2021年11月に大幅改良を行ったマツダCX-5。グローバル市場で約3分の1を占める基幹車種だけに、今回の大幅改良の気合いの入れようはスゴイ!
なかでも「スカイアクティブ・ビークル・アーキクチャ−」の考え方を適用し、ボディやサスペンションに加えて、シートの機能も進化させており、走行性能に加えて、快適性も向上させている。
疲れていてもスポーツカーに乗ると元気になるというのは本当なの?
そこで、今回はこの大幅改良がドライバーにどのような効果を与えているのかを改良前後のモデル乗り比べながら計測器を用いてテストした。
マツダの掲げる人馬一体の走りは本当に実現できているのかをこれまでの感応評価に加えて、数値化して可視化して検証してみたい。
文、写真/萩原文博、取材協力/村田製作所
心拍と脈拍の揺らぎで自律神経の動きをチェック
今回使用した疲労ストレス計のMF100
今回、計測器として使用したのは、村田製作所が販売している「疲労ストレス計 MF100」。この計測器は、電気的と光学的の2つの方法を使用したハイブリッドで、心拍と脈拍の揺らぎを測るというもの。
この計測器の中に、Bluetoothを内臓。専用のアプリをダウンロードしたスマトフォンやタブレットに転送。これをアプリの開発元である、株式会社疲労科学研究所のサーバーに送って、自律神経の働きを解析することで、その人の疲れ具合を数値化するというものだ。
例えば、ランニングする時に手や足を動かす。それを指示するのは脳だが、その行為を行った結果、心拍数が上がる、汗をかく、息が荒くなったりする。これをコントロールするのが自律神経なのだ。自律神経をフル回転させてしまうと、最終的には脳が疲れてしまい、「疲れた」というシグナルを出す。これがいわゆる「疲労」の正体なのだ。
この表は横軸でストレスの掛かり具合、縦軸で疲労の蓄積度合いを表す
表の縦軸は疲労の度合いを示していて、偏差値で表し42以上が許容範囲で、それ未満になると、疲れているという状態。そして横軸はストレスのバランスを示していて、2.0より左に行くと、リラックスした状態。右に行くとストレスが掛かった状態ということになる。
表左上の青い部分は、クルマで言うと、アイドリングストップなどもできてエコ運転が行えている状態。右上はアクセル全開で走行している状態。右下はアクセルを踏んだ状態が続いて、かなりお疲れ状態。そして最もピンチなのは左下でここは完全にガス欠の状態。眠くてだるくて仕方ない状態となっている。
就寝前にこの左下にあるのは正常なことで、しっかりと良い睡眠を取ることでリフレッシュして、左上の健全エリアに入るということになるのだ。
また自律神経の働きは、年齢によって衰える。実際に比べてみると20代と40代を比べると半分くらいしかないのだ。良く若い頃は徹夜で遊んでも、仕事できたのに40代、50代になって徹夜したら、次の日使い物にならない。それは自律神経の衰えによるもので当然のこと。
年齢によって自律神経の基準値が異なるので偏差値で表示する
この村田製作所の「疲労ストレス計 MF100」はデータ入力時に年齢などを入力し、ユーザーの年齢に合わせた基準値で測定することができるのだ。
価格差以上の大幅変更でバリュー感抜群
左が大幅改良後、右が改良前のCX-5
今回大幅改良したマツダCX-5の変更点をまとめておく。外観では、SUVらしい力強さと都会的でエレガントな美しさを融合したデザインに仕上げるため、フロントフェイス、フロントグリルの意匠を変更。さらに前後ランプもランプ外形とランプユニットデザインを変更している。
そして、走行性能面では車両層構造技術「スカイアクティブ・ビークル・アーキクチャ−」の考え方を取り入れて、長時間運転しても疲労感の少ない運動性能を目指すとともに快適性・静粛性を向上。まら、走行シーンに応じてスイッチ一つで任意に走行モードを切り替えられる「Mi-DRIVE(ミードライブ)」を採用。オンロードからオフロードまでマツダらしい人馬一体感をさらに高めている。
今回特に注目したのは、ボディ剛性の向上を目指して導入した車体フレームに取り入れた減衰制御構造をはじめ、振動を抑えつつ、操縦性に好ましし影響を与える構造用接着剤の採用。さらにサスペンションのスプリング・ダンパーの見直し。さらに乗員の頭部の動きの安定性を高めるために開発されたシート。これらがドライバーにどのような影響を与えるか。
テストに使用したのは改良前後のマツダCX-5。グレードは両モデルとも19インチホイールを装着した2.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジン+6速ATを搭載したXDエクスクルーシブモードとなっている。
改良前の車両本体価格は394万3500円。改良後の車両本体価格は396万5500円と2万2000円アップしているが、この金額以上のバリューはあるのだろうか。
神奈川から埼玉まで高速道路を中心にテスト走行をした。ドライブした印象は改良後のモデルのほうが無駄な動きが少ないうえ、シートの座り心地も抜群で腰の痛みなどもまったく発生しなかった。
改良後のCX-5のほうが交感神経が活発になっている
このドライバーの感覚は、疲労ストレス計ではよりハッキリと表れている。朝の改良前モデルに乗る前は、ようやく目が覚めたという状態。眠くて仕方ないというスタート状態から運転することで、緊張感が高まりシャキッとしたということグラフに表れている。
昼食を兼ねて1時間半の休憩後、今度は改良後のモデルをドライブ。すると、今度は疲れも取れて、エンジン全開という状態に。マツダCX-5はどちらのモデルも運転するととてもポジティブな状態になっているが、改良後のほうがより運転することが楽しく、ドライバーもやる気に満ちあふれているという状態となっているのだ。
CX-5は改良前のモデルでも運転する楽しさを味わえるクルマに仕上がっているが、シャシーやシートなど大幅改良した改良後のモデルは、さらに運転する楽しさが向上するだけでなく、快適性も高まっていることが見てわかる。
これだけハッキリと差が出るのであれば、2万2000円高は逆にボーナスプライスと言えるのではないだろうか。
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