■スバルの飛躍をあと押しした名機「EJ20型」エンジン
1980年代後半から経営危機が噂されていた富士重工業(現:スバル)は、大規模な組織改革を実施し、1966年の「スバル1000」から改良を続けてきたプラットフォームを捨てて、すべて新規設計となる「レガシィ」を1989年に発売し、大ヒットします。
スバル新型「レガシィ」 すべて一新した7代目モデルが世界初公開
この初代「レガシィ」に搭載されたのが、2リッター水平対向4気筒の「EJ20型」エンジンです。
後に、EJ20型はバリエーションを増やし、さまざまなスバル車に搭載され、名機と呼ばれましたが、2019年度内に生産を終了すると発表されました。
そこで、EJ20型エンジンを搭載したモデルのなかから、記憶に残る5台をピックアップして紹介します。
●初代「レガシィ」【EJ20型初搭載】
長年にわたってスバルが磨き上げてきた水平対向エンジンに関するノウハウと、「レオーネバン」から始まった乗用車型4WDの技術を集約して開発されたのが初代レガシィです。
1989年に発売され、FIA公認10万キロ世界速度新記録を樹立し、新しい時代のスバルが誕生したことを世界中に知らしめました。
そのレガシィの心臓部は、新開発されたオールアルミ製シリンダーブロックとシリンダーヘッドとした2リッター水平対向4気筒DOHC16バルブのEJ20型エンジンです。
レガシィには1.8リッターのモデルもありましたが、販売の主力は2リッター自然吸気で最高出力150馬力と、十分なパフォーマンスを発揮。
さらに、トップグレードのセダン「RS」に与えられた2リッターターボエンジンでは、クラス最強となる最高出力220馬力を誇り、俊足セダンのマーケットを賑わせました。
初代レガシィは世界ラリー選手権にも参戦し、スバル初の優勝を勝ち取り、いまに続くシンメトリカルAWDの優位性をアピールしたのです。
また、初代レガシィは、当時のスキーブームという背景からツーリングワゴンが大ヒットを記録。ステーションワゴン市場も活性化させました。
●2代目「レガシィ」【EJ20型初のツインターボ&初の280馬力】
1993年にレガシィが2代目にモデルチェンジされ、初代に比べて全長が70mmから85mm、全幅で5mm大きくなったことで居住性が高められました。
他車が3ナンバー化するなかで5ナンバー枠にこだわり、上級クラスに負けない室内空間を確保したということです。
また、ドアビーム、エアバックなどの安全装備の充実や、ターボモデルでは、低回転ではシングル、高回転ではツインターボとなる「2ステージツインターボ」を採用。
水冷式から空冷式にあらためられたインタークーラーを装着し最高出力250馬力までパワーアップしました。
米国ユタ州のボンネビルスピードウェイでは「ツーリングワゴンGT」が平均速度249.981km/h の「世界最速ワゴン記録」を樹立するなど、発売前から速さが話題になりました。
さらに1996年のマイナーチェンジでは、国産2リッターエンジンの280馬力(セダンRSのMT車)に到達。
ビルシュタイン製倒立式ダンパー、17インチホイール、ワイドタイヤなどが装着されていましたが、一見すると大人しそうに見えるセダンでした。最高出力280馬力を発揮するエンジンを搭載したことで、まさに「羊の皮を被った狼」と呼ぶに相応しいクルマでした。
●「インプレッサS202」【歴代インプレッサ最強の320馬力】
走行性能を徹底的に高め「インプレッシブ・スポーツセダン」をコンセプトに開発されたスポーティセダンが「インプレッサ WRX」シリーズです。
2000年に登場した2代目は、全幅1730mmの3ナンバーサイズボディでありながらショートホイールベースの走りに特化した4ドアセダンで、可変バルブタイミング機構付きのEJ20型を搭載し、自然吸気は155馬力、ターボは250馬力、STiモデルでは280馬力を発生していました。
2002年には、インプレッサWRX STiシリーズのコンペティションモデル「type RA spec C」をベースにチューニングしたコンプリートカー「インプレッサ S202 STi version」がSTiから限定400台で発売されました。
吸気系の見直しと、チタン製スポーツマフラーを採用し、高回転域の伸びを重視する出力特性に変更された専用スポーツECUにより、最高出力320馬力を発揮します。これは歴代インプレッサ最強の出力です。
さらにコーナリング性能向上のため、リアサスペンションにピロボールブッシュのラテラルリンク、トレーリングリンクを組み込み、リニアでシャープな挙動を実現。
また、2段階角度調整式のリアウイングはカーボン製で、軽量化と高ダウンフォースを両立していました。
■EJ20型搭載のハイパワーSUVとNAセダンとは!?
●初代「フォレスターSTi」【ハイパワーSUVの誕生】
1997年にデビューしたクロスオーバーSUV「フォレスター」も、インプレッサとプラットフォームを共有していたことからEJ20型エンジンが搭載されていました。
2000年には「S/tb」をベースにエアロパーツを装備し、ローダウンなどSTiによる専用チューニングが施された「S/tb STi」が追加されます。
そして、2001年にはSTiがモータースポーツフィールドで培ったノウハウを注ぎ込んで、フォレスターが本来持つ卓越した操縦性能をさらに向上させた「STi II Type M」を限定800台で発売しました。
吸排気系の効率を高められたエンジンは、専用のスポーツECUにより最高出力250馬力を発揮。ブレーキはフロントに大径16インチを採用し、専用ストラット&コイルスプリングで足周りを締め上げ、RAYS製17インチ鍛造アルミホイールに225/45R17タイヤを装着。
ブレーキ冷却用ダクトが新設された専用フロントバンパー、専用リヤバンパー&大型リアスポイラー、サイドアンダースポイラーを装着して、ルックスも只者ではないことをアピールしていました。
●4代目「レガシィB4」【自然吸気で最高の190馬力】
2003年にモデルチェンジされた4代目「レガシィ」は、「走りと機能と美しさの融合」をテーマに開発されたツーリングワゴンとスポーツセダン「B4」の2タイプボディで、全幅を1730mmの3ナンバーサイズとしてトレッドを拡大し、ホイールベースも延長したことで操縦安定性の向上が図られていました。
より低重心化されたエンジンは、2リッター水平対向4気筒SOHC16バルブとDOHC16バルブ、DOHC16バルブターボの3種を用意しました。
スバルのスポーティモデルではターボエンジンが常識でしたが、2リッター自然吸気エンジンを搭載する「2.0R」グレードは、11.5の圧縮比から最高出力190馬力を発揮(MT車のみ)する高回転型エンジンを搭載。
自然吸気エンジンならではのリニアな加速とアクセルレスポンスや、気持ちよく吹け上がるフィーリングが高く評価されました。
※ ※ ※
スバル車の走りを支え続けたEJ20型エンジンの生産終了にあたり、2019年に特別仕様車「WRX STI EJ20 Final Edition」を555台限定で発売しました。
30年間に渡りスバルのモータースポーツシーンで活躍し続けたエンジンですので、「スバリスト」と呼ばれるスバル車マニアはもちろん、多くのクルマ好きから注目を集め、すでに完売しています。
WRX STIも生産を終えますが、近い将来に復活するとスバルも明言しているので、まだまだ目が離せません。
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