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愛車の履歴書──Vol31. 佐野勇斗さん(番外後編)

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愛車の履歴書──Vol31. 佐野勇斗さん(番外後編)

愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第31回。今回は、はじめてのマイカー購入を考えている人にスポットをあてた番外編! 後編では俳優の佐野勇斗さんが、輸入SUVを試乗した。

旧いクルマの魅力に気がつく

愛車の履歴書──Vol31. 佐野勇斗さん(番外前編)

【前編はこちら】佐野勇斗さんのはじめての愛車選び──後編となる今回は、気になる輸入車に試乗してもらった。

「デカくてゴツいSUVが好み」「ちょっと古いクルマにも興味アリ」「左ハンドルに憧れアリ」といった条件から編集部が用意したのは、まずはメルセデス・ベンツの新旧Gクラス、通称“ゲレンデヴァーゲン”だ。

まず、1990年型のメルセデス・ベンツ230GEと、最新のG400dを試してみる。佐野勇斗さんは、「ゲレンデはやっぱり有力候補ですよね」と、言いながら2台に近づいた。試乗の前に、ざっくりとGクラスの歴史を振り返っておきたい。

第2次世界大戦において米・陸軍のジープの活躍に刺激を受けたヨーロッパでは、悪路を走れる4輪駆動車の開発が進められた。イギリスではランドローバー(現在のディフェンダー)が生まれ、ドイツではメルセデス・ベンツがGクラスの開発に着手した。1979年に完成したGクラスはNATOに制式採用され、1981年には民生版が市販されるようになる。

以後、40年近くにわたって改良をくわえながら生産されてきたが、2018年にいよいよ初めてのビッグマイナーチェンジを受ける。それが現行のGクラスだ。

佐野勇斗さんはまず、1990年型の230GEの運転席に収まった。2.3リッターの直列4気筒ガソリンエンジンを始動して、スタートする。彼が真っ先に口にしたのは、「アクセルのペダルが重い!」という感想だった。

「気合を入れてアクセルを踏まないと加速しない感じです。でも、少し前のクルマのエンジン音はいいですね。最初に乗ったランクル(300系)とレクサス『LX』は、かなり静かで高級感がありましたが、エンジン音が車内に響く、昔ながらの雰囲気も好きです。アクセルの重さといい、エンジン音といい、クルマとダイレクトに接しているように感じます」

四半世紀前に生産された230GE が気に入ったようで、「見た目より全然運転がしやすいです!」と、ご満悦の様子だ。

「最近のクルマより車幅が狭いせいか、細い道に入ってもきになりませんね」とのことで、資料をあたると車幅は1775mm。これは、現代のトヨタ「ヤリス クロス」よりスリークなのだ。

ちなみに、試乗した個体は東京都内で輸入中古車を扱うユナイトフォーが仕入れたモデル。ヤナセのステッカーがまぶしいディーラー車で、ほぼオリジナルという。残念ながらすでに買い手が付いていると聞かされた佐野さんは、「状態のいいモデルはすぐに売れちゃうから、常に情報をアップデートしないといけませんね」と、表情を引き締めた。

続いて、最新のG400dに試乗。ハンドルを握り、数10m走ったところで「さすが、さっきの230GEよりはるかに滑らかになっていますね」と、自動車の進化を肌で感じたようだ。

「エンジンもびっくりするぐらい力があるのにスムーズで、いいクルマだということが初心者の僕にもわかります」

排気量3.0リッターの直列6気筒ディーゼルターボエンジンの最高出力は330ps、最大トルクは700Nm。助手席に座っていても、湧き出るマグマのようなトルク感を感じる。

けれども佐野さんは、「すごくいいクルマだけに、東京ではよく見かけるじゃないですか? おなじクルマとすれ違う機会が多いのが気になるところですね。でも、すごくいいクルマということは運転してよくわかったので多くの人が乗るのも納得です」

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2020年に登場した5代目エスカレードは、最高出力426psを発生する6.2リッターのV型8気筒エンジンを搭載。エンジン排気量だけでなく全長5400mmというボディサイズも日本車とはスケールが違い、大げさではなく小山のようだ。

日本におけるエスカレードは「スポーツ」「プラチナム」「プレミアム」という3つのグレードを展開する。性能的な違いはなく、「スポーツ」が精悍な装い、「プラチナム」がエレガントな雰囲気、「プレミアム」が 定員8名(他は7名)という差異がある。

今回は黒い「スポーツ」と白い「プラチナム」の2台を用意した。なぜなら、佐野さん自身がスポーツとプラチナム、どちらのグレードも気になってしょうがなかったからだ。

黒いエスカレード スポーツのドライバーズシートに座った佐野勇斗さんは、「子どもの頃からの憧れだったんです」と、切り出した。

「洋画に登場したんです。確か、SP(セキュリティポリス)が乗っていて、それがめっちゃカッコよかった。だから、自分でエスカレードを運転できるのは夢のようです」

エンジンを始動して、アクセルをひと踏み。

「いや、これはヤバいですね。力強いとか加速に余裕があるというのを超えて、腹にズシンとくる加速です」

AKGのサウンドシステムの電源を入れて、佐野勇斗さんが所属するダンスボーカルグループM!LKの新曲「Kiss Plan」を流す。

「レクサスの音もよかったけれど、こっちも負けず劣らずいい音ですね。自分のクルマを持つようになったらキャンプやゴルフに行きたいと思っていますが、このクルマで音楽を聴きながら景色のきれいな場所に行ったら最高ですね」

エスカレードのハンドルを握りながら、2024年の表現活動についての話を聞く。

「3月にAmazon Originalドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』の配信が始まります。僕は冴えない大学生役で、主演を務めました。作品は世界配信で、海外の方にも好まれそうな京都の風景や文化が詰め込まれているんです。それにCGもとんでもないレベルなので、世界でどんな評価を受けるのか、いまから楽しみにしています」

では、間もなく世界中で名前が知られるようにかもしれない佐野勇斗さん、初めてのクルマにどれを選ぶのか決まったのだろうか。

「もうホント、どれも最高でした。でも試乗を終えた現時点で、買える・買えないは別として、見積もりを依頼するとしたら、60系のランクルとエスカレードですね。エスカレードは、黒いプラチナムも見てから考えたいです」

機会を見て、佐野勇斗さんの最初の愛車選びの顛末を報告したい。

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【愛車の履歴書 バックナンバー】
Vol1.市毛良枝さん 前編/後編
Vol2.野村周平さん 前編/後編
Vol3.宇徳敬子さん 前編/後編
Vol4.坂本九さん&柏木由紀子さん 前編/後編
Vol5.チョコレートプラネット・長田庄平さん 前編/後編
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Vol31.佐野勇斗さん 前編

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・望月光 スタイリング・伊藤省吾(sitor) 編集・稲垣邦康(GQ) 撮影協力・キラナガーデン豊洲

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