世界で最も日本が輝いていたバブル期。それは同時にクルマの黄金期でもあった。
しかし、我々の心を躍らせた名車たちは、今や高騰真っ只中。いつの間にか、すっかりと高値の花になってしまった。
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ただ諦めてしまうのは、少し早いかも。歴史的な名車の中でも、比較的落ち着いた値動きを見せるものもある。それが一部の高級セダンだ。
今回は、そんな乗ればバブルにGO!できる穴場モデルを紹介しよう!
文/大音安弘、写真/TOYOTA、MERCEDES-BENZ
【画像ギャラリー】アッシー、メッシー、ダイジョーV……当時の高級セダンでバブル気分に浸る
■初代セルシオ
1989年登場の初代セルシオ。アメリカではレクサス LSとして販売されていた
一押しは、1989年~1994年に開発された初代セルシオだ。
当時、トヨタが世界トップクラスの高級セダンを目指し、全精力を注ぎこんで送り出した高級車である。
セルシオこと、北米名「レクサスLS400」は、北米デビュー後、快適な乗り心地と静粛性の高さなどが評価され、大ヒットを記録。欧米メーカーが独占していた北米の高級車市場に風穴を開けた。
特にメルセデス・ベンツSクラスは危機感を覚え、セルシオのような高い静粛性を実現させるために、2重ガラスを採用したともいわれる。
バルブ期の日本でも、クラウンに満足できない社長御用達車として爆発的なヒットを記録。1988年に登場し、シーマ現象と呼ばれるほどの爆発的な人気を誇った日産の高級車シーマ(初代)と人気を二分した。
初代セルシオがオススメな点は、その真面目なキャラクター故、比較的市場評価が高くないこと。中古車検索サイトでも、100万円前後が価格帯の中心と現実的だ。そして、絶対数は少ないが、ワンオーナーや低走行車も見付けることが出来る。しかも全体的にドノーマル車が多い。
これは長年、使い続けてきたオーナーたちが高齢になり、手放すケースがでてきたためと思われる。かつてVIPカーとしても高い人気を誇ったが、荒く乗られたクルマは、既に駆逐されてしまったのだろう。
因みに初代シーマについては、近年、人気が高まっており、市場価格はセルシオよりも高め。その上、ピラーレス構造ボディやトヨタと比べると部品の耐久性が弱いことを考慮すると、より玄人向けといえる。またホイール交換など全体的にドレスアップされているクルマも多いようだ。
■メルセデス・ベンツSクラス(W140)
3代目Sクラス(W140)。ヨーロッパではイマイチ不評だったがバブル期の日本ではその豪華さがもてはやされた
バブル期は、Sクラスが大きく変貌を遂げた時代でもあった。
いぶし銀的な魅力で支持された2代目Sクラス(W126)からバトンを受け継いだ3代目Sクラス(W140)は、ボディサイズの拡大と押出の強いスタイリングによる新しい高級車像を描いたが、意外にも欧州では不評で短命に終わったモデルであった。
しかし、バブルに沸く日本では、その豪華さが支持され、歴代Sクラス同様に高い人気を誇った。特にV12搭載を意味する600SELのバッチは、贅の極みを意味し、Sクラスの中でも特別な存在であった。
現在、流通量は少なく、ネオクラシックの割に価格も安め。ここは、Sクラスらしいパワフルさを誇るV8やV12のエンジン車が狙い目と言いたいところだが、大排気量エンジンのため、維持費や修理費の負担も大きめとなる。そこでW140の狙いは、直6エンジン搭載の「300SE」、「S280」、「S320」だ。
これはエントリーグレードのため、実用性重視で購入したケースも多く、比較的大切に乗られてきたクルマが見られるからだ。こちらも、時々、低走行やワンオーナー車が出現することもある。但し、直6モデルは、右ハンドルが多いため、市場価値が上がることは、あまり期待しない方が良いだろう。
初代セルシオと3代目Sクラスの2台を挙げた理由は、いずれも世界の頂点にあったクルマにも関わらず、市場価格が手ごろなこと。そして、いずれも当時メーカーが惜しみなくコストをつぎ込んで開発したため、基本となる部分が比較的頑丈である点が挙げられる。
他の国内外の高級車は、現存数の少なさを考えると、維持はより困難となるだろう。ただし、いずれも30年選手であるため、大きな出費のリスクが付きまとう。車両価格同等、それ以上の修理費が係ることもあるだろう。
そのため、車両選びと信頼できるメンテナンス先の確保も重要。そのクルマへの情熱無くして、オーナーになることはできないだろう。しかし、乗り込めば、まさに愛車はバブルへのタイムマシンだ。良いクルマを見つけ、その雰囲気を味わってほしいと思う。
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みんなのコメント
ナンバーは登録地の後が33、このオーナーさん、洗車もされており、ノーマルで
丁寧に乗られているなあと思いました。
(最近は旧車ブームのためか、旧車を見かけても登録地の後が三桁。しかも、ホイールなどを替えている。)