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20世紀を象徴する名車「ミニ」! 破竹の快進撃のきっかけは?

掲載 更新 17
20世紀を象徴する名車「ミニ」! 破竹の快進撃のきっかけは?

大衆車に組み込んだ秀逸技術が大飛躍

 20世紀でもっとも影響力のあったクルマに与えられた自動車賞、カー・オブ・ザ・センチュリー(Car of the Century : COTC)で、トップとなるフォードT型に続いてミニは2位にランクインしています。ちなみにシトロエンDS、フォルクスワーゲン・ビートル、ポルシェ911がその後に続いています。まさに歴史的なクルマであるミニをしばし振り返りましょう。

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天才設計者が作り出した脅威のモデル「ミニ」

 現在では“クラシック・ミニ”と呼ばれていますが、当時のブランドではオースチン/モーリスだったミニは1959年にデビューしています。 20世紀を代表する自動車技術者の一人、サー・アレック・イシゴニスが開発を担当。そもそもはモーリスなどの有力ブランドを保有していたナッフィールドとオースチンが合併して誕生したブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が、車種体系を整理しつつ、いくつかのニューモデルを登場させるべく、複数のプロジェクトが進められていました。折しも1956年に勃発したスエズ動乱によって石油価格が高騰。これを受けて軽量コンパクトなモデルを目指して開発が進められていたADO15(Austin Drawing/Design Office)のプロジェクトが優先されることになるという経緯があり、他のプロジェクトに先駆けて1959年のデビューへと繋がったのです。

 オースチンと合併したのを機にナッフィールドを飛び出していたイシゴニスをBMCに呼び戻したのはBMCの会長を務めることになったサー・レナード・ロードですが、ニューモデルの開発にあたっては「既存のラインアップにあるエンジンを使用すること」を要求していました。そのことからADO15は、BMCが当時生産していた中では最小排気量だった850cc直4のAシリーズエンジンを装着するしかなかったのです。

 しかしその一方で、それ以外はすべて自由に設計できると判断したイシゴニスは、直4エンジンをフロントに横置きマウントして前輪を駆動するパッケージを採用しています。さらに前後のサスペンションはウィッシュボーン/トレーリングアームと奇をてらったものではありませんでしたが、これに組み合わせるスプリングを、一般的な金属製のコイルスプリングではなくコーン(円錐)状に成形されたゴムを使っていたことが大きな特徴でした。

 さらにタイヤもダンロップによって新たに開発された10インチと小径で、結果的にミニのハンドリングはゴーカートのようなクイックなものとなっていました。そしてF1GPマシンなどの製造でも知られたクーパー・カー・カンパニーの経営者で、イシゴニスの友人でもあったジョン・クーパーが、このミニの驚異的なハンドリングに注目。ミニ(ADO15)の高性能モデルとしてミニ・クーパー(ADO50)が1962年に誕生することになったのです。

モータースポーツで名を売り販売台数も急増

 こうして誕生したミニとミニ・クーパーは、モータースポーツでも目覚ましい活躍を見せるようになり、さらにその活躍によって評価が高まって販売が伸びていく、という好循環に乗っていきました。サーキットレースでもその活躍は見事なものがありましたが、より大きなニュースとなったのはラリーでの活躍でした。

 この時点ではまだ世界選手権ラリー(WRC)は制定されていませんでしたが、モンテカルロ・ラリーやRACラリーなどは開催を重ねてビッグイベントに成長していました。そしてBMCはモンテカルロ・ラリーに着目しワークスチームを送り込んだのです。

 デビューの翌年から、リザルトにはミニの名がありますが、有力なドライバーとして初めて参戦したのは1962年のパトリシア・アン“パット”モス・カールソンで、この時点ではまだ登場して間がないモーリス・ミニ・クーパーを駆り総合26位でグループ1の1クラスでクラス3位入賞を果たしています。ちなみに彼女はF1王者にはなれなかったけれど“無冠の帝王”と呼ばれたスターリング・モスの妹で、同時にスウェーデンのラリードライバーとして“Mr.SAAB”と呼ばれたエリック・カールソンの夫人です。

モンテカルロ・ラリーで総合優勝を果たす

 話をミニ&ミニ・クーパーの活躍に戻しましょう。翌1963年にはラウノ・アルトーネンが総合3位、パディ・ホプカークが、総合6位入賞を果たしています。ちなみに、この時の総合優勝はサーブ96をドライブしたエリック・カールソンでした。そして1964年にはとうとう、ホプカークが総合優勝を果たすことになったのです。

 クルマはミニ・クーパーから排気量を拡大したミニ・クーパーSに進化していましたが、クーパーの997ccから1071ccに引き上げられただけでしたから、まさに『山椒は小粒で……』を地で行く活躍でした。続く1965年にはティモ・マキネンが優勝してミニ・クーパーSとして2連覇を果たすことになりました。

 さらに1967年にはラウノ・アルトーネンが勝っていますが、実は1966年も、ゴールした時点ではティモ・マキネンがトップの成績だったのです。しかしゴール後にヘッドライトに規則違反があると、まるで“難癖”をつけられたようになって失格。代わってシトロエンDS21のパウリ・トイボネンが優勝するという、不可思議な結果となりました。 それでも1966年の結果はともかく、排気量だけでなくボディそのものもコンパクトなミニ・クーパーSが、モンテカルロ・ラリーという檜舞台で、より大きなボディでより大排気量のエンジンを搭載したライバルたちを一蹴したと言っても過言ではないでしょう。そしてその結果、世界中にミニのファンを誕生させたことも間違いありません。

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みんなのコメント

17件
  • 現代のミニは残念なことにもはやデブ。
    あと、暗い時間や場所では明るすぎるパカパカハザードランプ、なんとかして。
  • 90年頃、ローマの街中ではミニと見たことのないポロのエステートがものすごくいっぱい走っていた。ウノとかは当時絶滅危惧種のチンクエチェント、セイチェンくらいしか見なかった。ゴミゴミした路駐の街中だと小さい車がいいということだろう。イノチェンは絶滅。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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