キャンプ場で一目置かれるSUVモデル
オートキャンプ、デイキャンプ、ソロキャンプetc……。どうやら巷ではキャンプがまたちょっとしたブームになっているようだ。“ようだ”などと距離感のある書き方をしたのは、筆者自身はそういう体験を愉しむ時間と気持ちの余裕がなかなかもてないため。
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撮影や取材での擬似体験はあるものの、徹夜明けのフラフラな頭と身体で富士五湖周辺に出かけ、いきなり飯ごう炊飯の米研ぎをさせられたり、夕暮れの“絵撮り”が済みこれからいい時間というときに撤収、高速道路の渋滞状況を気にしながら帰路につく……そんなパターンがほとんど。本当はガスコンロひとつだけ持って、どこか空気の美味しい場所でコーヒーを淹れて飲んでくるだけでもいい、そういうことをしたいとはいつも思っている。
ところで編集部から受け取った本稿のテーマは“キャンプ場に乗りつけて映えるクルマとは?”である。映(ば)えるかぁ……と、ハタと思考回路が立ち止まったので、ノラ・ジョーンズを聴きながらあれこれ考えてみた。すると思い至ったのは、そういうときこそSUVがいいんじゃない? と、まあ王道をいく発想だった。
もちろんSUVでなくても、必要な装備が積めて目的地を目指せるならどんなクルマでも可だ。だが、どうせなら“演出”のひとつとしてSUVは適役だし、最低地上高がシッカリと確保されているクルマであれば、キャンプ場へのアプローチがダート路だったり岩場だったりした場合にも対処が可能だ。まあ、だからこそSUVと呼ばれるのだが……。
トヨタFJクルーザー
ではどんなクルマがいいか? まず思い浮かんだのがトヨタFJクルーザーだ。北米市場では2006年から販売を開始、日本市場には2010年にお目見えしたクルマだった。見るからに遊び心をくすぐるスタイル(ランクル40のモチーフを盛り込んだもの)は、キャンプ場に向かうところから楽しそうだし、メガクルーザーとまではいかないものの逞しさも十分なキャラも魅力だ。
4WDはパートタイム方式だが、ぬかるみからの脱出に効果を発揮するアクティブトラクションコントロール(メーカーオプションだった)の設定もあった。それと両側大開口観音開きドア、横開き&開閉式ガラスハッチのバックドアも現地で使いやすいに違いない。
ホンダ・エレメント
もう1台、ホンダ・エレメント(2003年)も気軽な道具感覚でガシガシと使いこなせるクルマだ。
このクルマもセンターピラーレス構造の両側観音開きドアが特徴。登場時に沖縄で開催された試乗会の取材時、開け放ったドアの向こうに沖縄の青い海が見えたときには、本当に気分爽快で本土に帰りたくないと思ったほど。塗装レスで傷付きが気にならない樹脂バンパー、フェンダーもコテンパンに使いこなすのにはちょうどいい。床面が低いのも使いやすい。
日産エクストレイル
コテンパンに使いこなせるクルマとしては、ほかに日産エクストレイルがある。それも現行モデルよりも、初代はさすがに年式が低いので2代目の4角いスタイリングなど“気分”ではないだろうか。
この2代目が現役当時に広報車を暫く借りて試乗したことがあったが、たまたま2月の大雪の日で飼い犬が急病となり、かかりつけの獣医さんがら紹介され大学病院に急遽出向くことになった。そういう状況でも安心して走らせられる心強さを身にしみて実感したことがある。濡らしても大丈夫なシートや床、ポップアップさせられるステアリングコラムなどもユニークだ。
マツダ・プロシード
映える=引き立つという意味では、マツダ・プロシードなどはどうだろう。この種のクルマとしてはトヨタ・ハイラックス・日産・テラノなどがメジャーどころだった。だが、プロシードは3mのロングホイールベースで、屋根付きのプロシード・マービーであれば7名の乗車が可能。
いざフルフラットにすれば前後長2114mmのスペースが現れ、車内で過ごすことも可能。一方でピックアップトラックのキャブプラスは、4名の乗車としながら広い荷台をもち、バイクやかさ張るキャンプ道具もガシガシと積み込め、使い勝手のよさは大きな魅力だ。見晴らしのいい荷台に登り、コーヒーなど飲みながら寛いでもいい。
三菱ストラーダ
ダブルキャブのピックアップでは、三菱ストラーダもあった。このクルマは何と乗車定員は5名で、いざというときに重宝する。その上でツインチューブタイプのロールバーが標準装備され、スタイリングを際立たせていた。荷台は幅1415mm×長さ1530mmと実用的。フレーム構造のシャシーと4WDの逞しい走りも三菱車ならではで、カッコだけでなく(!)走りの性能も際立っているクルマだった。
スバル・レガシィグランドワゴン
さらにもう1台だけ、スバル・アウトバック(またはランカスター、グランドワゴン)も加えておきたい。ステーションワゴンの機動性(とロードクリアランス)を高めたこのクラスの先駆“車”で、キャンプやアウトドアでクルマを使いこなす生活スタイルを持つユーザーに、これほど最適なクルマはない。
乗用車感覚の走りは、キャンプ場へ向かうまでも快適に過ごせる。イメージ重視でいえばこれまでのどの世代でもいいが、キャンプ場に着き、使い込んだテントを手慣れた作業で張れば「おっ、通だね」とさり気なく映えるのではないだろうか?(写真は2代目レガシィ・ツーリングがベースのグランドワゴンのカタログより)。
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