現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【試乗】発売延期が悲しすぎる! ホンダの新型SUV「ZR-V」はガソリンもHVも期待以上の走りだった

ここから本文です

【試乗】発売延期が悲しすぎる! ホンダの新型SUV「ZR-V」はガソリンもHVも期待以上の走りだった

掲載 30
【試乗】発売延期が悲しすぎる! ホンダの新型SUV「ZR-V」はガソリンもHVも期待以上の走りだった

 この記事をまとめると

■ホンダの新型SUVとなるZR-Vに中谷明彦さんが試乗した

ホンダ車らしからぬデザインだと賛否両論! 話題の新型SUV「ZR-V」のルックスに隠された狙い

■ガソリンFFとe:HEVのFF、e:HEVのAWDの3台を乗り比べた

■SUVらしからぬ軽快なハンドリングに加え、e:HEVは電動モーターによるトルクフルな走りを体験

 ヴェゼルとCR-Vの間のちょうどいいサイズのSUV

 ホンダが新しいコンパクトクラスSUVとしてZR-Vを誕生させた。ホンダには、すでにコンパクトクラスのヴェゼルやミドルクラスのCR-VがSUVとしてラインアップされているが、今回のZR-Vは、その中間をいくちょうど良いサイズ感のモデルとしている。

 フィットベースのヴェセルでは小さすぎ、アコードベースのCR-Vでは大きすぎるといった、ちょうどシビックベースの大きさを求めるユーザーニーズに呼応して、新型シビックの登場に合わせて派生展開されたといえるだろう。

 ZR-Vに採用されたパワートレインは、新型シビックと同様の1.5リッター直列4気筒ガソリンターボモデルと、ホンダが提唱するハイブリッドシステムであるe:HEVの2種類が用意されている。また、シビックには設定のないAWD(4輪駆動)がそれぞれにラインアップされているのもSUVとして着目すべきポイントだ。

 まず、1.5リッターガソリンターボAWDに試乗する。デザイン的にはどのモデルも外観的な差別化はされてなく識別するのが難しい。18インチホイールの塗色やオーナメントバッジの差で区別するしかないようだ。

 装備面ではXとZのふたつのグレードラインアップで差別化が図られている。試乗車はXで、標準仕様のものとなっている。とはいえ大型センターカラーディスプレイや、カラー液晶メーターなど、基本的なアイテムは上級グレードのZと変わりない。

 まず、ボディ外観のデザイン的印象はクロスオーバーSUVといえるものだ。スポーティでポルシェ・マカンのようなCピラーまわりのボリューミーなデザインが個性的だ。ラジエーターグリルはイタリアのマセラティ車を彷彿とさせるような縦型スリットが組み込まれた開口部が特徴的で、やや高い位置のボンネットとなだらかなルーフ曲面で構成されている。

 室内に乗り込むと、内装は合成レザーによる作り込みが豪華な印象で、高級感を醸し出している。ドライバーズポジションのほぼ正面にステアリングが配置され、テレスコピック機能を備えたステアリングアジャスト機能で理想的なポジションが得られる。センターコンソールの位置はやや高めで、ガソリンターボエンジンの場合はそこにシフトレバーが備わる。

 スタートストップボタンでエンジンをスタートし走り始める。1.5リッターながらターボ過給によりドライバビリティが優れていることはシビックでも実証されているが、SUVとなって重量が増し重心も高くなったことで力不足も懸念されるところだが、一般路を想定した走行パターンでは何らパワー不足を感じることもなく扱いやすい。

 今回は試乗コースが「群馬サイクルスポーツセンター」というクローズドコースであったこともあり、少し車速域を上げコーナーを責め込むような走りも試みた。AWDの制御はリヤデフの前に配置される電子制御カップリング湿式クラッチの作動により行われる。一般的にFFベースのAWD車は前2輪駆動で通常走行するパターンが多いが、ZR-Vの場合は常時後輪にも駆動力を与え、AWDとしての安定性を常に発揮できるようなセッティングが施されている。

 また、アクセルを踏み込んで加速するようなシーンでは後輪荷重が増加し、よりクラッチを強く締結することで後輪への駆動力配分を高め、操舵応答性を確保できるように前輪駆動力をあまり高めないというような配慮がされている。

 SUVでありながらプッシュアンダーを抑え込みつつ軽快なハンドリングを実現し、操縦安定性を高めようという見地から到達したセットアップだといえる。実際、ハンドリングは極めて安定していて多少攻め込んでも電子制御の介入はほとんど感じないほど。

 デュアルピニオン化された電動アシストパワーステアリングは剛性感が極めて高く、また操舵フィールにも優れていて微操舵応答性も優れている。切りまわし応答性も良く、大舵角の転舵時にも剛性感が損なわれずにしっかりとした操舵フィールが確保されているのはありがたいところだ。

 さすがによりハイスピードでスポーツカーのように走らせようとすれば絶対的なパワー不足感は否めないが、現代においてはそのような走行シーンを日常生活面で迎えるシーンはほとんどない。また、標高の高い雪国や坂道の多い場面ではターボの過給トルクが十分に発揮されるので、やはり実用的な面での動力性能不足は起こり得ないだろう。57リットルの燃料タンクが確保され、航続距離が長いこともSUVという車両特性からすればありがたいことだ。

 モーターのトルクで力強い走りも可能なe:HEVモデル

 次にe:HEVのFFモデルに試乗する。こちらはZグレードとなり、室内の装備面はより充実している。たとえばシートヒーターが前席左右に装着されており、後席にもシートヒーターが備わる。また、前席アジャスト機能は左右とも電動だ。

 ハイブリッドモデルになるとセンターコンソールのシフトレバーは姿を消し、その位置にはシビックに採用されているのと同じボタン式のシフトセレクターが備わる。ボタン式ゆえにセンターコンソール上面はフラットに仕上げられ、非常にすっきりとした印象が得られつつ操作性も優れているのだ。

 Dレンジボタンを押してアクセルを踏めば直ちに走り出すが、初めはEVモードでの走行となる。ホンダのe:HEVは、こうした発進や日常的な領域においては135kWの電動モーターで駆動力を発揮し、高速の巡航領域など状況に応じてガソリンエンジンがクラッチにより駆動輪と結ばれて動力源として機能するような仕組みとなっている。

 また、搭載するバッテリーは決して大容量のものではないのでエンジンが始動せずに走る距離、いわゆるEVモードは非常に短距離であるが、エンジン直結のジェネレーターが必要に応じてエンジンを始動させるので、その際の振動や騒音は室内に入ってこない。ドライバーは常にEVモードで走行しているような錯覚を覚えるほど静かに走れる。

 e:HEVになると最大トルクが250Nmとなり、ガソリンターボエンジンのほぼ倍に近いトルクが瞬時に発揮され、極めてトルクピックアップに優れた気持ちの良い加速が得られる。

 ドライブモードはノーマル、スノー、ECON、スポーツが選択可能で、デフォルトはノーマルとなっているが、スポーツを選択するとメーター表示が切り替わり、またアクセルのレスポンスやパワーステアリングのアシストなどが変化して、より重厚かつトルクフルな走り味へと切り替わる。

 FFであっても重心の高さはほとんど感じさせず、急発進やコーナー立ち上がりで急激なトルク変動を与えても、走行ラインが大きく乱れることはない。ブレーキトルクベクタリングのような仕組みはないが、デュアルピニオン式パワーステアリングがしっかりとした操舵フィールを維持し、SUVの高い車高に対応させるように新造されたサスペンションアームなどが前輪の接地感を高め、本来FFのSUV車が不得意とするような場面においてもしっかりと駆動力を確保できていることが確認できた。

 また、FFモデルはプロペラシャフトやリヤのデファレンシャル機構を持たないので軽量に仕上り、動力性能面ではもっともパワーウエイトレシオに優れる仕様となっている。

 次にe:HEVのAWDモデルを試乗する。こちらはe:HEVのパワーユニットから後輪にプロペラシャフトでパワーをトランスファーし、ガソリンと同じで電子制御湿式クラッチで後輪アクスルへとパワーを伝達する仕組みだ。ハイブリッドモデルは通常前後にモーターを備えるe-4WD方式のモデルが多いが、ガソリンモデルと同じAWDシステムを採用することは、コスト、走行性能、重量バランスなどさまざまな面でメリットが多いといえるだろう。

 AWDとなったことで、よりトラクションのキャパシティが高まり、高出力モーターのトルクを瞬時にかけてもより多くの駆動力が後輪へと配分され、発進時の直進安定性やトラクション性能は他のモデルに比べ大きく上まわる。

 また、電動モーターの強力なトルクは重量の増加をまったく意識させず、力強い加速で速度を上げていくので胸のすくような動力性能が得られている。

 シビックのe:HEVもそうだが、エンジンはフル加速状態だと高回転まで引き上げられ、そこでステップ比があるように変速フィールを演出する仕組みとなっているが、一般道においてはおそらくその領域までアクセルを踏み込むことはないだろう。常用的には4000回転以下のよりトルクが効率の良い領域で発電をしながらシリーズハイブリッドとして走行しているので、遮音性やNVH性能はシビックのように優れている。

 e:HEV+AWDという仕組みで燃料消費が圧倒的に優れたSUVが構築されているわけで、燃料タンク容量は47リットルと小型ながら満タン時の航続距離はモード燃費だと1000kmを超えるという。

 また、雪国や山岳地域では電動モーターのトルクとAWDの組み合わせは非常に魅力的であり、こうした地域でSUVを求めるユーザーの多くから大きな歓迎の声が寄せられているという。

 昨今の国際情勢による生産や納車の遅延などにより本来2022年秋の発売を目指していたZR-Vだが、残念ながら国内発売は来年2023年の春と見直された。発表自体はすでに行われていて、北米や中国などでは発売もされているので、市場からのさまざまなインフォメーションも参考にして、来年の発売に向けて共有されていくと思う。

こんな記事も読まれています

イクリプスがカーナビ「AVN」のLSシリーズ2024年モデルを発売
イクリプスがカーナビ「AVN」のLSシリーズ2024年モデルを発売
レスポンス
ヒョンデが近々WECハイパーカークラスに参入目指す? LMDh車両開発を準備中との噂
ヒョンデが近々WECハイパーカークラスに参入目指す? LMDh車両開発を準備中との噂
motorsport.com 日本版
気軽に「憧れのフェラーリやデロリアン」のオーナーに! 価値ある旧車を毎月一定額で共同所有「クルマ好き必見の新サービス」とは
気軽に「憧れのフェラーリやデロリアン」のオーナーに! 価値ある旧車を毎月一定額で共同所有「クルマ好き必見の新サービス」とは
VAGUE
新型「“ミニ”Gクラス」登場! 斬新“スッキリ”マスクの「3列シートSUV」! めちゃ静音な新型「EQB」発売 811万円から
新型「“ミニ”Gクラス」登場! 斬新“スッキリ”マスクの「3列シートSUV」! めちゃ静音な新型「EQB」発売 811万円から
くるまのニュース
オーロライエローが輝く、太陽がテーマの『レンジローバースポーツ』登場
オーロライエローが輝く、太陽がテーマの『レンジローバースポーツ』登場
レスポンス
ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」
ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」
AUTOSPORT web
【史上最強】ベントレー第4世代の新型コンチネンタルGTを発表
【史上最強】ベントレー第4世代の新型コンチネンタルGTを発表
driver@web
マゼピン、ウクライナ侵攻の制裁解除で久々にEU入り。ハンガリーでLMGT3車両をテスト
マゼピン、ウクライナ侵攻の制裁解除で久々にEU入り。ハンガリーでLMGT3車両をテスト
motorsport.com 日本版
ECLIPSEのカーナビゲーションシステム「LSシリーズ」に2024年モデルが登場! スムーズな操作と見やすい地図情報、キレイな映像が特長
ECLIPSEのカーナビゲーションシステム「LSシリーズ」に2024年モデルが登場! スムーズな操作と見やすい地図情報、キレイな映像が特長
くるまのニュース
今こそ知りたい!! 耐久レースを席巻したホンダの無敵艦隊「RCB1000」の使命とは?
今こそ知りたい!! 耐久レースを席巻したホンダの無敵艦隊「RCB1000」の使命とは?
バイクのニュース
ガスリーが激しいチームメイトバトルの末に10位入賞「今日のところは1ポイントでよしとする」/F1オーストリア
ガスリーが激しいチームメイトバトルの末に10位入賞「今日のところは1ポイントでよしとする」/F1オーストリア
AUTOSPORT web
2年ぶりのフルモデルチェンジ、カワサキの競技用モトクロッサー「KX250」
2年ぶりのフルモデルチェンジ、カワサキの競技用モトクロッサー「KX250」
レスポンス
【MotoGP】アレックス・リンス、オランダGPクラッシュで右手骨折し手術。今週末のドイツGPは欠場してレミー・ガードナー代役か
【MotoGP】アレックス・リンス、オランダGPクラッシュで右手骨折し手術。今週末のドイツGPは欠場してレミー・ガードナー代役か
motorsport.com 日本版
1540馬力、電動スーパーチャージャーのジェネシスが「グランツーリスモ」で爆走! 実車を初公開
1540馬力、電動スーパーチャージャーのジェネシスが「グランツーリスモ」で爆走! 実車を初公開
レスポンス
トヨタ「“新”ハイエース」登場! 精悍「黒すぎ顔」×「オシャベージュ」がカッコイイ! アウトドア映えする新「アースカラーPKG」に大反響
トヨタ「“新”ハイエース」登場! 精悍「黒すぎ顔」×「オシャベージュ」がカッコイイ! アウトドア映えする新「アースカラーPKG」に大反響
くるまのニュース
トヨタ「アルヴェル」の足元に高級感と絶対的な安心感をプラス! ウェッズ「マーベリック1613M」はミリ単位のインセット設定が可能です
トヨタ「アルヴェル」の足元に高級感と絶対的な安心感をプラス! ウェッズ「マーベリック1613M」はミリ単位のインセット設定が可能です
Auto Messe Web
スズキがサステナブル素材を使用した「ジムニー」のマグカップを発売。オーナーでなくても欲しいかも・・・!
スズキがサステナブル素材を使用した「ジムニー」のマグカップを発売。オーナーでなくても欲しいかも・・・!
Webモーターマガジン
2021年のような“泥沼化”はごめんだ。マクラーレン代表、バトル時の規則厳格化を提唱「今回もマックスのライン変更に警告を出していれば……」
2021年のような“泥沼化”はごめんだ。マクラーレン代表、バトル時の規則厳格化を提唱「今回もマックスのライン変更に警告を出していれば……」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

30件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

193.7235.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.9260.3万円

中古車を検索
シビックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

193.7235.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.9260.3万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村