専用サスでハイラックスを高性能化
ピックアップトラックの高性能化は、V8エンジンを載せたフルサイズのフォードF-150がゴロゴロ走るアメリカでは一般的ながら、それ以外の市場ではマイナーといえた。交通環境が狭い欧州では、ほぼ素のまま乗られることが普通だった。
【画像】包括的アップグレード トヨタ・ハイラックス GRスポーツII 競合クラスのピックアップはコレ 全137枚
しかし、そんな傾向へ一石を投じたのが、フォード・レンジャー・ラプター。大胆にドレスアップし、走行性能を大幅に高めた高価な仕様へ、近年は欧州でも熱い視線が送られている。
そんな変化を、現在のトヨタが見過ごすはずがない。スタイリングの変更とフロント・サスペンションの改良などで、昨年マイナーチェンジを受けたハイラックスへ、トップグレードとしてGRスポーツが追加されていた。
しかし、主な違いといえたのは、専用フロントグリルや荷台のスポーツバーなど。ガズーレーシングのロゴも随所に散りばめられていたが、レンジャー・ラプターと比べて、ちょっと力の抜けた内容だったことは否めなかった。
そんな反応を知ってか、2024年に登場したGRスポーツIIには、大幅なアップグレードが施されている。スタビライザーが専用品となり、ショックアブソーバーは直径46mmのアイテムを採用。トレッドは70mmも広げられた。
リア・サスペンションも同様。太いショックアブソーバーが、ラダーフレーム・シャシーの外側でキラリと光る。
遥かに包括的な内容 203psのエンジンはそのまま
この変更により、ハイラックス GRスポーツIIのボディサイドには、ブラックの勇ましいオーバーフェンダーが追加される。欧州仕様では、空力特性へ配慮されたスポーツバーと、フロント・メッシュグリル、ブラックのサイドステップなども獲得する。
従来のリア・ブレーキはドラムだったが、GRスポーツIIではディスクへ変更。制動力も、確実に高められた。
ブレーキキャリパーはレッドに塗られ、専用デザインの17インチ・アルミホイールを履く。見た目の印象は、ノーマルのハイラックスと比べて、明らかにアグレッシブだ。
キャビン内では、部分的にスウェードが混ざる、ブラック・レザーのスポーツシートを装備。シートベルトはレッドで、ペダルも専用のものが与えられる。
ダッシュボード上には、無線でのアップル・カープレイと、有線でのアンドロイド・オートに対応した、8.0インチ・タッチモニターが載る。ステアリングホイールやシートなどには、レッドとブラックのGRロゴがあしらわれる。
車高は20mm高くなり、路面とボディが接する角度は、フロント・オーバーハング側のアプローチ・アングルで29度から30度へ上昇。昨年のGRスポーツ「I」より、遥かに包括的な内容といえる。
203psと50.9kg-mを発揮する、2.8L 4気筒ディーゼル・ターボエンジンは変わらず。それでも、アップグレードの効果は走りの面でも明確で、特にグリップ力は目に見えて向上。通常のハイラックスより、確実に路面を捉えていた。
オンロードでの操縦性に長けたピックアップ
専用サスペンションが組まれ、トレッドが広がったことで、乗り心地も改善した。基本的にピョコピョコと跳ね気味だった特性は改められ、ずっと安定性が増している。まだ揺れは残っているが、ノーマルとの違いは歴然だ。
欧州市場で直接のライバルとなるのが、ディーゼルターボを積んだレンジャー・ラプター。ハイラックス GRスポーツIIの方が走りは軽快で、ステアリングの反応は正確性が高い。グリップ力を活かし、高めの速度域で意欲的にコーナーへ飛び込める。
攻め過ぎると、フロントが外へ膨らむアンダーステアへ転じてしまうが、このクラスでは特に、オンロードでの操縦性へ優れたピックアップトラックになった。乗り心地も、レンジャーと同等レベルにある。
ただし、オフロードでの印象は若干犠牲になっている。小石が露出したダートコースを走らせてみたが、洗練性ではノーマルのレンジャーへ届いていない。フォルクスワーゲン・アマロックにも。
車重は僅かに軽くなり、2150kg。積載量は1tがうたわれる。
GRスポーツIIは、過去イチで大胆なハイラックスだろう。ワイドなトレッドと、引き締められたサスペンションのおかげで、オンロードでの印象を飛躍的に向上させている。
パッケージングには、もう少し煮詰める余地があることも事実ではある。だが、昨年のハイラックス GRスポーツより確実にイイ。
トヨタ・ハイラックス GRスポーツII(英国仕様)のスペック
英国価格:4万5000ポンド(約833万円/予想)
全長:5325mm(標準ハイラックス)
全幅:1855mm(標準ハイラックス)
全高:1815mm(標準ハイラックス)
最高速度:175km/h(予想)
0-100km/h加速:10.0秒(予想)
燃費:10.3km/L(予想)
CO2排出量:249g/km
車両重量:2150kg
パワートレイン:直列4気筒2755cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:203ps/3000rpm
最大トルク:50.9kg-m/1600-2800rpm
ギアボックス:6速オートマティック(四輪駆動)
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