日本の高度成長を支えた商用モデル
日本の高度経済成長を支えた要素の一つに、昭和の商用車は外せない。そう働くクルマがあったからこそ、経済が動いていた。ユーザーカーが主体の旧車イベントに行くと、そんな商用タイプの旧いクルマがいまなお愛されており、多数展示されていた。懐かしさとともに車名をチェックしてみると、意外にも現在も使われているネーミング(車名)が多かったのだ。
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平成は、昭和に誕生し長年慣れ親しまれていた車名・車種が数多くなくなった。直近ではトヨタのマークXがマークII時代からのミドルセダンの歴史に幕を下ろし、そのほか日産サニー、セドリック・グロリアは、ノートやフーガと次世代の車名へと変更された。
ところが商用車は、昭和からネーミングを変えずに現在も世代交代を繰り返している。もっとも車種が少ないというのもあるだろうが、平成・令和とふたつの元号を経験した昭和生まれの人にとっては、子供のころに街中で見た商用車は懐かしいことだろう。
日産クリッパー
車名が途絶えた時期もあったが、現在はNV100クリッパーとして軽自動車のバンが、そのネーミングを受け継いでいる。イベントで見付けたのは1966年に登場した2代目で、ラジエータグリルとヘッドライトベゼルを合わせて4つの楕円デザインが特徴。じつはプリンスが開発したトラックで、2代目が登場した1966年は日産との合併直後ゆえ、前期型には「プリンス」の文字が残っていた。
マツダ・ボンゴ
過去にはワゴンや後輪がダブルタイヤの低床タイプなど、さまざまなバリエーションを展開。現在販売されているのは1999年に登場した4代目のボンゴバンで、シート下にエンジンを搭載する昔ながらのワンボックスタイプ商用車として販売されている。イベントで見付けたのは、1966年に登場した初代モデル。エンジンを車体後方に搭載するRR(リヤエンジンの後輪駆動)だった。
スバル・サンバー
”農道のポルシェ”という異名を持つスバル・サンバー。その所以はポルシェ911シリーズと同じく、車体後方にエンジンを搭載し後輪を駆動するといったRRレイアウトを採用していたからだ。
1961年に登場した初代から2012年までスバルが生産していた6代目まで踏襲。現行型となる8代目でもサンバーのネーミングは残されているが、7代目からはハイゼットベースをダイハツからOEM供給している。ある意味、ネーミングのみが残ったクルマだ。
イベントには初代や2代目モデルなど何台も展示されていることからも、農道のポルシェ時代のサンバー人気の高さを感じさせてくれた。
トヨタ・クラウン
現在はセダンのみとなっているが、意外にもステーションワゴン(バンも含め)は8代目13系クラウンにラインアップ。セダンのモデルチェンジは行なわれているが、1999年に登場した11代目17系のクラウンエステートにバトンタッチするまで13系のワゴンモデルは生産。現在は15代目を数えるクラウンの歴史でピックアップトラックを設定していたのが1962年登場の2代目と1967年に登場した3代目だ。
シボレーやキャデラックのエルカミーノという高級アメ車のピックアップも同世代に登場し始めたこともあり、クラウンもその路線を狙ったのだろうか。
このほかイベント会場には注目したい商用車は多々あった。例えば、日産バイオレットのバン。
初代モデルからバンはラインアップしていたが、この1977年に登場した2代目テールゲートに木目パネルを施し、当時のアメ車のステーションワゴンを彷彿させる仕様。もはや商用車というよりお洒落なワゴンだ。
同時期に登場したサニーカリフォルニアは、サニー初のステーションワゴンとして同じように木目パネルをドアサイドからリヤハッチまで装着されている。
この手のクルマが出てきたら外せないのがホンダのライフステップバン。前輪駆動レイアウトを採用して、後輪駆動の軽バンではできない低床な荷室を実現。その愛らしいルックスからも、今なお人気が高い。
【↓昭和の働くバン&ワゴン(画像33枚)↓】
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