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1990年式のシトロエン 2CVにチョイ乗り。想定外の「愉しさ」に驚いた【試乗】

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1990年式のシトロエン 2CVにチョイ乗り。想定外の「愉しさ」に驚いた【試乗】

「2CV、乗ってみる?」と学生時代からの友人Tに誘われて、彼の所有する1990年式 シトロエン 2CVに短時間だが試乗できた。「電気」や「自動」が満載する現代のクルマから乗り換えると目からウロコの部分は多いのだが、クルマを操る楽しさに変わりはないことを再認識した。

戦後最初にシトロエンが発表したモデルが「2CV」
フォルクスワーゲン ビートル、MINI、フィアット 500などとともに、歴史的名車の1台といわれているのが、シトロエン 2CV。フランス語では「ドゥ シーヴォ」と呼ばれるが、英語の「ツー シーブイ」と呼ぶ人も多い。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

1948年のパリ モーターショーで発表された2CVは、第二次大戦後のフランスの復興になくてはならないものとして計画された(戦前から計画は進められていたが戦争で中断)。最小限のコストで最大限役に立つクルマを目指してデザインされた。おとな2人と50kgのジャガイモを載せて、50km/hで走れること。カゴいっぱいの卵を載せて1個も割れることなく田舎道を走れること。そして燃費は20km/L以上が条件だった。

その独特なスタイルとシンプルな構造により、フランスを中心にヨーロッパで人気を集め、1990年まで生産され続け、42年間で387万2583台を生産した。1999年に20世紀を代表するクルマを選ぶ「カー・オブ・ザ・センチュリー」では、ノミネートされた26台に入っている。

さて、T氏の2CVは最終型の1990年式。本当のオーナーは娘さんなのだが、親子で仲良くクラシックカーライフを楽しめるのは、うらやましい話だ。約6年前に中古車店経由でオーナーを紹介してもらって購入。金額は新車の軽自動車よりも安かったという。

購入時にクラッチとマフラーを交換し、現在までに2万kmほど走行している(現在のオドメーターは6万1000kmくらい)。いままでのところ、大きなトラブルはない。電装系などのパーツが少ないから故障の頻度は低いし、消耗部品は意外と安いという。

エンジン排気量は602ccだから、自動車税は13年経過でも3万3900円だし、都内を走り回っても燃費は13~14km/Lくらいと経済性も高い。この2CVでT氏は高速道路も走ってシトロエンのオーナーズイベントに参加したり、(T氏曰く)「クラシックカーごっこ」には最適なクルマだという。

シトロエンに限らずフランス車好きにはフランクで気楽に付き合える人が多いので、年をとっていくとなかなか得られなくなる、会社以外の仲間づくりを2CVを通して楽しんでいるようだ。

ファン to ドライブは、速さだけじゃない!
筆者が2CVに乗るのは、たぶん30年ぶりくらい。ドイツのボディメーカー「ホフマン」がカスタマイズしたカブリオレなんてのも乗ったことがある。

エンジンが暖まっていたので、イグニッションをひねると始動はスムーズ。たいして重くないクラッチペダルを踏み、独特のプッシュ/プル式のシフトレバーを左にひねりながら手前に引いてローに入れ、ステッキ式のパーキングブレーキレバーを戻してスタートする。タコメーターはないから、エンジンの音や振動と加速でタイミングを計ってシフトアップする。セカンドはひねらずに押す、そこから引けばサードに、右へひねって押せばトップ。リバースは左へひねって押す。

空冷の水平対向2気筒 602ccエンジンはOHVで最高出力は29馬力、最大トルクは4.0kgmと現代の軽自動車よりずっと非力だが、車重は600kgもないし、思った以上に元気に走る。もちろん、音や振動はそれなりだが、街中を走っている限りは助手席のパッセンジャーと普通に会話できる。

数値から想像されるよりトルクはしっかりあり、こまめにシフトダウンしなくても、上のギアで粘って走ってもくれる。前述の条件を満たして作られただけのことはあり、乗り心地は悪くない。コーナーではそれなりにロールはするけれど、思ったほど大きくはなく、怖いと感じるものではない。

当然ながら?ステアリングはノンパワーだが、タイヤが細いので据え切り以外は重くない。サイドウインドーはヒンジ式で少し上がるだけだし、ウインカーレバーは自分で戻さないと点滅は止まらない。絶対的な加速力はないけれど、街中でクルマの流れをリードするような走りだってできる。それに、なんといっても「自分がクルマを操っている」という楽しさを、この2CVは与えてくれる。

もちろん、現代の「電気」や「自動」による安全&快適装備を満載したクルマに乗る楽しみも、悪いことじゃない。でも、たまにはこうしたクルマの原点的なモデルに乗ることで、クルマを操る楽しさを再認識することは、この仕事を続けて行くには必要ではないだろうかと感じられた。そう、ファン to ドライブっていうのは、速さだけじゃないのだから。(文と写真:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)

■シトロエン 2CV6スペシャル 主要諸元
●全長×全幅×全高:3830×1480×1600mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:585kg
●エンジン:空冷 水平対向2 OHV
●総排気量:602cc
●最高出力:29hp/5750rpm
●最大トルク:4.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:4速MT
●駆動方式:縦置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・25L
●タイヤサイズ:125R15

[ アルバム : シトロエン 2CV はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

4件
  • 運転してみたいけど、シフトチェンジが慣れるまで難しそうだな。
  • そりゃあチョイ乗りだけなら愉しいでしょうよ

    無責任にチョイ乗りするだけならね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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