洗練されたパフォーマンスは新たなマセラティ像にマッチする
ここ数年、にぎやかな自動車の話題といえば電動化に関するもので、中でもバッテリー電気自動車(BEV)の未来をめぐる議論が盛り上がっていた。一時は欧州勢のもくろみどおり、一方的なBEV化が勢いを増したように思えたものだが、パンデミックやロシアのウクライナ侵略によってエネルギーや資源の供給に困難が生じ始めると、欧州勢の考え方にもばらつきが見え始めた。BMWのようにトップがエンジン開発の可能性に言及するメーカーもあれば、ルノーのように環境面でBEVが必ずしも最良の解とはいえないと白状するメーカーも……。グローバル市場が相手の大メーカーならカスタマー選択肢としての内燃機関(ICE)やハイブリッドシステムの可能性を追求することは当然のことだろうし、一方、そんな大メーカーの間隙をつきたい中小ブランドなら電動化を一層押し進めるチャンスにもなろう。
イタリアの老舗マセラティも早くから電動化を宣言したブランドだ。中でも注目すべきは、マセラティにとって実に半世紀ぶりとなる量産ミッドシップモデル、MC20の登場である。まずは新開発のV6エンジンを積んで登場したが、実は来年以降に登場するBEV仕様が本命だといわれている。BEVありきのミッドシップ戦略であったということだ。
つまり、MC20とはブランドの過去と未来をつなぐ重要な架け橋的モデルになる。だからこそ唐突に見えることを承知でミッドシップパッケージを採用し、あえてスーパーカー市場へと打って出た。重いバッテリーを積むBEVにとって、ミッドシップレイアウトはSUVやラージサルーンといった大型モデルと同様に有利なパッケージでもある。
とはいえMC20最大の話題は、プレチャンバー燃焼システムを積んだ新開発の90度V6の3Lツインターボエンジンで、“ネプチューンユニット”と呼ばれている。これをダラーラが開発を下支えしたカーボンモノコックボディのリアミッドに積んだ。スポーツカーファンであれば涙もののパッケージであろう。たとえBEV化がその先に見えていたとしても……。 日本上陸を果たしたMC20を早速試してみることに。外光のもとでMC20を初めて見た感想は、意外に大きく見えるということ。そのうえ写真で見る以上にグラマラス。リアのフェンダーラインなどはこの上なく美しい。フェラーリ以外で久しぶりにビューティフルなミッドシップカーが現れたと思った。 走り出しての第一印象は、エンジニアリングの真面目さがとても目立つ車だということ。特にネプチューンユニット。ターゲットスペックを一途に狙って開発したという感じで、パフォーマンスは洗練されている。その分、遊び心には欠ける(フィールやサウンド)と思ったのだが、それがまた電動化時代を見据えた新たなマセラティ像とよくマッチしているようにも思えた。
どういうことか。
せっかくの新開発エンジンなのだからその存在をアピールしようと思うのが普通で、トルクの出方や高回転域でのフィール、吸排気のサウンドなどを強調してしまうケースが多い。ところがMC20のネプチューンユニットの場合、あくまでも車体とのコンビネーションで速さを作っているようなドライブフィールに終始するのだ。それゆえサウンドの音質も音量も随分とおとなしいように思えた。マセラティといえば、フェラーリ製F136 V8自然吸気ユニットを積んだ初代クワトロポルテあたりの高らかに鳴り響くエグゾーストノートを慕う人もいまだに多いが、もはやそれも昔話というわけだ。
話題のエンジンこそそれ単独でドライバーを魅了するようなものではない代わり、MC20という車体としてスポーツカーや車の運転そのものをこよなく愛するエンスーを一発でノックアウトする魅力に満ちていた。 スポーツカーとしてのパフォーマンスは、すべての指標において超一級だと言っていい。しかもよくできたグラントゥーリズモで、500kmの長旅を一気にこなすしなやかさも持っている。それでいて街中では乗り心地もよく、ドライバビリティに優れている。ワインディングロードではもちろん、知らず息をつめて走ってしまうほどに楽しい。ステアリングフィールはあくまでもダイレクトかつソリッドで、前輪はハンドルを通じて両腕と直につながっているかのような動きをみせる。リアのトラクションのかかりは絶大で、一般道レベルであればどんなコーナーでも安心して踏んでいける。もちろんブレーキフィールは安心と正確さという点でロードカーとしては最高の部類。さすがにダラーラが開発に助力したというだけあって、カーボンモノコックシャシーのもたらすドライブフィールは“上質なダラーラ ストラダーレ”だった。
最終的にはBEVへと進化するということがにわかには信じられないくらい、エンジンとのコンビネーションに優れたミッドシップスーパーカーである。 マセラティ MC20の中古車を探す▼検索条件マセラティ MC20× 全国文/西川淳 写真/タナカヒデヒロ
ライバルとなるミッドシップスーパーカーの中古車市場は?
フェラーリ F8トリブートフェラーリの現行ミッドシップモデルとなる、2019年に登場したV8ツインターボエンジンを搭載するF8トリブート。内燃機関のみを用いた最後のV8フェラーリとして、過去のV8モデルをオマージュしたデザインが採用されている。中古車は30台程度が流通。価格は4000万~5100万円くらいと、フェラーリ人気を反映し、比較的高値安定となっている。 フェラーリ F8トリブートの中古車を探す▼検索条件フェラーリ F8トリブート× 全国ランボルギーニ ウラカンランボルギーニのミドルクラスミッドシップモデルといえば、2014年に登場したV10自然吸気エンジンを搭載するウラカン。ハイパフォーマンスバージョンや2WDモデルなど、バリエーションも多い。登場から年数が経っているため、中古車の流通台数も70台程度と多く、価格も2000万~4000万円と幅広い。 ランボルギーニ ウラカンの中古車を探す▼検索条件ランボルギーニ ウラカン× 全国マクラーレン 720Sブランドの中核となるスーパーシリーズの2シーターミッドシップが720S。リアミッドには4L V8ターボを搭載、スーパーシリーズの第2世代として2017年に登場した。スタンダードに加え、パフォーマンスとラグジュアリーをラインナップする。中古車流通台数は25台程度と3台の中では少なめ。価格は2500万円~となる。 マクラーレン 720Sの中古車を探す▼検索条件マクラーレン 720S× 全国文/編集部、写真/フェラーリN.V.、ランボルギーニ S.p.A.、マクラーレン・オートモーティブ【試乗車 諸元・スペック表】●MC20 3.0型式7BA-MC30最小回転半径-m駆動方式MR全長×全幅×全高4.67m×1.97m×1.22mドア数2ホイールベース2.7mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.68m/1.65mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1500kgシート列数1最大積載量-kg乗車定員2名車両総重量-kgミッション位置コラム最低地上高-mマニュアルモード◯標準色ビアンコ・オーディス、ネロ・エニグマ、ロッソ・ヴィンセント、ジャッロ・ジェニオ、ブルー・インフィニート、グリージョ・ミステロオプション色-掲載コメント※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております型式7BA-MC30駆動方式MRドア数2ミッション8ATAI-SHIFT-4WS-標準色ビアンコ・オーディス、ネロ・エニグマ、ロッソ・ヴィンセント、ジャッロ・ジェニオ、ブルー・インフィニート、グリージョ・ミステロオプション色-シート列数1乗車定員2名ミッション位置コラムマニュアルモード◯最小回転半径-m全長×全幅×全高4.67m×1.97m×1.22mホイールベース2.7m前トレッド/後トレッド1.68m/1.65m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1500kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高-m掲載用コメント※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しておりますエンジン型式-環境対策エンジン-種類V型6気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量60リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量3000cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成-最高出力630ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm730(74.4)/5500エンジン型式-種類V型6気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量3000cc最高出力630ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm730(74.4)/5500環境対策エンジン-使用燃料ハイオク燃料タンク容量60リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成-
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