78cm。
荷室の形状自体はスクエア。ここでも、開口部に対してホイールハウスの張り出しが大きく見えるので狭く感じてしまう。
しかしこちらも数字から確認できるように、各車で一般的な「幅100cm」を確保。ホイールハウス手前側では132cmをマークするので、長いものでも斜めにすれば収容できそうだ。荷室奥行き長に幅があるのは、中央と両幅部では異なるため。最大と最小値をそれぞれ記載した。
リヤシートは4:6分割でセンタートンネルはなし。倒したときにはフルフラットとまではいかず、角度が残る倒れ方をする。フルフラットでないと困る!──という方もいらっしゃるだろうが、そうすると座面を薄くする(普段の乗り心地が悪くなる)か、背面を倒したときに座面も床下に送り込まれる(シートフレームが大きく重くなる)か、いずれかの手段が必要になる。リヤシートか、ラゲッジか。ある程度の割り切りは必要だろう。
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