初代の弱点を踏まえた2代目
text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
【画像】懐かしのディテール 取材した2代目ホンダ・シティ【実車】 全41枚
photo:Koichi Shinohara(篠原晃一)
ホンダ・シティと言えば、多くの人が思い浮かべるのは、四角く背の高いボディを持った初代だろう。
カブリオレやターボ、さらにはインタークーラー付きのターボIIといったホンダらしいスポーティなラインナップも揃い、一世を風靡したからである。
だが今回スポットを当てるシティは2代目。ちなみに製造期間は初代が5年だったのに対し2代目は8年。
そこだけを切り取ると、成功したのは2代目の方ということ?
初代シティのデビューは1981年のこと。1983年にはホンダの第2期F1活動が始まるタイミングであり、初代シティはまさにこの勢いに乗ったヤンチャなクルマだった。
ターボIIによるワンメイクレース、シティブルドッグレースはF2の前座レースとして人気を集めたが、極端なワイドトレッド化によって転倒してしまうクルマも多かった。
初代シティの特徴でもあった背の高いスタイリングと運動性能の両立は難しかったのだ。
2代目のスタイリングを見ると、初代の弱点を踏まえた方向転換がはっきりと見て取れる。
初代より125mmも低められたボディは、コンパクトハッチであるにもかかわらず、ワイド&ローのすっきりとした、知性すら感じさせるシルエットを纏っていたのである。
16戦15勝時代の落とし子
2代目シティは1986年に登場している。前期型がGA1、ヘッドランプ間に透き通ったガーニッシュを配した後期型がGA2という型式を与えられている。
この2ドアハッチバック車の位置づけは、初代と同じくシビックの弟分というものだった。
サスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームという小型FF車の王道ともいえる形式を採用。ワイド&ローのすっきりとしたスタイリングは、実際の運動性能に大きな影響を与えていた。
横置きされた4気筒エンジンは新開発のものが採用されていた。前期型のGA1が搭載していたD12A型は、シングルカムでありながら気筒毎4バルブを誇っていた。
GA2に搭載されたD13C型では1.2Lだった排気量が1.3Lにスープアップされた他、PGM-FI(ホンダの電子制御燃料噴射技術)を装備し、その最高出力は100psに到達した。
現代の眼から見ると、シンプル過ぎるスタイリングもあって、当時のシティ人気の高さを伺い知ることは難しい。
だが2代目シティがマイナーチェンジした1988年と言えば、ホンダのF1エンジンが16戦15勝を挙げた年であり、若者はシビックやシティの小気味よい走りにF1マシンのフィーリングを重ね合わせていたのである。
「キラーカー」として君臨
モータースポーツの世界では、時にチャンピオンシップを掌握し、最終的にはそのクラス自体をつぶしてしまうほどの強さを誇るマシンをキラーカーと呼ぶことがある。
ホンダの開発陣がその活躍を狙っていたとは思えないが、ジムカーナの世界における2代目シティがまさにそれだった。
ワイド&ローのフォルムと、タイヤをボディの四隅に追いやったような設計はクイックなハンドリングに秀でており、GA1(前期型)の決してパワフルとは言えないエンジンでも表彰台の常連として活躍した。
エンジンがパワーアップしたGA2(後期型)になると、全日本ジムカーナのA1クラスはシティが独占するかたちになる。
2代目シティのクラス独占の状態は、このクルマの生産が終了した1994年以降も延々と続いたのだ。最終的には2004年ころに競技規則が改変され、第一線を退くことになる。
2ドアハッチバックとしてのホンダ・シティは2代で終了し、その名称はアジアの工場で生産される4ドアセダンに移行され現在に至っている。
一方、2代でクルマ好きの若者に夢を与え強いインパクトを残したシティのDNAは、当初はGA2のグレード名であった「フィット」へと受け継がれたのだった。
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みんなのコメント
MTだったのでスタンドのにいちゃんに
「ジムカーナやってるんですか?」
て聞かれたりもしました。
よく軽と間違われたけどキビキビ走って楽しかったです。
それからすっかりホンダ党です。
箱根の上りでも、なんとか86にギリギリ着いて行ける位でZCには離されました。
下りは86、ZC軍団にも余裕で付いていけました。
ホンダのF Fは、リアが軽過ぎて、ブレーキングを残しながらコーナー進入すると直ぐにリアがブレークするので、みんな、コンクリートブロックを積んでました。
基本的にタイトコーナーが得意だったので、箱根旧街道、真鶴旧道、長尾峠、足柄峠、ヤビツ峠、がはやかった。椿ラインの下りは痺れたな。