すべてはハヤブサのために
ジムニーがショーファーカー!?
ペットにクルマを載せて…なんてのはよく聞く話だが、今回はちょっと違う。ハヤブサと言っても、バイクじゃない。あの猛禽類を載せたジムニーのお話をお届けしようと思う。
※本記事は、2019年7月号のドライバー誌に掲載した内容を一部編集しています
いまだやまない新型ジムニーの人気。そんなジムニーを、予想だにしない趣味の相棒に迎えた人がいた。そのオーナーを教えてくれたのは、ジムニーカスタムショップの代表格「APIO(アピオ)」の河野 仁代表取締役社長。「弊社のお客さんで、ハヤブサをジムニーの後ろに乗せている人がいます」。ん? バイクを?
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違う。鳥のほうである。名前はよく聞くが、ちょっとなじみがない。そもそも、なぜジムニーにハヤブサを乗せているのだろうか?
相模川の河川敷で合流したオーナー氏の名前は、白倉貴之さん。子供のころから動物が好きで、しかも某自動車メーカーに勤めていたという経歴を持つ。クルマにもうるさいのだ。
●オーナーの白倉貴之さん。動物、生き物好きが高じて脱サラ。レッドビーシュリンプという観賞用のエビの飼育用品開発などを手がける「ミニバブリーダーシラクラ」を設立。シュリンプ界のパイオニア的存在として活動している
●スクエアなスペースを生かしてハヤブサ専用のボックスを製作
●行儀よく止まっているハヤブサを見ると、お面をしている。移動中、光を遮断してストレスを与えないようにしている
そんな白倉さんが、ハヤブサに出会ったのは数年前。ハヤブサを使ったレース競技を見たときだった。「その速さに度肝を抜かれました。飛ぶ姿がとてもかっこよくて」と、ディープな趣味の世界にのめり込んでいった。
●ハヤブサは世界中に生息する猛禽類の鳥。空中から獲物を襲う際のスピードは300km/hを超えるとも言われる
●こちらのハヤブサの名前は「ウラン」。写真上の白ボディは「ブリザード」と名付けられた
ハヤブサを乗せるのに、ジムニーが最適なの!?
ハヤブサ使いとなった白倉さんが次に求めたのは、遠征時の移動手段。目を付けたのは新型ジムニーだ。
「かつてジムニーに乗っていたこともあって、その走破性はハヤブサを乗せるのにうってつけだなと。なぜかといえば、ハヤブサを飛ばす練習場までは悪路が多く、道中でスタックするとハヤブサの命が危険です。また、狭い道ではランクルとか大きなクルマだと不便だし、行けない場所も増えます。軽でもよかったんですが、長距離移動が多くなるので排気量の大きいシエラにしました」と、白倉さんは愛車に迎えた理由を語ってくれた。
新型については、「ずいぶん乗用車チックだなぁ」との第一印象だったが、ハヤブサを乗せて練習に行くにつれて、もっと乗り心地をよく、運転しやすく、とカスタマイズを断行。運転手の快適性や安全はハヤブサの身にも直結するからだ。機能を優先させたカスタマイズが好印象である。
ハヤブサと白倉さんの関係は、いわゆるペットと飼い主ではない。主従関係に近く、ハヤブサは王様。
「指示どおり飛んだりするとエサをくれるから仕方ないな、と思っている感じですね、ハヤブサは」。なるほど、さすがは猛禽類。ちなみに、エサはヒヨコである。
「でも、家のなかではでっかいインコみたいな扱いです。止まり木の上で、エサを待っているだけですから」。
確かに目玉もまんマルで、その表情はかわいらしい。つい、なでたくなってしまうが、「くちばしや足でやられたら本当に大けがしますんで」。
忘れちゃいけない、猛禽類である。
●「ステアリングが遠いのがダメで」ということで、社外のエアバッグなしのステアリングに変更。ボスをかませてドラポジを改善している
●シートはレカロのバケットタイプに換装。本革+アルカンターラの特別仕様だ
●空気を送り込んでランバー部を調整する機構あり。サポート性が向上する
●ホイールはアピオが手がけたジムニー専用の15インチアルミ「WILDBOAR SR」。スチールホイールを彷彿とさせるレトロデザイン。ブリヂストンのデューラーM/Tとのワイルドなマッチング
●ダンパーはビルシュタイン製で、エナペタル(愛知県)が特別にチューニングした一品を装着。より滑らかで乗用車ライクな乗り味を実現している
〈文=ドライバーWeb編集部〉
■取材協力
ジムニープロショップ アピオ
神奈川県綾瀬市吉岡651
0467-79-3732
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