日本の車名でもっとも長い歴史
ランドクルーザーという車名(商標)は1954年にトヨタBJ型が改名してランドクルーザーになった時から現在まで続く日本最長の車名である。
【画像】トヨタ・ランドクルーザー 70ベースの40とは!?【詳細画像】 全11枚
現在、海外を含めた全市場で販売されているランドクルーザーは大きく分けて、
・ヘビーデューティ70系
・ライトデューティ70プラド系
・タフ&プレミアム300系
の3系統となる。
昨今「再再販」で話題の70はランクル40系の後継として1984年に日本国内での販売を開始して以来、悪路走行に適したヘビーデューティな4×4として約40年にわたって世界各国で絶大な信頼を得てきた。
日本国内における70は発売から20年を迎えた2004年に排ガス規制等の諸問題を理由に販売を終了しているが、日本以外の海外~アジアやオーストラリアでは、現在も新車でランドクルーザー70が販売されている。
海外では40~50年経過したランドクルーザーが今も現役で活躍していることは珍しくない。
これは、ランクルの耐久性が素晴らしく、堅牢で悪路走破性が高いから壊れないということはもちろんだが、純正/汎用ともにアフターパーツの供給体制や整備性が他のクルマとは一線を画していることも大きく関係している。
海外と日本で長年、ランドクルーザーを扱ってきたショップのオーナーは以下のように話す。
「もちろん年数が経過して入手困難になったパーツも多いですが、日本以外の国であっても何とか汎用パーツを使って悪路を走破し、『生きて帰る』ことができるレベルには直せます」
「一例をあげるとランクル70は生産時期やボディタイプによって足回りの方式が違いますが、現在もフロントはコイルリジッドを採用しています。構造が簡単、かつ強靭で交換や整備も容易です」
「整備性に優れていて汎用パーツとの互換性も高いので純正部品が入手できなくても応急処置でなんとかなるのです」
2014年「再販」 どんな仕様?
日本では70の販売終了から10年後の2014年8月に70系誕生30周年を記念した復刻モデルとして期間限定(2015年6月30日生産分で受注終了)ながら70の再販をおこなっている。
この時トヨタ自動車は再販の理由を「70シリーズの復活を望むファンの強い要望に応えるべく」として過去に発売されていた4ドアバン(GRJ76K型)に加えて、最大積載量600kgの堅牢なデッキスペースを備えた国内初となるダブルキャブ・ピックアップ・トラック(GRJ79K型)を販売した。
パワートレインには2モデルとも国内初採用となるV型6気筒4.0Lの1GR-FEエンジンを搭載。トランスミッションは5速マニュアルのみ。パートタイム4WDシステム(デュアルモードオートマチックロッキングハブ付)を備えた。
なお、2015年6月30日で販売を終了したのは同年7月26日以降の生産車両に適用される新保安基準(車両突入防止装置)をはじめとした複数の保安基準に適合できなくなったことなどが理由だ。
ちなみに、今年のオートサロンでは群馬トヨタのブースに再販されたランドクルーザー70ダブルキャブ・ピックアップ・トラック(GRJ79K型)が出展されていた。こちらは父親の代から「きこり」を生業とするオーナーから借りてきたという。ふだんは「ランクル70じゃないとダメな場所と用途」で使用されている個体で、本物の「お仕事仕様」のランクル70である。
そのランクル70がいま「再再販」されようとしている。筆者が確かな筋から「再再販」の情報を入手したのは昨年11月半ばのことであり、その後、再再販を裏付ける数々の確定事項が公表されて来ている。
ランクルを製造するトヨタ車体やこれまで国内未発売SUVの発売に深くかかわってきた販社のランドクルーザーをめぐる昨今の動きをまとめてみた。
群馬トヨタと未発売SUV 強い関係
アラコ時代(トヨタの子会社で、かつて存在した製造/架装業者)からランクルの生産をおこなうトヨタ車体は、ランクルに関する情報発信、ランクルのカスタムなど「ランクル事業」に力を入れていくことを公表している。
トヨタ車体
12022年12月に組織変更および人事異動に関するリリースを発表。
そこには、ランクル事業の推進体制強化として、大切にすべき「ランクル」ブランドについて、お客様が喜んでいただける価値を持続的に生み出すため「商品・事業企画部」に「LC事業推進室」を新設』とあり、12月1日に「LC事業推進室」を立ち上げた。
212月末にランクルのカスタムショップ「ランクルBASE」の開設を発表。ランクルに関する情報発信基地も兼ねている。
31月の東京オートサロンに初出展のトヨタ車体が70ベースの40を製作途中ながら公開。2023年内にはナンバーを取得し、公道を走れる仕様となる予定。
4同じくオートサロンには「ランクルBASE0(ゼロ)号店」のコンセプトでブースを設営
51月21日実店舗である「ランクルBASE」が愛知県刈谷市内にプレオープンした。
後述するがRVパークを擁する群馬トヨタは過去、国内未発売のトヨタSUV車が日本で販売されることに大きく関わってきた。オートサロンにおける出展車両にも要注目なのである。
群馬トヨタ/RVパーク
1オートサロンにてランクル70(2014年再販モデルのWキャブピックアップ)のオーナーから借りてきた「きこり」仕様を出展。
2オートサロン会場での筆者の取材に対して「メーカーと共にランクル70再再販に向けて全力で動いている」と明言
これら一連の動きに加えてトヨタ部品メーカーの子会社が70ディーゼルのパーツ生産をスタートしたという情報もある。
群馬トヨタと海外販売車種の関係
なぜ、一販社である群馬トヨタが、ランクル70再再販に深く関わるとされるのか? それは、2010年以降に国内販売が実現した海外向けトラック/SUV系車種との関係を見れば納得できるだろう。
・FJクルーザー(国内未発売)→2010年販売開始
・ランクル70→2004年国内販売終了→2014年8月再販売
・ハイラックス→2004年国内販売終了(6代目)→2017年9月再販売(8代目)
これら3車種はすべて、国内販売が決定する数か月前に東京オートサロンの群馬トヨタブースで展示された実績がある。
群馬トヨタの自社イベントや群馬パーツショーでの展示もおこなわれた。その後、実際にトヨタ自動車から正式に販売が開始されている。
2014年に70が再販した時は、同年1月の東京オートサロンで群馬トヨタのブースにランドクルーザー76バンと79ピックアップのカスタムモデルが展示された。
その約7か月後にトヨタ自動車から同型車種が再販されている。
今年のオートサロン会場で群馬トヨタの担当者に聞いた話をまとめてみると……。
「メーカーは再再販をおこなう方向でやっています。個人的にはディーゼルでオートマティックではないかと思います」
「近い将来、出す方向で動いていますが時期はまだ明確にはわかりません」
「いっぽうどんどん保安基準は厳しくなっています。自動ブレーキの義務付けや排ガス基準、燃費、衝突安全、歩行者保護に関する基準など。それらに対する対策も必要になってきます。自動車メーカーとして乗り越えるべきハードルはたくさんあります」
「抽選販売という形になるかもしれませんし通常の販売方法かもしれません。いずれにしても、近い将来、70の『再再販』を実現するという決意で頑張っているという事かと思います」
すでに70既納客に営業活動開始!
オートサロンが終わった1月半ば以降、既納客に対してディーラーが再再販される70の営業をかけているという情報が複数寄せられている。
「2週間くらい前ですね。70を買ったトヨタのディーラーに行ったら担当者からランクル70の再再販がされるから、いかがですか? という話がありました」
「ずっと噂されていたことでもありますし、ああ、本当に売るんだなという嬉しい気持ちになりました。2014年に70を買った人に対して内々に声がけしてるみたいですね」(中部地方在住のランクル70オーナー)
「1月に入ってから再再販に関してディーラーから内々に連絡があった、という人が私の周りにも増えてきました」
「今年夏ごろに正式受注が開始されて、来年以降に納車開始と聞きました。でもまだどのモデルを売るとか詳細は未定だそうです」
「売るのは売るんでしょうけど、既納客の購入意思を確認している、そんな感じでしたよ」(関東地方のランクル80オーナー)
来年納車…と言えば、2024年。ランクル70発売から40周年を迎える年であり、ランドクルーザー誕生から70年という記念すべき年である。
そしてさらに、その記念すべき年に噂されるのが自衛隊車両1/2tトラック(旧73式小型トラック)への採用だ。現在、1/2tトラックは1996年より2代目パジェロベースのラダーフレームを延長した車両が使われているが、これがランクル70ショート(幌)ベースに代わるという。
戦後、トヨタ自工(当時)は警察予備隊(自衛隊の前身)とアメリカ軍の要請を受けて1951年1月に1/4トン積みトラック(ジープ型)の試作車「トヨタ・ジープ」を完成させた。のちにトヨタBJ型、1954年よりランドクルーザーに改名したクルマである。
競合モデルとの比較テストでは三菱ジープを上回る最高速度100km/hに達するなど優秀な成績を収めたが、すでに実績のあったジープに敗れ警察予備隊への採用には至らなかった。
ランクル70が自衛隊1/2tトラックに採用されればこちらも70年来の悲願達成となる。
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みんなのコメント
一次情報源以外からは信用出来ないな