日本と海外 2つの名前
text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
【画像】初代、2代目、そして3代目へ【HR-V(ヴェゼル)を見比べる】 全100枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
2021年春の発売が予告され、話題を集めるホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」。このモデルは日本だけではなく、世界市場でも「HR-V」の名称で販売されている。
そして、この「HR-V」という名称は「ヴェゼル」が初めて使うわけではない。実は「ヴェゼル」誕生の2013年から10年以上も前に初代モデルが存在していたのだ。そのため海外では現行の「HR-V(ヴェゼル)」は第2世代と認識されている。
海外では「HR-V」、日本では「ヴェゼル」という2つの名称が使い分けられた理由は明らかにされていない。
日本では初代「HR-V」と「ヴェゼル」の関係は、何も説明されていないのだ。ちなみに初代「HR-V」のモデルライフは、1998年から2006年。一方の「ヴェゼル」は2013年に発売開始となっている。
その間には1世代分の時間の断絶があるし、「ヴェゼル」のプレスインフォメーションには「新しい時代のスペシャルティーカーをつくりたい」と説明されるように、初代「HR-V」との関連性には触れられていない。
では、初代「HR-V」と現行「ヴェゼル」の間に関連性はないのだろうか?
そこで日本市場では1世代限りで消えてしまった「HR-V」は、どんなクルマだったのかを振り返りたい。
「新しいジャンルのクルマ」
初代「HR-V」が誕生したのは1998年9月。「J・ムーバー」シリーズの第2弾としてのデビューであった。
「HR-V」の意味は「Hi-rider Revolutionary Vehicle」の略。「J・ムーバー」シリーズとは、ホンダのリリースによると「いままでにない『楽しさ=ジョイフル』を提案する楽しさ創造車」とあり、その第1弾が同年4月に登場している「キャパ」であった。
「キャパ」は背の高いコンパクトカーで、同時代に人気を集めたマツダの初代「デミオ」や日産「キューブ」のライバルとなったモデル。
今となっては、室内空間を最大限にしたハイトワゴンは珍しくはないが、当時としては新ジャンルとして注目を集めていた。つまり、「J・ムーバー」とは、従来にないジャンルを切り拓こうという当時のホンダの意気込みを形にしたシリーズだったのだ。
「SUVらしい」を拒否したHR-V
そんな「新しさ」を追い求めて生まれたのが初代「HR-V」だ。
そして、この初代「HR-V」は、当時の常識から飛びぬけたスタイルをしていた。まず大径タイヤを装着する。一見、SUV風なのだが、微妙にボディが上下に薄い。ハッチバックを無理やりSUV風に仕上げたような雰囲気であったのだ。
一般的にSUVといえば、背が高くてボリューム感たっぷり。力強くてたくましいというイメージが一般的だろう。
しかし、「HR-V」のコンセプトは、「既存のどんなカテゴリーにも属さない」である。ホンダは、SUVではなく「ジェット・フィール・ハイ・ライダー」と名づけた。
今となっては意味不明だが、とにかく一般的なSUVイメージを避けたかったのだけはよくわかる。その結果、「HR-V」のデザインは、よくいえばスタイリッシュ。悪くいえば、当時の常識から外れたものとなってしまったのだ。
ちなみに寸法は、全長3995×全幅1695×全高1590mm(3ドア)。プラットフォームは、コンパクトカーの「ロゴ」のものを利用し、最高出力106psの1.6Lの4気筒エンジンを搭載。駆動方式はFFと4WD。3ドアでデビューし、後に5ドアが追加されている。
ヴェゼルは世界的な大ヒット
こうした新奇を狙った新製品は、ヒットすれば大きいが、はずれればさっぱり、というのが通例となる。
そういう意味で「HR-V」は、空振りに終わった。自動車販売協会連合会の記録を見返すと、デビューの1998年から生産終了となる2006年まで、新車販売ランキング30位までにランクインすることは1度もなかったのだ。
しかし、SUVブーム真っただ中に生きる現在の目で見れば、初代「HR-V」のデザインは、それほど奇異なものではない。スッキリとしていて、探せば似たようなクルマがありそうな気さえもする。
ところが、初代「HR-V」が発売されていた1990年代末から2000年代初頭は、現在ほどSUVが一般的ではなかった。ホンダSUVの代表格である「CR-V」の初代が登場したのが、わずか4年前の1994年であったのだ。
初代「HR-V」の失敗は先に行きすぎていたというのが理由だろう。ちなみに、初代「HR-V」は欧米にも輸出されており、かの地では日本よりはヒットしたという。欧米の方が、そうした斬新なものを受け入れやすかったのかもしれない。
そんな初代「HR-V」の失敗を反省したのだろうか、7年のブランクを空けて誕生した「ヴェゼル」は、いかにもSUVというスタイル。
また、名称は初代の販売がさんざんであった日本では新たにしたが、初代が受け入れられた欧米では「HR-V」の名を利用した。
もちろん、初代云々というよりも、ホンダのSUVラインナップとして、たまたま古い名称を再生しただけという可能性もある。しかし、そんな2代目「HR-V」、つまり「ヴェゼル」は大ヒットモデルとなる。
日本だけでなく世界各地で販売され、今や、ホンダを支える大きな柱に育っているのだ。
初代「HR-V」は失敗したかもしれないが、そうした経験を糧に生まれた第2世代が大成功したと考えれば、初代の存在もそれほど悪いものではなかったのではなかろうか。
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みんなのコメント
ちょっと安っぽかった。