■トヨタの「80点主義」を強く反映して生まれた初代「カローラ」
1966年にデビューしたトヨタ「カローラ」は、現在までに数回のモデルチェンジやボディタイプの設定、高性能エンジンを搭載するスポーティグレードの追加などをおこなってきた長い歴史を持つモデルです。
初代カローラが発売された背景としてはトヨタは大衆向けエントリーモデルの「パブリカ」と中級クラスの「コロナ」の間を埋めるクルマが必要となり、必要にして十分な高速巡航性能と豪華な装備、運転する楽しさなど、一定以上の評価と満足が得られることを「80点主義」として、企画されました。
その後、カローラは世界中で販売されるようになると、1997年には累計販売台数でフォルクスワーゲン「タイプ1(ビートル)」を超えるなど、トヨタを代表するクルマへと成長しました。
そこで、カローラの初代モデルと最新モデルの特徴をまとめてみました。
●大衆車として幅広く受け入れられた初代カローラ
1966年に登場した初代カローラは、日本の高速道路網の伸長に合わせた高速性能を持った小型大衆車でした。
大衆車とはいえ、まだまだクルマが高嶺の花だった時代に、「少しだけ高級なもの」を求めるユーザーの意識を上手く捉え、商業的に成功。
同年に発売された日産「サニー」も、高い信頼性と経済性を合わせ持った実用車でしたが、カローラはフロントサスペンションにストラット式を採用していたり、サニーが搭載する1リッターエンジンに対するアドバンテージとして1.1リッターエンジンを搭載するなど、性能や装備と価格のバランスが巧みで、スタイリッシュでモダンな外観と相まって高い人気を誇りました。
ボディサイズは全長3845mm×全幅1485mm×全高1380mmと、それぞれサニーより少し大きく、サニーより若干重い車両重量でも「プラス100ccの余裕」のキャッチコピーのとおり、軽やかに走りました。
2ドアセダンでデビューしたカローラも、1967年には4ドアセダンや商用車のバンを追加。1968年にはツインキャブエンジンを搭載したスポーティな2ドアクーペ「カローラスプリンター」も発売し、1969年には1.2リッターエンジンにスイッチされ、性能と装備と価格で常にサニーよりも上を目指していました。
■シリーズ初の3ナンバーボディとなった新世代のカローラ
●上質なベーシックカーとなったカローラ
2018年に「オーリス」に代わり、5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」が発売され、2019年9月にはすべてが一新された4ドアセダンの12代目カローラとステーションワゴンの「カローラツーリング」が登場。
トヨタのデザインコンセプトであるキーンルックを採用したスポーティな外観と、ベーシックカーとして長年にわたって磨き抜かれた性能を実現したことで、大いに話題となりました。
セダンとステーションワゴンは、カローラのグローバルモデルとプラットフォームを統一。そのため全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm(セダン)とシリーズ初の3ナンバーボディとなりましたが、従来モデルのユーザーや日本の道路環境に合わせた使い勝手に配慮し、国内専用のナローボディを開発して対応しました。
パワーユニットは、1.2リッターターボと1.8リッターガソリン、1.8リッターハイブリッドが設定され、ターボモデルのトランスミッションは6速MTとされるなどスポーティな走りと経済性を両立。
足まわりはフロントにストラット、リアにダブルウィッシュボーンを採用した4輪独立懸架で、高い運動性能と良好な乗り心地も備えています。
また、先進予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の全車標準装備化し、インテリジェントクリアランスソナーを設定するなど、高速道路から街なか、パーキングエリアまで、さまざまなドライブシーンで高度な安全性能を発揮。
2020年上半期(1月から6月)の販売台数は5万7235台を記録し、登録車で2位となるなど、SUVやミニバン人気が続くなかでもカローラはヒットを続けています。
※ ※ ※
カローラは世界のベーシックカーとして高い評価を受けてきましたが、その理由は価格に対する性能や信頼性の高さに起因していることは、代をかさねても変わっていません。
時代の流れに合わせた経済性とスペックのバランスや、ニーズが高まっている予防安全技術の搭載など、常に価格以上の価値を生んでいるのといえます。
国内では小型セダンやステーションワゴン市場の低迷が続いていますが、カローラの登場で活性化しつつあるといえます。
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簡単に消すことができるモデル名ではない。