メルセデス・ベンツのミニバン「Vクラス」のマイナーチェンジモデルに小川フミオが試乗した。日本市場における最大のライバルであるトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」と比べた印象はいかに?
トヨタもびっくり! ゴージャスな2列目
トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」に“ゴールド”をあしらった特別仕様車登場!
“ピープルムーバー”と呼ぶジャンルが、乗用車には存在する。多くのひとを運ぶために作られたクルマだ。1950年代から多くのメーカーが手がけてきた。なかでも世界的に人気が高いのはメルセデス・ベンツ「Vクラス」だ。
現行モデルは、2014年に発表された3代目。1996年に初代が出て、2代目までは、荷物の運搬を主たる目的とした商業バンをもとに、“なるべく快適な内装で仕立て直し、多人数が乗れるようにした”という印象が強かった。
ところが最新の「V220d アヴァンギャルド ロング」を運転し、3代目はうんと快適であると知れる。筆者はVクラスに乗る機会こそ多いものの、たいていは後席。それであらためて見直したのだ。
海外でおこなわれるイベントに参加したとき、送迎用にVクラスが使われているケースが多かった。たいてい2列目シートが反転されていて、2~3列目に座る後席乗員が向かい合って移動するかたちになっている。
日本でVクラスに近いクルマといえばトヨタ「アルファード」および「ヴェルファイア」だ。7人乗り、あるいは8人乗りのパッケージである。7人乗りの上級仕様は、豪華な2列目シートが特徴だ。インフォテインメント用モニターやテーブル、カップホルダーやAC100Vコンセントなどを備える。そのため、新しいかたちのリムジンとして高い人気を有する。
逆にVクラスは、シンプルさが特徴だった。脱着可能なシートは、すべての列がしっかりとしたつくりになっていて、「さすがヨーロッパ車!」と、思うものの、快適装備などはアルファードやヴェルファイアにはとても及ばなかった。
が、Vクラスにもトヨタの大型ミニバンに匹敵するラグジュアリー仕様の「エクスクルーシブシートパッケージ」がオプションで選べるようになった。
同パッケージ仕様車がアルファードやヴェルファイアを競合に据えているのは、大きな固定式アームレストを備えた2列目のシートのデザインと、その機能性でわかる。
2席ある大きな2列目シートのバックレストや座面は、電動で調整可能。倒れる角度は深く、飛行機のシートにたとえれば、ひと昔前のビジネスクラスぐらいだ。しかも、ヘッドレストは大型化され、オットマンやヒーター機構も備わる。アルファードやヴェルファイアのようなテーブルはないけども、十分快適である。後席に座っての試乗時、つい、うとうとしてしまったほどだ。
力強いディーゼル
運転すると、力強い走りも印象的だった。搭載するエンジンは2142cc直列4気筒ディーゼルターボで、最高出力は163ps、最大トルクは380Nm。7段オートマチック変速機を介して後輪を駆動する。
最大トルクが1400rpmから発生する設定だけあって、エンジン回転は1500rpmもまわっていれば、中間加速にもすぐれ、高速では流れをリードできるほど。
メルセデス最新の直列6気筒ディーゼルエンジンと比べると、室内への透過音はそれなりに大きいし、回転マナーはスムーズさに欠ける気もするけれど、約2480kgに達するボディの重さを感じさせない力強さがある。
乗り心地は、とても快適である。足はよく動き、路面の凹凸をしっかり吸収し、姿勢はつねに安定している。かつてのVクラスといえば、商業車ベースゆえ硬かったものの、そんな過去とは無縁だ。
アルファードおよびヴェルファイアの走りは? というと、意外なほど悪くない。ラインナップは、2.5リッター直列4気筒エンジンと3.5リッターV型6気筒エンジン搭載のガソリン車と、2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン+モーターを組み合わせたハイブリッドを用意。どのパワーユニットを選んでも力強いと感じさせる。
しかもシャシーの剛性感は意外なほど高く、高速での直進安定性やカーブでの高い操縦性に感心した。つまり、日本で乗るかぎり、メルセデスとトヨタに大きな差はないように思う。
Vクラスの優位性
大きな差があるとすればまずはボディだ。アルファードおよびヴェルファイアのボディは全長4935mm、全幅1850mm、全高1950mm。試乗したV220d アヴァンギャルド ロングは全長5150mm、全幅1930mm、全高1930mmに達する。Vクラスはひとまわり大きい。
ホイールベースを比較しても、アルファードおよびヴェルファイアの3000mmに対し、V220d アヴァンギャルド ロングは3200mm。室内が広い理由はここにある。Sクラスのロングボディのホイールベースが3165mmだから、はるかに長い。
もっと広い空間が欲しいひとむけのモデル「V220d アヴァンギャルド エクストラロング」もある。全長は5370mm、ホイールベースは3430mmに達する。これほど大きいと市街地での取りまわしに苦労するかもしれない。自分で運転するクルマではないだろう。逆に、よりコンパクトなサイズが欲しい人向けには、「V220d アヴァンギャルド」を用意、全長は4895mm、ホイールベースは3200mmになる。
装飾の抑制が効いたインテリアの造型には、“ドイツ車ならでは”ともいうべき機能美がある。スイッチのクリック感から、シートの動き、ドアの開閉音まで、一貫して感じられるソリッドさは、Vクラスがドイツ車好きにアピールするゆえんだろう。それらの節度感は、日本を含むほかの国の製品とは一線を画している。
V220d アヴァンギャルド ロングの印象をひとことでいうと、信頼のおけるピープルムーバー。エクスクルーシブシートパッケージを装着し、立派なシートを2列目にすえるのもよし、7人乗りのパッケージを最大限活かし、家族あるいは友人との長距離ドライブを楽しむのもいいだろう。
真四角というかんじの機能主義的なボディは、スタイリッシュではない。けれど、モノ好きの心をくすぐる。“マジメに商業車を作ってきたメルセデス・ベンツのプロダクト”というのがイメージ的によい。「このクルマを使い倒してみたい!」と、思わせる。
V220d アバンギャルドロングの価格は764万円。オプションのエクスクルーシブシートパッケージは86万円になるが、こちらを選ぶ・選ばないで、異なるキャラクターになる。
アルファードおよびヴェルファイアは352万円から。ただし、ゴージャスな2列目シートを望むならば「エグゼクティブラウンジ」仕様を選ぶ必要がある。価格は726万9000円。V220dアバンギャルドロングにエクスクルーシブシートパッケージを装着すると850万円になるから、価格差はけっこうある。とはいえ、この価格帯になると130万円の価格差は障壁にならないかもしれない。悩ましい選択になりそうだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
日本じゃ大きすぎるけど、アメリカには合ってるんだよね。
それに比べたらアルファードやVクラスは確かにミニバンだね。