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中身が大胆に変化したポルシェ新型「911カレラ」の実力とは? 進化したフラット6と洗練された足回りでもっと“大人のスポーツカー”へ

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中身が大胆に変化したポルシェ新型「911カレラ」の実力とは? 進化したフラット6と洗練された足回りでもっと“大人のスポーツカー”へ

デビューから約5年半で登場した進化版のタイプ“992.2”

 2024年5月、デビューから約5年半というタイミングで、新しいポルシェ「911カレラ」シリーズが登場しました。このタイプ“992”の後期型、通称タイプ“992.2”がいよいよ上陸。なんと登録前の車両を「ポルシェエクスペリエンスセンター東京(PEC東京)」のクローズドコースで早速、試乗することができました。

【画像】「えっ!…」大幅に進化した中身が見逃せない! これが新しいポルシェ「911カレラ」です(30枚)

 新型「911カレラ」シリーズの一番の話題といえば、「911カレラGTS」に積まれる3.6リッター水平対向6気筒エンジンに、初めて電動ターボチャージャー、電気モーターを組み合わせた“T-ハイブリッド”かと思いますが、今回、まずやってきたのはベーシックな「911カレラ」の方となります。

 とはいえ、実はエンジン含めてアップグレードされたポイントは想像以上に多く、私(島下泰久)にとっては、とても興味深い初対面となりました。

 まずは内外装から見ていきましょう。

 エクステリアは“マトリックスLEDヘッドライト”が標準となり、ライト機能がすべて統合されたことから、バンパーが大きな開口部に横スリットの入った、すっきりとしたデザインに改められています。リアビューを見ても、やはりライト回りが横一文をさらに強調された形となっています。

 より大きな変化を感じるのはインテリアの方かもしれません。

 これまで、中央の回転計にアナログ計を残し、その左右にデジタルパネルを配していたメーターが、ついにフルデジタル化されたのです。最大7種類の表示には、伝統の5連メーターにインスパイアされたというクラシックディスプレイも残されていますが、古くからのファンにとってはちょっとさびしいところかもしれません。

 さらに、これまではキーのようにひねるタイプのノブが使われていたスタート/ストップスイッチは、ありふれたプッシュ式に改められました。個人的には、こちらの方が残念かも……。

 ほかにも、ドライビングモードスイッチが標準装備になり、インフォテインメントシステムの操作性が改善されるなど、全般に使い勝手が高められています。

●3リッター水平対向6気筒ツインターボは中身が大きく進化

 そうそう、「911」の歴史上初めて2シーターが標準となり、後席がつく2+2が無償オプションとされたのもトピックであることは間違いありません。

 これは難しいところで、後席に人を乗せる機会はほぼないとしても、後席があるとバックレストを倒した際に荷物が積みやすいのですが、重量は当然2シーターの方が軽く……。

 エンジンは、3リッター水平対向6気筒ツインターボであることはこれまでと同様ですが、中身は大きく進化しています。

 ターボチャージャーは、従来の「GTS」用が新たに使われ、インタークーラーはリアリッドグリルの真下に置かれるタイプに。こうした変更によって、最高出力は従来の385psに対して394psを、最大トルクは変わらず450Nmを発生します。

 スペック的な上げ幅は小さいですが、実はこれは同時に最新の排ガス規制に対応させた上での数値であることを忘れてはいけません。

フットワークは従来モデルよりもかなりソフトな味つけ

 こんな具合に、実は多くの変更が加えられている新しい「911カレラ」。でも一番気になるのは、やはり走りですよね。そろそろ、スタートすることにしましょう。

 試乗車は右ハンドル仕様。右側にあるプッシュボタンでエンジンをスタートさせると、すぐに室内が断然静かなことに気づきます。

 高級セダンのように音がしないわけではなく、エンジン音や排気音は聞こえてくるものの、ボリュームはひかえめ。実は車外で聞いていても、かなり大人しくなっています。今後ひかえている厳しい騒音規制に対応させるための変更ですが、違いは想像以上かもしれません。

 クルマを発進させてPEC東京のハンドリングトラックへ。アクセルをさらに踏み込むと、背後に積まれたフラットシックスはスムーズに回転を上昇させていきます。

 ターボラグは全く感じさせず、一方でターボエンジンらしいトルクの厚みをもたらす、その魅力は変わらず。さすがに9psの出力アップは体感できませんが、それでも最高速度は1km/h増の294km/hに、0-100km/h加速は“スポーツクロノパッケージ”つきで0.1秒速い3.9秒に、それぞれ向上していることは付け加えておきます。

 走らせるうちにわかってきたのは、サウンドは確かにひかえめとはいえ、そのせいなのか緻密な印象はむしろ増していて、8速PDKの変速もよりスムーズに感じられるということです。正直、最初は物足りなく思ったのですが、そのうち案外いいかもしれないと感じられるようになりました。大人のスポーツカーらしい洗練度を得た、とでもいえばいいでしょうか。

 そして、実はこのエンジン音よりもむしろ大きな変化が見られたのがフットワークでした。端的にいって、従来よりだいぶソフトな味つけなのです。

 走り出した瞬間から、乗り心地は明らかにしなやか。一方、これまでより明らかにロールが大きく感じられ、最初はとまどいました。

 そこでドライビングモードを「SPORT」、もしくは「SPORT+」に入れると、“PASM(ポルシェ アクティブ サスペンション マネージメント)”がより引き締まった設定となり、シャキッとした感じが出てきますが、スプリングレートは変わらないため姿勢変化はやはり大きめ。アンダーステア傾向が強まる一方で、リアの落ち着き感はむしろ増したかもしれません。パイロンスラロームも試しましたが、やはり同様の印象でした。

●刺激的なスポーツカーに施された“細かな性格分け”

 こんな具合で、エンジン音もハンドリングもタッチがマイルドになっていた新型「911カレラ」ですが、考えてみればその変化は十分納得できるものだと感じます。実は、先代“992.1”では遅れて登場した「911カレラT」が、新しい“992.2”ではMT専用モデルとしてさほどのタイムラグなく発表されているのです。

 エンジン音を聞かせるべく内装材をあえて省き、シャシーもよりハンドリング重視とされて、同じエンジンでも明確に走りに振った仕様となる「カレラT」の存在を前提に、「カレラ」はあえて大胆に逆に振る。今回ポルシェはそうやって、それぞれのキャラクターを深化させてきたのです。

 改めて私自身の使用環境を考えてみると、街中や高速道路での移動が中心で、自分のクルマでサーキットを走る機会はほぼ皆無。そう考えると、今回の「911カレラ」、実はすごくしっくり来るのでした。

 ただし、それはあくまで「911カレラ」というモデルの中での振り幅。セダンのような安楽さを求めているわけではなく、刺激的なスポーツカーの中での、細かな性格分けだととらえていただけるといいと思います。

 きっと同じような「911」を求めていた人、少なくないのでは? あまり変わっていないかと思わせて新型「911カレラ」、実は結構大胆に変化していると分かった今回の試乗でした。これは一般道でも早く試してみたいですね!

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みんなのコメント

2件
  • エガちゃんねらー
    スカイラインが34で終わったように
    ある意味では911も993で終わった気がする
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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