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世界限定30台のルノー「ルーテシア」を選んで正解!「息子よ、ホットハッチに取り憑かれた父親を許しておくれ」【交タイ自動車部】

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世界限定30台のルノー「ルーテシア」を選んで正解!「息子よ、ホットハッチに取り憑かれた父親を許しておくれ」【交タイ自動車部】

濃厚な走り味でオシャレなコンパクトハッチ

交通タイムス社自動車部feat.AMWがお送りする、部員の愛車を語ってもらう連載の第2回。今回は、フランス車ルノーです。国内外問わず計6台のクルマを乗り継いできた、広告運営やシステム管理をしている斎藤充生さんが「ルーテシア ルノースポール トロフィーLS」の魅力を紹介します。

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人が乗らなそうなクルマにあえて乗る人生

弊社が運営しているさまざまなWEBメディアに表示される広告の運用やシステムまわりの改善を担当しております斎藤と申します。いつもAMWをご覧いただきありがとうございます。また、広告が目障りだとお感じの方もおいでかと存じますが、それらの広告のおかげでわたくしどものWEBメディアが運営、取材、また無料での記事公開が成り立っておりますこと、ご理解いただけますと幸いです。

さてそんな広告運用担当者も当連載に寄稿するのかと少々びっくりしておりますが、自動車専門出版社の端くれ、もちろんクルマ好きですから、ふたつ返事でお誘いに応じた次第です。なんせプロカメラマンに愛車を撮影してもらえる機会なんて、出版社に在籍していてもそうめったにありませんから、逃さない手はありません!

私はこれまで日産「B13型サニー」、オペル「ベクトラBセダン」、マツダ「RX-7カブリオレ」、ホンダ「BB6型プレリュード」、オペル「シグナム」、アルファ ロメオ「ミト」と計6台のクルマを乗り継いでまいりました。こう振り返ってみても、何の一貫性もないラインナップ。しかも個性的なんだけど少々不人気なクルマばかりな気がいたします。そうです、乗ればいいクルマなんだけど人が乗らなそうなクルマにあえて乗る人生を送っているのです。オペル シグナムなんて何人の方が姿を思い出せるでしょうか。

そんな私、現在は ルノー「ルーテシア ルノースポール トロフィーLS」というやけに長いネーミングのクルマに乗っております。前車であるアルファ ロメオ ミトは、それはそれは華やかなクルマでした。外見はファニーで適度なサイズ感の3ドアハッチバックで、ドアを開ければ上質なボルトローナ・フラウ社製のレザーシートがお出迎えしてくれます。

一方でちょいとアクセルを踏みこめば、勇ましく唸りを上げながら突進していくギャップの持ち主で、さすがは熱い血が根底に流れるイタリア名家のクルマだと感じさせられます。そのため運転するとパッと心が華やぐのですが、いいことばかりではありません。

あえてリアのスタビリティを緩くしてホットハッチ感を演出しているのでしょうか、ややピーキー過ぎるきらいがあり、それなのにコーナーでは腰高のフォルムから想像される以上に大きなロールを伴って旋回。さらにはレザーシートのホールド性が乏しく身体が動いてしまうものですから、ステアリングにしがみつくような体勢になってしまいコーナーを十分に楽しむことができません。

しかも初年度登録から10年が過ぎ、経年劣化が進んだことで、あちらこちらを修繕する必要に迫られてきました。向こう数年間乗り続けるために大規模なメンテナンスを行うか、いっそのこと代替か。悩み続けるうちにひょんなことをきっかけに、クルマを手放すことになったのです。オンラインオークションでクルマを売却する仕組みについて取材する企画が立ち上がり、私が代替を悩んでいることを知った編集部が背中をドンと押してきたのです。タイミングって重要です。結果、背中を押されて代替を決意した私。次期愛車選びがスタートしたわけです。

選んだのは世界限定30台のクルマ

求める条件として、ミトの良いところは残しつつ課題であるコーナリング性能の向上を求めた結果、行きついた先がルノー、それもルノースポールを名乗るルーテシアとなったわけです。一度はフランス車に乗っておきたかったというのも理由です。4代目ルーテシアには主に足まわりのセッティングが異なる3つのグレードが用意されておりますが、私は最もハードなセッティングだとされるトロフィーに迷わず照準を合わせました。

2歳のころから車高調付きのミトのリアシートで揺すられ続けた息子には悪いですが、この歳になってホットハッチに取りつかれた父ちゃんの家に生まれたのが運の尽き。今回もハードなリアシートでよろしく頼むぜ! と勇んで買ったのが2022年の5月のことです。

ルーテシアの標準シートはファブリック仕立てですこぶる腰にもお尻にも優しく、サイドサポートもしっかりとした秀逸なシートです。ところが、中古車を探していると急に「何だこれは?」という得体の知れない1台を見つけることがあると思うのですが、私の1台がまさにそれでして、トロフィーの後にLSと書かれた個体。調べたところ海外では標準またはオプション扱いで設定されていた、ヘッドレスト一体型レザーシートを装備した世界限定30台だということが判明しました。そうか、LSはLether Seatの頭文字か! なんと安直なネーミングなんでしょう。違ってたらすみません、ルノー・ジャポン様。

この4代目ルーテシアでは後にも先にもこのタイプのシートを装備したクルマは、トロフィーLSだけ。標準仕様と比べ内装も色味を抑えたシックな仕上げで私好み。俄然この1台が欲しくなり慌てて現車確認のため、わざわざ愛知県まで行きました。

前のオーナーは相当大事に扱っておられたようで、5年落ちとは思えぬほど外装はピッカピカ。入念に見回しても、大きい傷もへこみもない。さらに室内の状態もすこぶる良好。おまけにルノーのチューニングで高名な埼玉のショップ「キャロル」の真っ赤なホイールに、低ダストパッドが装着され、フロントアンダースポイラーはオーナー自らがホイールと同色に塗装するなど、トータルのコーディネートが素晴らしい逸品。わざわざ愛知まで行った甲斐があるってものです。もちろん即決です。後日納車整備が完了し、鈴鹿サーキットの出張帰りにお店に立ち寄りクルマを引き取り。一路東京へルンルン気分で帰ることに。

店を出て最初の交差点を曲がっただけで「スゲー曲がるじゃん! このクルマ」と、思わず心の中で叫んでしまいました。さらに進みぐるりと回り込むインターチェンジでは、それまでの感覚からすると「ちょっと曲がり過ぎなんじゃないか君!」というぐらい、エイペックスに向かってグイグイとノーズが入っていく鋭いコーナリング。一連のルノースポールモデルがコーナリング性能に優れていることは、あらゆるメディアでの記事で事前に知ってはいたものの、ちょっとキレが良すぎるクルマを買っちゃたかなと、一抹の不安を感じずにはいられませんでした。

後日冷静にコーナリング時の状況を観察していたら分かったことなのですが、リアの挙動が非常に安定しているクルマなんです。だからステアリングをグイッと切っても全く姿勢が乱れることなく、不安なくものすごいスピードでクルマ全体がエイペックスに向かって姿勢を変えてくれるんですね。これにはルーテシア ルノースポールのアイキャッチにもなっているリアディフューザーも大きく貢献しているのだと確信しております。飾りじゃないのよ、このディフューザーは。

一方のエンジンはというと、ごめんなさい超平凡です。最大トルクがわずか2000回転ちょっとで発生し、以後はフラットトルクな特性ですから、スピードの出方は十分なんですが、無味無臭といいますかドラマ性が皆無なんですね。この辺はアルファ ロメオの方が、数段上でやる気にさせてくれます。

でも、よくできたコンパクトハッチだと思います。ノーマル車は長年ヨーロッパのBセグメントはおろか、全販売車種の中でもトップを争うベストセラーカーですから、出自からして出来が良いのですが、それにルノーワークスの技術集団であるルノースポールがノウハウを注ぎ込んだのだから当然いいクルマにはなりますよね。

今後は自分好みにカスタム

世間一般が想像するような、おふらんすの華やかさはこのクルマではやや薄味ですが、ボディサイドは平らな面がどこにもないほど美しいカーブを描き、リアからのフォルムもスポーティでエレガント。同セグメントの白眉だと感じられる、乗っても眺めても良いクルマです。

エンジン以外にひとつ難があるとしたら、フロントのナンバー取付位置が下過ぎて、ちょっとした段差でプレートをへし曲げてしまいそうになることでしょうか。しかしこちらは汎用品のナンバープレートステーを用いることで解決済みです。

今後はこの美しいデザインを極力維持しつつ、ルーフスポイラーを足したり、フロントのロワグリルまわりの塗り分けを変更するなどして、自分好みにカスタムしていこうかと野望を描いております。エンジンに関しては出力特性を抜本的に変更することは難しいと思うものの、もう少しメリハリが効いたパワー感のあるフィーリングにすべく、ECUチューンに初めて手を出そうと思案中です。

エキゾーストまわりもかすかなバブリング音がするものの、迫力不足は否めませんので弄りたいですね。まぁホンダ プレリュードに乗っているときはVTECサウンドを堪能したくて、とんでもなくうるさいマフラーを装着していたぐらいですし、生粋のモータースポーツファンである私にとって音は重要です。

メンテナンスに関しては、エンジンは日産ジュークNISMOに搭載されていたものとほぼ同じ仕様ですし、整備士の方のお話では至るところに日産との共通性が見出されるようで、部品も一部共有できるとのご意見を頂戴しておりますので、セミマニュアルギヤボックスであるEDCにさえトラブルが出なければ、予防整備をしながら当面の間はちょこちょこ弄って遊びたいなと思います。

パッションは薄めでも、濃厚な走り味でちょっとばかりオシャレなコンパクトハッチ。これ見よがしなエクステリアで己の力を誇示するタイプのクルマには腰が引けるという方、いま価格もこなれておすすめの1台ですよ。

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