GAZOO Racing 86/BRZ Raceの第4戦が6月15~16日にオートポリスで開催され、プロフェッショナルシリーズでは蒲生尚弥(tomicaネッツ兵庫86BS)が、クラブマンシリーズのEXPERTクラスでは橋本洋平(カーウォッチBS86 revo)が、それぞれ2ヒート連勝で、完全勝利を飾っている。
九州地方はまだ梅雨入りしていないというのに、レースウイークのオートポリスは天候が安定せず。予選とヒート1が行われる土曜日は、雨と霧のなかでの走行となった。
86/BRZ第3戦:SUGO戦は全クラス、全レースでポール・トゥ・ウィン。プロシリーズは阪口良平連勝
それでも、プロフェッショナルシリーズの予選はかなり雨も弱まり、途中、赤旗中断もあったためアタックのタイミングも明暗を分けた。その赤旗直前にベストタイムをマークしたのが蒲生だった。
「赤旗の直前までは雨量も少なく、それ以降はガラッと変わった感じでした。けっこう乾くだろうというつもりで最後まで走りましたが、逆に雨は強くなる一方でしたから」と蒲生。
実際、再開後に上位でタイムアップできたのは佐々木雅弘(小倉クラッチREVO 86 BS)ただひとり。3番手には堤優威(ADVICSカバナBS 86)が、そして4番手にはPCCJポルシェカレラカップジャパン参戦のため欠場となった小河諒のピンチヒッター藤波清斗(神奈川トヨタ☆DTEC86R)、5番手には中山雄一(GR Garageつくば86R)がつけていた。
予選同様ウエットコンディションとなったヒート1は、蒲生と佐々木が揃って好スタートを切り、早々に後続を引き離すことに。いったんは1秒2まで差を広げて蒲生がそのまま逃げるかと思われたものの、中盤からは佐々木がじわりじわりと近づいていく。
しかし逆転するまでには至らず、そのまま逃げ切った蒲生がシリーズ初年度の2013年、第4戦・岡山以来の優勝を飾ることとなった。
「路面がどんどん乾いていく方向だったので、みんな(タイヤの)内圧調整が大変だったと思うんですが、僕はそのなかでも悪くなかったほう。最初に少し差が開いたので、それでなんとか行けたという感じでした」と蒲生。
3位は中盤から単独走行になった堤。4位争いは激しく、藤波と近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)の猛攻を最後までしのいだ中山が自己最上位でゴールした。
日曜日のヒート2は、雲の切れ間から青空が見えるまでに天候が回復。路面もほぼドライのなか、戦いの火蓋が切って下された。
このヒート2でも蒲生と佐々木が揃って好スタートを切り、3周目までは完全にテール・トゥ・ノーズの状態。その差が中盤になるとほぼ1秒になるも、また佐々木が迫っていった。
しかし、「序盤は僕の方が速かったんだけどね。無理はしなかった、蒲生ちゃんはいつもいいレースをしてくれるから……。蒲生ちゃんには優しい俺、って書いておいてください(笑)」と佐々木。蒲生とともに独ニュルブルクリンク・VLNレース出場でここまで2戦を欠場しているため、後々のチャンピオンシップを考えて、しっかりポイントを稼いでおこうと考えたのだろう。
一方、逃げ切った蒲生は31ポイントの大量獲得で、ランキングでも5位に浮上。「後ろ(の佐々木)がちょっと遠慮してくれている感はありましたね。でも良かった。僕自身はペース的にも安定していたと思います」と蒲生。
その後方での争いは壮絶で、序盤は堤と中山が先導するも、ここに割り込んできたのが近藤だった。4周目に3番手に上がった近藤は、次第に堤以下との差を広げていった。
逆にドライに転じてからのペースが今ひとつだった中山が徐々に順位を落とし、代わって5位でゴールしたのが水谷大介(GR Tokyo Racing 86)で、6位は井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)が獲得。その結果、近藤は堤に0.5ポイント差でのランキングトップにもおどり出た。
クラブマンシリーズはクラス二分化から初めてのEXPERTクラス、OPENクラスの混走に。小雨と霧に見舞われた予選では、橋本がひとり2分20秒を切る、2分19秒776をマークしてポールポジションを獲得。途中、2回の赤旗中断があったが、「路面が乾いてきたので、内圧を落としたくてピットに入った途端に2回目の赤旗が出て。それで先頭に並べて、ずっとクリアで走れたのが大きかったですね」と橋本。2番手には鶴賀義幸(栃木トヨタBS ED86)が、3番手には呉良亮(埼玉自動車大学校生駒86)がつけた。
一方、OPENクラスでは、初レースの窪口綾(ACCESS 86)がトップで総合5番手に。だが、グリッドはクラスごと分けられてしまう。2番手は今井清則(すごいねBR-ROM 86)。
ヒート1では橋本と鶴賀が好スタートを切り、オープニングラップだけで後続に2秒以上の差をつけたが、100Rでのアクシデントによりセーフティカーがコースイン。リスタートを完璧に橋本が決めたのに対し、鶴賀は第2ヘアピンで痛恨のオーバーラン。
これで2秒のギャップを築いたはずの橋本に、今度は福岡宝昌(宝オイル☆K-one☆86)が迫り、1秒を切ろうかというタイミングで、またしても100RのアクシデントでSCが。そのままチェッカーとなり、橋本が最初にチェッカーを受けた。
「今回は本当にSC(セーフティカー)に助けられました。(SCの)レクサス大好きって感じ(笑)。内圧設定を失敗して、鶴賀選手や福岡選手に追い詰められるたび、ヒヤヒヤしていましたからね」と橋本。
福岡に続く3位は呉が獲得した。そしてOPENクラスではSCが入る直前に、窪口をかわしていた今井が、トップでチェッカーを受けていた。
ようやく雨から解放されることとなったヒート2では、橋本が引き続き好スタートを切り、そして5番手スタートながら、オープニングラップのうちに2番手まで上がっていたのが鶴賀だった。
だが、3周目の第1ヘアピンで福岡の逆転を許した後、路面状態の回復とともにペースが思うように上がらなくなっていく。代わって順位を上げてきたのが、神谷裕幸(ネッツ中部GRGミッドレス86)と大島和也(Team MDI/P京都WM 86)のふたりだった。
6周目にまず神谷が2番手に上がり、8周目には大島が3番手に浮上。最終ラップにはトップにも迫っていったが、逆転の決め手をあと一歩のところで欠いて、橋本の優勝を許すこととなった。
「ドライがつらいのは練習中から分かっていたんで、いろいろシミュレーションしておいたのが最後に効いた感じ。ちょこっと当たりはしているけど、クルマは無事! これが大事なことで、東京まで自走で帰るから(笑)」と橋本。これで橋本はランキングトップにも浮上した。ちなみに橋本は“ヒート3”とも呼べる東京への帰路も無事完走を果たしたとか。
OPENクラスでは窪口が、今井を5周目にかわしてからは独走となり、ヒート1のリベンジを果たすことに。その窪口はSIM製作会社の社員。「ずっとバトルの練習ばかりしていたので。クラスの違う方には迷惑にならないよう走っていました」と言う。
EXPERTクラスとは14グリッド開けられてなお、13位相当でゴールしていたことから、もし同時スタートであれば、上位をかき回していたかもしれない。「社員としてやっているので次からは? 岡山には出たいです」とも語っていた。
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