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新型ジムニーなぜ人気? 軽の四駆が爆売れの理由をオン/オフ試乗で探る

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新型ジムニーなぜ人気? 軽の四駆が爆売れの理由をオン/オフ試乗で探る

■オン/オフ試乗で見えた大幅進化の新型ジムニー

 20年振りの全面刷新とはいえ、ここまでスズキ「ジムニー」が話題になったのは歴代を見ても初めてではないでしょうか。すでに納期は年明けとも。なぜそこまで新型ジムニーが話題になるのでしょうか。早速乗る機会に恵まれましたので、人気の理由とは何かを実際に試乗して探りたいと思います。

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 ちなみに今回試乗したのは、ベーシックグレードであるXGの5速マニュアル・トランスミッション(以下:5MT)と、最上級グレードであるXCの4速オートマチック・トランスミッション(以下:4AT)です。

 さて、住宅街を発進してすぐ感じるのは、従来型のJB23とは「質」がまるで違うということ。ラダーフレームとアッパーボディを新造してボディ剛性が大幅に向上したことは、非常に高級感のある乗り心地に顕れています。

 またステアリングダンパーが標準化されたことで、何となくフラフラと不安定だったハンドル操作が、カチッと節度感のあるものに変わったことも好感が持てます。ジムニーのチーフエンジニアである米澤弘之さんが「基本のフレームと足回りはしっかりと造りたいと考えていた」という想いが、走りから感じられます。

 乗り心地は、格段に良くなりました。マンホールや舗装の段差など路面の凹凸を乗り越えても、車内に伝わる衝撃はほとんど感じません。ハーシュネスを長時間感じることでパッセンジャーは意外と疲労するものです。純正タイヤもジムニー専用設計となっており、フィーリングの良さに寄与しています。

 信号によるストップ&ゴーが連続するような一般道で、挙動変化が少なくなったことも非常に快適です。新型は従来型よりも自由長が短く、径の大きなダンパーを装着しています。さらにコイルスプリングのバネレート特性、サスペンションのジオメトリーなどが見直され、どんなシーンでも軽自動車らしからぬ乗り味が確保されています。

■新型エンジンになって高速走行もスムーズ

 高速道路でも、高評価は変わりません。長年使ってきたK6A型エンジンからR06A型エンジンに変わりましたが、ロングストローク型の新ユニットは発進直後からトルクがグッと発生するため、巡航速度域までスムーズに加速できます。旧型オーナーの中には高回転型のK6A型の方が高速でも峠道でもフィーリングがいいという人がいますが、新エンジン方が万人受けするのではないでしょうか。

 高速道路で特筆したいのは、新ATのフィーリングです。JB64型からはようやくトルコンのロックアップ機構が採用されています。従来型は登り坂の高速道路などでアクセルを踏み込むと、トルコンのスリップのせいでエンジン回転数が上がっても加速しないということが多々ありました。

 このスリップをロックアップ機構で解消したことにより、エンジンのパワーがダイレクトに活かせて、グイグイと進むのでストレスを感じなくなりました。もちろん、よりアクティブにドライブしたいのであれば、5MTをオススメします。

 先ほど述べたボディやサスペンション、ステアリングの改善により、レーンチェンジも実にスムーズで安心してできます。これならとっさの危険回避を行っても、フラフラと挙動が安定しないというようなこともないでしょう。ただ、安全装備に付帯した車線逸脱警報機能は少々デリケート過ぎる感があり、ちょっとでもセンターラインや路肩線に近づき過ぎようものなら、すぐに警報を鳴らすのはドキっとさせられました。まあ、それが役割なのですが…。

 ところで、各部の使い勝手も先代よりも大幅に向上しています。まず、サイドウインドウの開閉スイッチがセンターコンソールに移動したことで、ドライバーは右膝に余裕ができました。荷室にラゲッジボックスが付いたことで(一部グレードを除く)、室内最後端から運転席&助手席までのフラット化が可能に。またタイヤハウス上の張り出しを無くして、より広く実用的な荷室になっています。「プロの道具を目指した」という開発コンセプト通り、遊びでも仕事でも利便性を感じるであろう使いやすさが随所に見られます。

■ワインディング走行はMTとATで違いが

 さて高速道路を降りて、ワインディング路を試します。ここではMTとATの差がはっきりと出ました。平均斜度9%の坂を登る時、AT車はMT車にみるみるうちに引き離されてしまいました。ATは積極的にシフトレバーを操作してギアダウンしなければ、他のクルマの流れに乗ることは難しいかもしれません。

 それを除けば、新型ジムニーはワインディングロードでもイージーに乗ることができるようになったと言えます。大きなコーナーでも過度なロールはなく、揺り戻しもほとんどなし。従来型ではかなり気を遣ってハンドル操作をしたものですが、それも無用になっています。

 オフロードは、もはや言うことはありません。深い溝ができた林道を走りましたが、ジムニーの実力から考えれば少し楽勝過ぎのステージ。よく脚が伸びて路面を追従する上に、激しい衝撃も非常によく吸収します。フレームもボディもミシリとも言わず、粛々と前に進んでいく様は、ドライバーに大きな安心感を与えてくれるでしょう。

 特にブレーキLSDトラクションコントロールの採用は、オフロード4WDとしてのステータスを大幅に上げています。ジムニーは軽量で小回りが利くため、大型SUVや4WDと比べるとオフロードで有利と言われてきました。その上、悪路走破性をさらにアップさせる電子デバイスが採用されたのですから、もはや無敵です。あまりに走り過ぎるので、横転に注意が必要なくらいです。

 ただし、すべてを統合しているESPがたまに足かせになるシーンも見られました。チーフエンジニアの米澤さんも「オフロードのためというより、雪道など日常生活のことを考えて付けました」と言っていましたので、ハードなオフロードドライブでは4Lにトランスファーを入れた上でESPをオフにして、発進時以外はブレーキLSDトラクションコントロールに頼らないと割り切った方がいいかもしれません。

 あとはMTのギア比が相変わらず2速と3速が離れていることが、ダートなどを走る上で気になりました。2速にするとギアが低すぎる、3速では高い過ぎるというシチュエーションが多々ありました。オンロードでのスムーズな走りを考えれば、トレードオフだとは思います。

■他のSUVやクロスオーバーと比較しても、オン/オフのバランスいい

 新型ジムニーで丸一日ドライブを楽しんで再認識したのは、とにかく非常によくできているということです。本格オフロード4WDを謳っていますが、他のSUVやクロスオーバーと比較しても、オン/オフのバランスが非常によく取れているのではないでしょうか。

 小さいボディに本格4WDとしての性能はしっかりと、仕事でも遊びでも頼りになるクルマ、そんなクルマが「ジムニー」なのです。デザインも「カッコイイ」との声も多いようですが、この唯一無二の存在がジムニーの人気の理由ではないでしょうか。

 新型ジムニーもすべてがいいというわけではありませんが、また10数年かけて改善していけば…と考えれば、それもまたジムニーの楽しみ方と言えます。

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