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世界最速の4シーターGT「ストーム」はわずか4台だけが世に出た! マイナーメーカーとして片付けるにはちょっと惜しい英国の「リスター」を知ってるか?

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世界最速の4シーターGT「ストーム」はわずか4台だけが世に出た! マイナーメーカーとして片付けるにはちょっと惜しい英国の「リスター」を知ってるか?

 この記事をまとめると

■「リスター」は長い歴史をもつ英国のスポーツカーメーカーだ

「スポーツカー」なのか「スーパーカー」なのかは何で決まる? あいまいな境目を考えてみた

■レース発祥のメーカーでスーパーカー「ストーム」はとくに名高い

■ジャガーベースのコンプリートカー製作を中心事業として現在も活動中

 じつは歴史の長い英国メーカー

 今回はリスターというイギリスのスポーツカーメーカーを紹介しようと思う。

 日本ではあまり聞き慣れない名前だけに、またハイパーカーでひと儲けを狙う新興勢力の誕生かと思いきや、じつはこのリスターの創業は1954年の話だから、その歴史はすでに今年で70年を迎えていることになる。

 創業者のブライアン・リスターが1954年に最初に送り出したモデルは、当時のクーパーに大きな影響を受けたもので、チューブラーフレームにドディオン式リヤアクスル、インボード式のドラムブレーキを採用するなど、メカニズム的にも見るべき点が非常に多いものだった。

 エンジンとミッションはMG製のものだったが、いくつかのレースに参戦するなかで、そのパフォーマンスに不満を感じると、性能向上のために早々にブリストル製エンジンを搭載するなど、その進化は常に積極的な姿勢を貫いた。

 そして、さまざまな紆余曲折を経て、リスターが出会ったのがジャガー製のエンジンだった。3.4リッターのジャガーDタイプ用XK直列6気筒エンジンを搭載した「リスター・ジャガー」は、エアロダイナミクスに優れたアルミニウム製ボディとの組み合わせで圧倒的な運動性能を発揮し、1957年のブリティッシュ・エンパイア・トロフィで優勝。

 その後もシボレー製のエンジンと新しいボディワークによるニューモデルを開発したが、1959年末にはリスターはレースからの撤退を決断。一方でカスタマー向けモデルの開発と生産はそのまま継続されることになったが、その後、リスターそのものが活動を停止する事態へと追い込まれる。

 新たにリスターカーズとして彼らが復活を遂げたのは1986年のことだった。彼らがまずビジネスのメインに定めたのは、当時のジャガーXJSをチューニングし、じつに322km/h以上の最高速を実現、その超高性能GTを10万ポンド以上という高価格で販売することだった。

 そのプランは多くのカスタマーから好評を博し、約90台のチューニングを受けたXJSがリスターカーズから出荷されたという記録が残っている。

 代表作にして渾身の一作「ストーム」

 そして、次なる野望としてリスターカーズが狙いを定めたのが、自社ブランドに独自の新しいスーパースポーツを生み出すこと。その計画が結実したのは1993年、「リスター・ストーム」の誕生である。

 ストームは、ジャガーがル・マン24時間レースなどに投入したグループCマシン、「XJR-9」に搭載されていたV型12気筒エンジンをベースとした、当時としては最大級となる6996ccの排気量を設定した狂気のモデルだった。

 カーボンファイバー製のシャシーとボディワークを組み合わせた構造は、まさにレーシングカーそのものの構成で、左右のドアとグリーンハウスのみをVWコラードのデザインから流用しているほかは、ほぼすべてがリスターのオリジナルデザインであるといってよい。参考までにそのCd値は0.35。エアロダイナミクスも十分に高性能なものであった。

 V型12気筒エンジンが発揮する最高出力値と最大トルク値は、それぞれ554馬力、790Nm。このスペックが負担する車重は1664kgで、したがって0-97km/h加速は4.1秒。最高速は335km/hを達成。それはオンロードを走行できるモデルとしては、デビューからしばらくの間、世界最速の4シーターグランドツアラーと評された。

 だがこのストームには大きなウイークポイントがあった。それは22万ポンド(現在の日本円換算で約4300万円)に設定されていた車両価格で、購入を考える多くのカスタマーはこの数字を前に、ストームのオーナーとなることを諦めなければならなかったのだ。結果的にストームの生産が中止されるまでに販売された台数は、わずかに4台が記録されているのみである。

 一方でリスターカーズは、ストームをサーキットへと導くことには積極的だった。1995年のル・マン24時間レースには「ストームGTS」で挑むものの、ギヤボックスのトラブルでリタイヤ。だが翌1996年には、このギアボックスを6速のシーケンシャルタイプに変更した、進化型のストームGTSで、見事に同レースを19位で完走している。

 その後、リスター・カーズはストームGTSをBPRグローバルGTシリーズに投入。鈴鹿1000kmレースにもエントリーしたことを記憶しているファンも多いはずだ。

 ストームGTSはさらに、「ストームGTL」、「ストームGT」、「ストームLMP」と進化を続け、最終的にファクトリーチームは2004年までモータースポーツ活動を続けている。

 現在のリスターは、正式にはリスター・モーター・カンパニーへと、再びその社名を変更しており、そのビジネスのメインはジャガー車をベースとしたチューニングモデルや特別仕様車の企画、製作と販売に移行している。

 このようにリスターの歴史を振り返ると、ストームとともにあった時代こそが、彼らがもっとも輝いていた瞬間であったような気持ちにもなる。はたして4台のみが生産されたロード仕様のストームは、いまどこに安住の地を得ているのだろうか。

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