■18位までトヨタ/日産/ホンダ以外のクルマはランクインなし
2019年の登録車年間販売台数ランキングにおいて、首位を獲得したのは12万5587台を販売したトヨタ「プリウス」で、2位には日産「ノート」、3位にはトヨタ「シエンタ」が続きます。
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そんななか、4位以下のランキングを見ると、国内登録車市場のある「偏り」があるというのですが、いったいどういうことなのでしょうか。
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会の発表する登録車年間販売台数ランキングは、50位までが同社団法人のウェブサイトで公開されていますが、2019年の年間販売台数を見ると、トップ10のうちトヨタ車が7車種、日産車が2車種、そしてホンダ車が1車種と、トヨタが「独占」といえるほど、トヨタ車が幅を利かせています。
それ以下では、11位から15位はトヨタ車が3車種とホンダ車が2車種。16位と17位に連続してトヨタ車がランクインし、18位はホンダ車。そして、19位にトヨタ/日産/ホンダ以外のクルマとしてスズキ「ソリオ」がランクインし、20位がスバル「インプレッサ」となっているのです。
トヨタ/日産/ホンダがランキング上位を占め、とくにトヨタ車がトップ20のうち12台がランクインしているなど、圧倒的な強さです。
2015年からの過去5年における、トヨタ/日産/ホンダ以外のメーカーでの最上位を見てみると、2015年はマツダ「デミオ」(現:マツダ2)が8位、2016年はデミオが12位、2017年はインプレッサが13位、2018年はインプレッサが18位となっています。
19位までトヨタ/日産/ホンダ以外のメーカーがランクインしていないという状況は、とくに前出の3社がランキング上位を占めていた2019年を象徴しているといえるでしょう。
特定の車種に限らない全体的な売れ行きにおいてトヨタ/日産/ホンダがランキング上位を占め、とくにトヨタが好調な訳とはいったい何なのでしょうか。
その理由はさまざまありますが、車種に関係ない根本的な理由のひとつとして、販売店の数が挙げられます。
トヨタの販売店には取り扱い車種の異なる4つのチャネル「トヨタ店」「トヨペット店」「カローラ店」「ネッツ店」がありますが、全部合わせて全国に約5000店あるといいます。
そして日産やホンダがそれぞれ2000店ほどの規模で、これが全体的な販売台数の差を生み出す差のひとつとなっているのです。ちなみに、マツダとスバルは500店から1000店ほどといわれています。
トヨタは販売店も多いことから、同社の販売店スタッフからは次のような話も聞こえてきます。
「売れ筋ミニバンの『ノア』が値引きなどで競争する相手は、姉妹車の『ヴォクシー』が圧倒的に多いです。次が日産の人気ミニバン『セレナ』です。ホンダのミニバン『ステップワゴン』とは、ほとんど競いません。
トヨタのコンパクトミニバンであるシエンタも、トヨタのほかの販売系列が扱うシエンタとの競争が多くなり、その次がホンダのコンパクトミニバン『フリード』と競っています」
■2020年はトヨタに変動あり? その理由とは
一方、登録車販売ランキングが変動する予兆も出始めています。
トヨタは、これまでこれまで販売店ごとに取り扱い車種を分けていましたが、これを2020年5月にやめて、全車種を全店舗で取り扱いはじめます。
東京都内では、2019年4月に全4チャネルを統合してひと足先に全車種併売をはじめていましたが、これを全国に広げるということです。なお、トヨタ以外の他メーカーは全車種を全店舗で取り扱う体制をすでに整えています。
そしてトヨタのおこなう全車種併売化により、トヨタは車種数の整理をおこなうのでは、とみられているのです。
すでに、2019年内には「マークX」と「エスティマ」が生産を終了しました。この2車種は、トヨタブランド内に近い車格の「カムリ」や「アルファード」が存在し、実質的なモデル統合と見られています。
そして、全車種併売化の後にランキング上位でかつ姉妹車同士である「ルーミー」(7位)と「タンク」(11位)、ヴォクシー(8位)と「ノア」(17位)がもし統合されれば、それによって空いた枠に他社のモデルがランクインする可能性も否定できません。
しかし、ユーザー側から見るとどの店舗でも希望車種を購入できることから利便性が上がり、よりトヨタ車の人気が上がることも考えられます。
2020年には数々の新型車の登場も予測されており、新車販売ランキングにおいてトヨタがまた強さを見せるのか、それとも日産やホンダ、あるいは他のメーカーのモデルが順位を伸ばすのか、いまから注目されます。
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