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専用の吸排気系で585ps メルセデスAMG SL 63へ試乗 ホットロッドでグランドツアラー

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専用の吸排気系で585ps メルセデスAMG SL 63へ試乗 ホットロッドでグランドツアラー

専用の吸排気系で585psと81.4kg-m

既にAUTOCARでは、英国の一般道で最新のメルセデスAMG SLへ試乗している。少し穏やかな55で。だが新たに、現在の仕様では最もパワフルな63もグレートブリテン島へ上陸を果たした。

【画像】専用の吸排気系で585ps メルセデスAMG SL 63 競合のコンバーチブル・モデルと比較 全119枚

SL 55とSL 63は、どちらも4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載している。それぞれ出力設定が異なり、55では475psの最高出力と71.2kg-mの最大トルクを発揮する一方で、63では585psと81.4kg-mへ明確に高められている。

これは電気的な制御だけでなく、メカニズムの変更も施された結果。吸気系や排気系が専用品となっている。冷却系にも改良を受けており、増大したパワーへ対応している。

SL 63では、アクティブ・エンジンマウントも装備される。専用デザインのアルミホイールも選べるようになる。四輪駆動と四輪操舵システムも標準で搭載し、リア側には電子制御のリミテッドスリップ・デフが組まれる。

トランスミッションは共通して湿式クラッチによる9速オートマティック。従来的なトルクコンバーター式ではない。

サスペンションは、どちらもコイルスプリングがボディを支えるが、SL 63には油圧システムで制御されるアクティブ・アンチロールシステムを採用。これらの違いで、サスペンションがより自由にストロークし、上質な姿勢制御を実現させている。

ドライブモードで生じる変化の幅広さ

SLのインテリアは、最新のSクラス並みにハイテク。ダッシュボードの中央には巨大なタッチモニターが鎮座し、ステアリングホイールのスポークにも多機能な操作パネルが実装されている。ドライブモードの選択肢も多彩だ。

フロントシートは大柄で、調整域が広く、体型を問わず快適に座ることができる。リアシート側は広いとまではいえないが、駅への送迎程度なら不満は感じないだろう。4.0L V8エンジンのサウンドを楽しみながら、雨風にさらされず移動できる。

また63では、最上級のSLとしてインテリア素材がアップグレードされる。歩道の段差を越える場面などで有効な、フロントリフト機能も備わる。

AMG謹製のV8ツインターボエンジンは素晴らしい。SL 55と直接乗り比べていないから、どれほどパワー感やレスポンスで異なるのかお伝えできないが、不足なく速いことは間違いない。雨がちなグレートブリテン島の場合では、尚のこと。

試乗で印象深かったのが、ドライブモードで生じる変化の幅。以前のレポートでも触れ
た通り、1台で多くのことを叶えようとしている。メルセデスAMG GTに迫るスポーティさを得つつ、ロングクルージングが快適なグランドツアラーでもあろうとしている。

SLを気に入らないクルマ好きはいない

コンフォート・モードを選択するとサスペンションのしなやかさが増すが、荒れた路面では、タイヤへの細かな入力に対し若干の硬さが垣間見られる。滑らかな高速道路との相性が良いようだ。

同時に、ゆったりとボディが上下動するような浮遊感も伴う。恐らく、ソフトなアンチロール・システムの制御によるものだろう。

英国郊外の流れの速い一般道では、スポーツ・モードがピッタリ。乗り心地の落ち着きを失うことなく、より引き締まった姿勢制御が得られる。SL 63の身のこなしが敏捷になり、挙動の変化をドライバーが予想しやすくなる。

一方、スポーツ+モードは少々ハード過ぎると感じた。滑らかな路面でシリアスに駆け回ろうというシーンでない限り、選ぼうと考えるドライバーは少ないだろう。

状況に適したドライブモードを選べば、SLの運転は非常に楽しい。春めいた3月に、必要以上のエネルギーを即座に生み出すV8エンジンを積んだ2+2のロードスターを、気に入らないクルマ好きはいないかもしれない。

操縦性のバランスは好ましく、トラクションは絶大。車重は1895kgあるにも関わらず、反応は自然でダイレクトだから、クルマとの適度な一体感が得られる。

強められたグランドツアラーとしての能力

従来のSLは、ドライバーを満たしてくれる、乗りやすいコンバーチブルだった。強力なエンジンを選べば、訴求力のあるホットロッド、チューニングカーのような印象も楽しめた。哲学を理解していれば、素晴らしいメルセデス・ベンツといえた。

最新のSLは、グランドツアラーとしての能力を強めている。外界との隔離性が、少々伴わないとしても。運転支援システムも多機能で、長距離の披露を軽減してくれる。

さらに585psのSL 63の場合は、チューニングカー的な印象も濃くなった。何しろ、最高速度は315km/hに達する。

筆者は、新しいSLも好きだ。むしろ、大排気量のV8ツインターボエンジンを搭載しているだけでありがたい。完璧ではないかもしれないが、成功作だと思う。

メルセデスAMG SL 63(英国仕様)のスペック

英国価格:17万2655ポンド(約2779万円)
全長:4705mm
全幅:1915mm
全高:1359mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:7.7-8.0km/L
CO2排出量:282-294g/km
車両重量:1895kg
パワートレイン:V型8気筒3984ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:585ps/5500-6500rpm
最大トルク:81.4kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック

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