■新型「フリード」に普通のシフトレバーが装着される理由は?
ホンダのコンパクトミニバン「フリード」が2024年6月、実に8年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たしました。
歴代フリードは、「ちょうどいい」をコンセプトとし、扱いやすい5ナンバーサイズのボディや3列シート装備による多人数乗車、広い室内空間、機能的なユーティリティなど、ファミリー層を中心に幅広い支持を得ています。
そして3代目となる新型フリードは、この「ちょうどいい」をさらに進化させ、扱いやすいサイズと使い勝手の良さ、走行性能を向上。
発売から1か月での累計受注台数は約3万8000台と、月間販売計画(6500台)の約6倍を記録したほか、ミニバン初の「2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど早くも好評となっています。
新型フリードのグレード展開は、上質でシンプルな「AIR(エアー)」と、クロスオーバースタイルの「CROSSTAR(クロスター)」が設定され、どちらも3列シート車を用意。クロスターには2列シート車も用意されました。
内装は、水平基調でノイズレスな視界とすることで、運転のしやすさはもちろん、乗員全員が開放感を感じられる車内を目指して新設計。シートアレンジはさらに使いやすくなり、車内のウォークスルーがしやすくなったほか、3列目シートは座り心地の良さを維持しながらシートの軽量化と構造部の薄型化をおこない、女性でも跳ね上げしやすいように工夫しました。
パワートレインは、ハイブリッド車には1.5リッターエンジン+e:HEVをフリードとして初搭載し、2モーター内蔵CVTと組み合わせてスムーズな走りと優れた環境性能を実現。
ガソリン車は、1.5リッターエンジンとCVTを採用し、運転しやすく軽快な走りを提供します。
駆動方式は、ハイブリッド、ガソリンともに2WDと4WDが選べ、4WDは雨天時や雪上走行時などに安心感をもたらす「リアルタイム4WD」を採用しました。
すべての面が進化した新型フリードで際立つのは、シフトレバーの使いやすさです。
最近のホンダ車では、ハイブリッド車のシフトレバーを廃止しており、「e:HEV」と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載する「ステップワゴン」や「シビック」「ZR-V」「オデッセイ」「アコード」のほか、軽商用EVバン「N-VAN e:」、燃料電池車「CR-V e:FCEV」といったモデルで、最新のボタン式を採用した「エレクトリックギアセレクター」を装着しています。
このエレクトリックギアセレクターでは、「P」「R」「N」「D/B」の各シフトレンジを、ボタンを押し下すことでセレクトすることが可能。
ブラインドタッチで操作することを考慮し、手元を見ずに起きるミスを防止ため、それぞれのボタン形状やサイズが異なることに加え、Rレンジ(バック)は押す方向をほかのボタンと変えるなどの工夫が加えられています。
一方で新型フリードではe:HEV車であってもエレクトリックギアセレクターではなく、通常のシフトレバーが備わります。
先進的なエレクトリックギアセレクターを採用しなかった理由について、ホンダの開発者は「フリードのユーザー層は幅広く、若者から高齢者まで多様な年代の人が運転するため、操作を間違わないように通常のシフトレバーを採用した」と説明。
新型フリードでは違和感なく操作できることを重視した結果、通常のシフトレバーが採用されたというわけです。
同様の理由で、「フィット」や「ヴェゼル」といったBセグメント車は、e:HEV車でも通常のシフトレバーを搭載しています。
また、エレクトリックギアセレクターは、トランスミッションの内部構造が複雑で、車両価格が高くなるという事情もあり、e:HEV車でもBセグメントは通常のレバー式、Cセグメント以上はボタン式といったように車格で仕様を変えているといいます。
※ ※ ※
ちなみに、N-VAN e:はEVの軽自動車ですが、使い勝手を追求したことからボタン式のエレクトリックギアセレクターが装着されます。
同車は配達業などで使用されることを想定しており、助手席側に設けられたセンターピラーレスの大開口部からの頻繁に乗り降りすることを考慮。
通常であればドライバーが「助手席側から出入りする」際に、レバー式のシフトが邪魔になります。しかしシフトノブを廃止して「スイッチ式のエレクトリックギアセレクター」を採用したことによって、障害物の無いスムーズな乗り降りを実現します。
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みんなのコメント
車格、コスト、およびユーザーの年齢が広いことを考えるとシフトレバー仕様には納得がいきます。
おいおい、結局そこか?