運営元:旧車王
著者 :松村 透
クワトロ大尉の言葉が突き刺さる「新しい時代を作るのは老人ではない!」という話
「老婆心」という言葉があります。曰く「余計なお世話だと分かってはいるけれど、敢えていわせて・・・」という意味合いです。端から見れば、老婆心というよりも老害丸出し。
ただ、そこには「気づいてからでは遅いのよ」というメッセージが込められていることも事実です。もしよかったら聞いてやってください・・・。
■10年後・20年後に手が届かない存在かもしれない 多くの人がもしやと思い、同時にまさかここまでとは!と感じているのではないでしょうか。いわゆる旧車およびネオクラシックカーの価格高騰です。コンディションが良くなった分が価格に反映されて高くなった・・・のではほぼありません。そのままの状態で相対的に値上がりしている個体も含まれます。
欲しいクルマはあるけれど、あれこれと条件をつけて妥協せず、とうとう買い時を逃した人を何人も知っています。ちなみに、自分のその1人です。「欲しいと思ったときが買いどき」は事実です。迷っているとあっという間に5年、10年と時が過ぎていき、結果としてタイミングを逸し(あるいは気持ちが冷めてしまい)、買い時を逃してしまうのです。
■結婚したら乗れないかもしれない 取材していると「結婚して子どもが生まれても2ドア(3ドアハッチバックタイプ)のクルマに乗りつづけた」というオーナーさんと、そのご家族にお会いすることがあります。身重の奧さんを助手席に乗せて産婦人科へ連れて行き、無事にお子さんが生まれたあとはリアシートにチャイルドシートを載せ、そこに赤ちゃんを乗せてそれぞれの実家に帰省・・・なんて聞くと「奥さまは心が広いなあ・・・」と思ってしまいます。
日本の路上にミニバンが溢れている理由、それは子育て世代の理に適っているからです。狭い駐車場でも電動でドアがスライド式に開閉できて、箱形ゆえに室内が広くて、リアシート用にモニターを追加すれば、大人しくトトロを観て、飽きたらそのうち子どもたちが寝てくれる(こともある)からです。パパの希望や本音とは無関係に、家庭の平和のために、ミニバンに乗り換えざるを得ない現実がそこにあることも事実です。
■乗りたくても時間がとれないかもしれない 年齢を重ねるにつれて会社でも立場が偉くなり、その分、責任も重くなり・・・。仕事量が激増して帰宅後に仕事をしたり、休日出勤することも増えてきます。さらに家族がいれば、自分の時間なんてほぼ無きに等しいのです。奧さんと子どもを置いてパパが遊びほうけていたら・・・。ある日突然、帰宅したら家のなかがガランとしていて奥さんと子どもが家を出てしまった。そのまま音信不通で、結果として離婚・・・なんてことになりかねません。
奧さんに「たまには遊びに行かせやってもいいか(仕方ないか)」と思わせるくらい、普段から家事育児をしっかりこなし(手伝うや協力はNGワード)、バッチリポイントを稼いでおく必要があります。子どもが大きくなれば、自然とお父さんの自由(放置ともいう)時間も増えていきますから、そのときまでの辛抱です。・・・というより、お子さんとの時間を大切にしてください。振りかえるとあっという間に過ぎていますから。
■気力・体力的に厳しいかもしれない どれほど体を鍛えていても、節制をしていても、老いには勝てません。こればかりは何人たりとも避けてとおれない宿命のようなものです。ふと、時間があいたときに、若いころなら「よし!走りに行くか!!」と出掛けていたものが、いつしか「今日は疲れたから寝よう・・・」という思考に切り替わります。つまり、おっくうになるのです。もちろん、そうでない人もいますが、少数派です。
さらには長時間、フルバケットシートに座っていると腰が痛くなってくる。車中泊をすると体が痛い、夜間に走行すると目がチカチカする・・・。いずれも若いときには想像もつかないような「老い」を実感するときが必ず訪れます。気力があっても、体がいうことを聞かなくなってきているのです。
■法改正があるかもしれない いまでも、新規登録から13年経過したガソリン車およびLPガス車は自動車税が約15%増加します(電気自動車やハイブリッド車などのエコカーは対象外)。また、ディーゼル車は11年で税率が重くなります。さらに重量税は新規登録から13年経過で約15%(ガソリン車)、そして18年経過するとさらに加算されます。しかも、1年おきまたは車検のたびに加算された分を含めた金額を納税しなくてはなりません。ただでさえ、古いクルマは維持費が掛かることが多いのに、さらに出費がかさむのです。
ここ数年、あるいは最新モデルを手に入れたいのであれば問題ありません。しかし、今後、この税率がさらにあがったり、別の税率が加算されるなど、さまざまな形で旧車およびネオクラシックカーオーナーを苦しめる可能性があります。
■まとめ:「欲しいと思ったときが買いどき」。それを逃すと手に入らなくなる繰り返しになりますが、クルマに限らず「ほしいと思ったときが買いどき」であることは確かです。この先、もっとよい条件のクルマが見つかるかもしれないとか、もう少し待てば安くなるかもしれないなど・・・「かもしれない」に期待しすぎると、結果として買いどきを逃してしまうのです。
大きな買い物をする以上、大なり小なりリスクは避けられません。金銭面では厳しいこともあるでしょう。食費を抑えなければならないこともあるかもしれません。しかし、どこかのタイミングで意を決する必要があるのです。それにはなるべく自由度が高く、気力と体力が充実している若いときに決断をした方が思う存分楽しめるということを、老婆心ながらお伝えできればと。・・・などと書き連ねつつも、そんなこと、余計なお世話ですよね。
[ライター・撮影/松村透]
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みんなのコメント
初任給は、35年前も今もたいした差が無いのに
35年前は、150万〜200万で新車で、レビン、シルビア、シビック等買えましたが、今はカローラフィルダーで、400万 欲しい車は、500万〜600万になりこれでは、若者は買えないとは言いませんが、考えますよね。