この記事をまとめると
■物流業界は「2024年問題」への対応に追われている
行儀が悪いわけでも足がむくむからでもなかった! トラックドライバーが「ハンドルに足を乗せて」仮眠するのは苦肉の策だった
■さらに「2030年問題」が生じる可能性もあるという
■「2030年問題」の内容について詳しく解説
荷物の3割が運べなくなるという予測も
現在、物流業界は2024年問題への対応に追われている。残業時間が制限され、トラック運転手はいままで以上に緻密に時間管理される状態となっており、ストレスが溜まる一方だろう。荷待ち時間や付帯作業の見直しなども進んでいるが、いまだに他人事のように思っている荷主企業も少なくないようだ。
現時点でもトラックドライバー不足が問題となっているが、さらに6年後には、また物流業界で問題が表面化する恐れが出てきた。
それが物流の2030年問題だ。現時点でも人手不足が理由で倒産するトラック事業者が急増している状態なのに、さらにこの先にも問題は山積みなのである。そもそもこんな状態に陥ったのは、トラック事業者への参入を自由化して、過当競争させる環境を作ってしまったからだ。その結果、荷物の取り合いになって運賃は下がり、トラックドライバーを儲かる仕事から引き摺り下ろしてしまったのである。
しかし、前述のように2024問題に対応できずに廃業や倒産しているトラック事業者も増えてきた。これにより事業者数が適正化すれば、逆に荷主側がトラック事業者を確保するために運賃を上げざるをえなくなるし、運ぶトラックを確保できない状態に陥ってしまう。いまから徐々にでもそういう環境へと変化させていかないと、2030年にはいよいよトラック事業者の働き手が大幅に不足して、物流の3割は運べなくという予測が出ているのだ。
2024年問題は、5年間の猶予期間があった運輸業ならではの問題だが、2030年問題は日本国内の産業すべてが影響を受ける。単純に就労人口が減少するので、人手不足となりどこの業界も求人はしても人が集まらないという問題に直面するのだ。
物流ではいまのアマゾンフレックスのように、業務委託で荷物の配送を受けるような仕事も増えていくことになるだろう。正社員では残業時間の規制があってそれ以上働けなければ、副業として終業後にもハンドルを握るトラックドライバーも増えるだろうし、業務委託を専門に働く個人事業主のトラックドライバーも増えることが考えられる。
外国人労働者は大型免許を取得するのはハードルが高いので、準中型以下のトラックを運転しているが、今後、免許の取得も多言語化していくと、大型トラックを駆る外国人ドライバーも増えるかもしれない。
外国人労働者は、運転スキルやマナーの面で問題があり、これは国民性に由来するので解決は難しい。荷主側も敬遠するだろうが、実際に圧倒的な人手不足となれば雇うトラック事業者も出てくるかもしれない。現在のコンビニ店員のように、外国人アルバイトの比率が高くなっている現状をみると、どの職種でも今後は外国人労働者の比率は上昇していくことは間違いない。その場合、トラックドライバーなど交通の安全を担保しなければならない管理側は難しい判断に迫られそうだ。
ドライバーを監視するシステムなど、いままで以上にドライバーを管理する環境が敷かれることになるのだろうか。自動運転が実用化できても、完全無人で荷物を運び切ることは難しいだけに、ドライバーの確保にはこれまで以上に苦労することは間違いない。
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