シリーズ歴代で最大の成長を遂げたE36型
E30型BMW M3 スポーツ・エボリューションの車内には、マップランプやグラブハンドルがない。ヘッドライトやボンネット、フロントグリルからはラバーマウントも省かれている。シリアスな走りのための、些細な妥協でしかない。
【画像】歴代M3の特別仕様 スポーツ・エボリューション/GT/CSL/GTS 最新のM3とM4も 全78枚
燃料タンクは、通常のE30型M3が積む70Lから62Lへ削られている。思わず運転にのめり込んでしまうスポーツ・エボリューションで、唯一不満に思う部分かもしれない。
2代目の成功を追い風に、3シリーズ歴代で最大といえる成長を遂げたのが、1990年に登場した3代目のE36型。洗練性や安全性、実用性が大幅に高められていた。
2代目となるM3も同様に投入されたものの、こちらはモータースポーツへの必要性というより、マーケティング的な意向が強いとファンからは見られてきた。確かに、フェンダーを膨らませたツーリングカー・レーサーの公道仕様とは、趣きが少々違う。
見た目は、通常の3シリーズ・クーペと大きな違いはない。90年代の、保守的な空気が漂う。とはいえ、ブリティッシュレーシング・グリーンのM3 GTを間近で見れば、モータースポーツとの濃い関係性を感じ取れる。
フロントのリップスポイラーは角度調整が可能で、リアのトランクリッドには立ち上がったウイングが装備される。ホイールはGT専用。フロントが7.5J、リアが8.5Jとワイドで、しっかり路面に構えたスタンスが勇ましい。
長いドアを開くと、軽いアルミニウム製だと実感する。インテリアは、E30型と比べると遥かにリッチ。シートの調整域も広い。
可変バルブ制御のヴァノスを初めて採用
バケットシートの中央は、メキシコグリーンと呼ばれる色のレザーで仕立てられている。ダッシュボード周りは、カーボンファイバー製のトリムで飾られる。ボディカラーとコーディネートされ、購買層の気持ちをソソったことだろう。
スターターを回してエンジンを始動すると、すぐに静かなアイドリングに落ち着く。フロントには、S50B30と呼ばれる3.0L直列6気筒エンジンを搭載するものの、特別感はやや薄い。
例によってシリンダー毎にスロットルボディが用意され、ボッシュ・モトロニック燃料インジェクションは3.3へ進化。バリアブル吸気バルブタイミング機構、ヴァノスを初めて採用している。最大トルクは32.5kg-m/3600rpmを発揮した。
このM3 GTの場合、ホットなカムシャフトが組まれ、最大トルクはさらに0.4kg-mだけ太い。発進させてみると、低回転域からたくましい。エンジンノイズは静かで、インテークから控えめに共鳴音が響いてくる程度だ。
そのまま右足へ力を込めると、スピードが急上昇。フライホイールは軽くないはずだが、シャープなM3 GTの性格がつまびらかとなる。自ずと、レザー巻きステアリングホイールを握る力も増す。景色が急速に流れ始める。
コーナーへ飛び込めば、巧妙に設計されたマルチリンク式Zアスクル構造を備える、シャシーの有能ぶりが見えてくる。強化されたボディ剛性とフロント・サスペンションの効果も、それに重なる。車重は通常のE36型M3より30kg軽い。
ホモロゲーション・マシンとして生まれたGT
弱点といえるのが、バリアブルレシオを持つステアリング。切り始めがスローで、そのまま回しても感触は増えない。しかし、サスペンションの減衰力設定は素晴らしい。
自然吸気の6気筒エンジンは、最高出力300psを発揮する7100rpmめがけて静かに勢いよく回る。速度が増すほど風切り音とロードノイズも高まり、エグゾーストノートも打ち消されるが、ミュンヘンのシリアスな高性能モデルと表現するのに不足はない。
E36型のM3は、初代の追い風もあって好調に売れた。毎年1万台前後が工場からラインオフしたという。
E30型はツーリングカー・レースで大暴れしたが、時代は2.0Lユニットへ変わると同時に、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)は1996年をもって休止。E36型は、活躍の舞台をFIA-GTクラスIIとIMSA GTへ移した。
このM3 GTは、そのためのホモロゲーション・マシンだ。公道用に作られたのは、左ハンドル車が356台で、右ハンドル車が50台だった。
アルミニウムではなく、スチールブロックのS50ユニットを登用したE36型M3。後期型となり3.2Lへ排気量が拡大されたS50B32が、この直列6気筒の最終形態になるだろう予想された。
だが、E46型へのモデルチェンジにあわせて、もう1段階の進化が施された。BMW M社へ名称が改められた技術者集団は、3245ccへと排気量を44cc拡大。このS54ユニットは、BMWとして20世紀で最高傑作の1機と評されている。
筋肉質に膨らみを増したスタイリング
吸排気に可変バルブタイミング機構を備えた、ダブルヴァノスを採用したことも特長。独自のエンジン管理システムを搭載し、最高出力343psと最大トルク37.1kg-mを絞り出し、E46型のM3へ搭載された。
さらにハードコアなファンへは、白眉の特別仕様が用意されていた。バットモービルとも呼ばれ、ツーリングカー選手権で活躍した1973年の3.0 CSLから名前を受け継いだ、M3 CSLだ。BMW M社の技術力が集結した、極上のモデルだ。
モータースポーツと直接的な結び付きはなかったものの、CSLはE46型M3のイメージと販売を牽引。ファンの間では一目置かれる存在になり、クラシックとなった近年でもE36型とは別の扱いを受けている。
新車当時、E46型M3 CSLの英国価格は5万8445ポンドだった。通常のM3より2万ポンド近く高かったが、最終的には目標の1000台を上回る1383台が製造されている。今回のガンメタルのM3も、その1台に含まれる。
筋肉質に膨らみを増したスタイリングは、E30型M3 スポーツ・エボリューションにも通じる風格がある。トレッドが広げられ、アルミホイールは1サイズ大きい19インチを装着。CSL専用品のエアロキットで仕立ててある。
ルックスで何より目を引くのが、力強く張り出したフェンダーラインだろう。フロントスプリッターやエアインテークなどは、確実な意図を持って空気を導く。非常にアグレッシブだ。
この続きは後編にて。
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