現代のストリートにもマッチした13B改ハイコンプNA仕様
ナンバーを取得して自走で取材現場までやってきた!
伝説の「RE雨宮ブルピンSA22C」が35年の時を経て高速周回路に凱旋!
今や世界でも最高峰のレベルとなっている日本のパワーチューニングだが、その歴史を振り返ってみると、現在に続く礎を築き上げた時代といえるのが1980年半ばである。
通称“谷田部”で知られる日本自動車研究所の高速周回路で、HKS・M300セリカが国産車として初の300km/hを突破。そしてロータリーエンジン搭載車として初の300km/hオーバーを記録したのが、ブルーとピンクの2トーンカラーを纏ったRE雨宮フロンティアRX-7(SA22C)であった。
あれから35年、伝説のマシンが高速周回路に凱旋。やっぱり“ブルピン”カラーのSA22Cは、バンクがよく似合う!
知っての通りこのSA22Cは、東京オートサロン2020で最優秀賞を獲得した“RE雨宮ストリート7 IMSA仕様”。「レーシングロータリーを公道に」をテーマに製作した、ナンバー付きのストリートカーだ。
製作のきっかけになったのは、EXILE TRIBEの7人組ユニットであるバリスティック・ボーイズのPVに登場するIMSAマシン風のレプリカ。アメリカの雨宮ファンのものらしいが、これを知った雨さんは嬉しさと同時に「どうせなら本物を作りたい」という気持ちがムクムクと湧き上がったのである。
やはりまず注目したいのは、大迫力なワイドボディ。ワイドフェンダーはIMSA仕様をリメイクしたオリジナルで、スムージング処理でボディと一体化。リヤウイングはウエットカーボンのオリジナル。フロントスポイラーは当時の雰囲気を残しながら、現代風にリップスポイラー装備としている。
ルーバー付きのボンネットに収まるのは、RX-8の高圧縮軽量ローターを使った13BのNAサイドポート仕様。ちなみに、最高速仕様のフロンティアRX-7は13Bサイドのツインターボだった。
吸気にはウエーバーIDA48ダウンドラフトタイプキャブレターという往年のファンには涙もののアイテムをインストール。最高出力240ps/6500rpm、最大トルク27kgm/5000rpmを獲得している。ストリートを前提としているため、ファンネルはムキ出しにはせず、K&Nのエアクリーナーをセットしているのもポイントだ。
排気系はパワークラフトによるワンオフ品。エキゾーストマニホールドは45φで、キャブのパーコレーション対策の遮熱板を装備。ドルフィンテールのマフラーは50φのストレート構造。もちろん車検対応品だ。
ホイールはエンケイのPF01EVOで、サイズはフロント9J-17オフセット+22、リヤ9.5J-17オフセット±0。タイヤにはアドバンネオバAD08Rでフロント215/40-17 、リヤ245/40-17を組み合わせる。
車高調はRE雨宮オリジナルで、スプリングはフロントがスウィフト、リヤは強化品となる。ブレーキはFD3S純正キャリパー+スリットローターで容量アップが図られている。
室内はフロアカーペットはもちろん、エアコンまで装備の快適仕様。ステアリングはRE雨宮オリジナルのDシェイプ。シートはRE雨宮専売モデルのブリッドで、ドライバーズ側がジーグIV、ナビ側がジータIVとなっている。
「昔を思い出すね。最初は13Bのノーマル圧縮比のエンジンにターボをドッキングさせてたんだよね。それから12Aターボ用エンジン+ツインターボに変更したけど、耐久性が厳しかった」と、バンクを眺めながら当時を振り返る雨さん。
続けて「で、最後に13B用の低圧縮ローター(8.5:1)をオリジナルで製作して300キロ超えたの。嬉しいと言うより、肩の荷が降り立って感じだったな」。
一方、今回の撮影でブルピンRX-7を走らせたDaiこと稲田大二郎は「SA22C越しに高速周回路の景色を眺めていると、昔を思い出すな。最後は意地だったよ。そんな思いを抱きながらこのストリート仕様を走らせたけど、扱いやすくて驚くね。ウエーバーキャブ仕様なのに始動はセル一発だし、クラッチも軽いこと!」と興奮。
35年前のブルピンSAがストイックに最高速を追求していたのに対し、令和のブルピンSAはエアコンも装備で快適ストリートを追求。自走でやってきた雨さんの笑顔が、このマシンの魅力を全て物語っているはずだ。
PHOTO:堤晋一/REPORT:川崎英俊
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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色合いのせいか1枚目の写真、合成かと思ったわ。