かつての勢いは今、どこへ!?
日産デパート
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1970年代のおわりから1990年代のはじめにかけて、日産は“デパート”のようだった。
よくいえば、アイディアの宝庫。悪くいえば、とりとめがない。トヨタのラインナップは整然としていたが、日産は混沌。脈絡のない商品化が、クルマ好きにとって、たいへんおもしろかった。
それゆえ、当時の日産車といっても、人によって挙げるクルマがちがう。「Be-1」というひともいるだろうし、S13型の「シルビア」、あるいは初代「シーマ」とか「インフィニティQ45」、「ブルーバード」や「フェアレディZ」も人気が高い。MPV(マルチパーパスバン=ミニバン)の走りである「プレーリー」もあった。
車体剛性が低くエンジンも頼りないプレーリーはともかく、ほかは、どのモデルも、いまも乗りたくなる。開発担当者の思い入れがたっぷり詰まっていて、車種ごとに強烈な存在感を放っている。
2020年代になっても、当時の日産車に惹かれる人がけっこうな数いる理由になっているのではないだろうか?
(1)セドリック/グロリア(430型)当時の日産車を象徴する1台が「セドリック」と姉妹車の「グロリア」だ。430型と呼ぶシリーズは、1979年に登場。セドリックは5代目で、グロリアは6代目だった。車名の違いは販売チャネルの違いによるものだ。
430型の特徴は、直線基調のボディと、いわゆるBピラーをもたないピラーレスハードトップのデザイン。それにもうひとつ、ターボ車の設定だ。日本のメーカーの乗用車としては初搭載として、当時、大いに話題になった。
「現在のクルマと同様に小さい排気量でハイパワーと燃費性能を両立させるターボチャージャー技術に注目が集まり、日本のクルマに『ターボ時代』の幕開けをもたらした立役者といえます」
日産は、上記のように2000ターボの解説をしている。いまは、エンジンの燃焼技術が発展。メルセデス・ベンツ「Eクラス」にも1.5リッター車が設定されるぐらいだ。小さな排気量で燃費をかせぎつつ、効率的なターボチャージャーをうまく使い、パワーはかつての2.0リッター以上という“ダウンサイジング”が一般的だが、セドグロにターボが設定されたときは、そんなイメージはなかった。
エンジン回転数が上がってターボチャージャーがまわり出すと、どっかんとパワーが上乗せされる。1981年にはフェアレディZにもターボモデルが追加されるなどして、それはイメージ的にも合うと思ったけれど、小さなアメリカ車的なイメージをまだひきずっていたこのときの“セドグロ”だけに、違和感があったのは事実。
でもファンにはそこがよかったんだろう。つまり、洗練性というより、ある種の爆発感というか……スピードが日常生活のもやもや感を吹き飛ばしてくれるような、快楽的なキャラクターが生まれたのだ。直線基調のボディに、妙に豪華さを追求した内装。そして加速感。そこがいまの目にも魅力的に映るのかも。足まわりは(ボディと同様)ちょっとふにゃふにゃなので、そこは覚悟して乗ってください。
(2)プリメーラ(初代)いわゆるバブル経済が続き、クルマも大型化、大排気量化、さらに数かずの新技術が搭載された1990年に登場して、意外なほど地味なたたずまいに驚かされたのが、P10型ともよばれる初代プリメーラだ。
これも開発者の思い入れが強かったモデルだ。「欧州の名車に匹敵する走りの性能と快適性を実現した新たなコンセプトがベースだった」と、日産自動車のホームページでは解説されている。
このP10型プリメーラをひとことで評して“正統派セダン”と日産ではしている。この時代はS10型シルビアとともに、ミドルクラスのモデルにおいて、欧州志向が強く出ている。
いろいろなところで書かれているように、開発の背景は、日産の「901活動」。これは「1990年に世界一の動性能を実現しよう」を合言葉にした同社内のクルマづくりにおけるテーマで、たとえば、プリメーラで採用した前輪マルチリンクサスペンション開発もここに含まれている。
いまだに国内志向が強かった“セドグロ”や、独自の道を進みはじめた「スカイライン」など、正統派セダンなる命題への答が社内でもまちまち。1980年代後半からの日産のデパート化ぶりは、とてもおもしろい。
このクルマも、いま乗ったらどうだろう? と、興味を惹かれる。当時は、これもさんざん書かれているように、足まわりがしっかり(しすぎ)で、評判が悪かった。でも私は個人的に、シャッキリした設定で好みだった。
私にとってP10型のネガティブな点はボディデザインだ。シートとか、ドイツ車志向なのか、しっかりとからだを保持してくれる設計で、ざっくりした感触の表皮(ファブリック)もよかった。でも、スタイリングは、なんともおもしろみがない。「素材がいいけど見てくれはよくない、たとえていうなら家庭料理みたいだ」と、当時思ったものだ。
(3)ブルーバード(8代目)連綿とモデルチェンジを繰り返したブルーバード。1987年に発売された8代目、別名、U12型は、特徴をひとことでいうと、地味。内容はいいんだけれど、華がない。でも1991年のU13型がもっさりしたスタイリングになったのに対して、スマートさは魅力的だ。
内容的には、スタイリングイメージとはかけ離れて、かなり凝っていた。当時、日産自動車が持っていた技術を注ぎ込んだのだ。前輪駆動だけれど、スポーティグレード「SSS(スリーエス)」には「アテーサ」なるフルタイム4WDシステムを搭載。
卓越したハンドリング、操縦安定性を実現するため、「STC-Sus(スーパートーコントロールリアサスペンション)」や「4WAS(4輪アンチスキッドブレーキシステム)」も組み合わせた。エンジンもインタークーラー付きターボチャージャー装着タイプを用意。
比較的軽量(1tそこそこ)で、それに対して、1.8リッターあるいは2.0リッターのエンジンパワーは十分。操縦が楽しいクルマだった。まっとうに作られたモデルである。翌1988年登場のシルビアS13型は、イメージ的にはブルのショートボディのクーペ版という印象もあり、このときの“走りの日産車”は楽しめた。
このときは、車両の開発にふんだんに費用がかけられた時代。ボディタイプもセダンと4ドアハードトップがあった(個人的にまとまりがあると感じられたのはセダン)。さらに、モデル末期の1991年には豪州製のユニークなハッチバックボディの「オーズィー」(現地名ピンターラ)が追加された。スタイリッシュとはいけないけれど、実用性重視で、ステーションワゴンとセダンの中間的なクロスオーバー車型。
日産はいろいろな試みも行っていたのだ。901活動といい、どれも、1990年代、2000年代へと続いていったらよかったのになぁ……と、いまさらながら思う。
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)
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