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素晴らしい記憶を残すSUV マツダCX-5(最終回) 長期テスト 2.5Lエンジン以外は◎

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素晴らしい記憶を残すSUV マツダCX-5(最終回) 長期テスト 2.5Lエンジン以外は◎

積算9601km ベンチレーション付きレザーシート

今年の英国の夏は記録的に暑かった。日当たりの良い前席側を冷やしてくれるエアコンが神様のようだ。

【画像】素晴らしい記憶を残すSUV マツダCX-5 他のCXシリーズと写真で比較 全94枚

レザーは丈夫で掃除しやすく、自然由来の素材ではあるが、熱の影響を受けやすい。
CX-5のベンチレーション機能付きレザーシートは、そんな悩みを解消してくれる。理想的なソリューションといえる。

積算1万747km 他とは一線を画す魅力

筆者はマツダCX-5の長期テストが始まるまで、マクラーレンGTの長期テストを担当していた。高性能なグランドツアラーからファミリーSUVへの乗り換えは、様々な面で多くの気付きを与えてくれた。

マクラーレンが恋しくも感じた。端々に感じる輝きのようなものが好きだった。家族での移動を目的とした実用性重視のモデルでは叶えにくい、姿勢制御や操縦性に対する飽くなき追求が存在していた。

正直なところ、背の高いファミリーSUVにそんな輝きは期待していなかった。それでも、CX-5には他とは一線を画す魅力が存在することに感心した。高価な電子制御アンチロール・システムやアダプティブ・ダンパーが備わらないにも関わらず。

シャシーバランスに優れグリップ力は高く、鋭くフロントノーズは向きを変える。筆者の自宅からほど近い場所に、スポーツカーで楽しめるような道がある。路面にはコブがありカント角の変化も大きいが、CX-5は見事に駆け抜けてみせた。

子供をリアシートに乗せて飛ばし気味に学校へ送っても、乗り心地へ不満が出ることもなかった。姿勢制御は引き締まり、クルマ酔いの気配もなかった。

優秀なCX-5で唯一惜しまれる2.5Lエンジン

英国の読者にも、CX-5に惚れ込んでいる人が複数いる。2019年式のエターナル・ブルーに乗る1人は、信頼性や製造品質の高さなど、強みに感じている部分をメールで送ってくれた。

彼は正規ディーラーへ定期点検に持ち込んでおり、その対応の素晴らしさにも触れていた。月額20ポンド(約3000円)の定額プランだという。長期テストでは、そこまでの距離を乗れなかったけれど。

燃費にも満足しているようだ。2.0Lの自然吸気ガソリンエンジンなら、110km/hでの高速走行時に14.5km/L以上を達成できるらしい。

長期テストの2.5Lエンジンでは届かなかった数字だ。高速道路を110km/hで穏やかに190kmほど走行して、ベストは13.1km/L。車重が1.5tを超えるSUVにとって、自然吸気ガソリンエンジンはベストアンサーではないといえる。

このパワートレインは、優秀なCX-5で唯一惜しまれるポイントといえた。6速ATをCVTのように感じさせるほど、パワー感に乏しかった。英国の交通条件で満足のいく加速を得るには5000rpmまで回すことになり、サウンドも控えめとはいえない。

走行距離が増えるにつれ燃費は改善するかと期待したものの、目立った変化もなかった。初代のCX-5が搭載していたディーゼルターボの方が、快適なこともわかった。

操作性で勝るロータリー・コントローラー

マツダは優れた操縦性を実現するため、シャシーへ多大な努力を払っている。その能力を引き出しきれないエンジンを積んでいることには、疑問が残る。見た目や実用性、装備など多くが秀でているだけに、余計に際立ってしまう。

ただし、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のマツダCX-60へ試乗し、優れたパワートレインであることを確認している。もうすぐ長期テストにも加わる予定だから、楽しみでもある。

このクラスのSUVとして、求められる使い勝手や車内空間の要件をCX-5は満たしている。筆者の家族との暮らしにも、問題なく対応できた。

いくつかの点でライバルを凌駕する美点もあった。その1つが、ロータリー・コントローラーで操作するインフォテインメント・システム。タッチモニターへ頼る必要がなく、操作性では明らかに勝っていた。

ナビやラジオの設定も簡単。エアコンにも、実際に押せるハードスイッチがしっかり残っている。反面、有線で対応するアップル・カープレイを起動させると、タッチモニターの方が直感的だということもわかったけれど。

果敢に独自の特徴を追い求めるマツダ

CX-5に備わる明快さは、デザイナーの意識にも共通していた。インテリアの設計技術者やデザイナーも、過度に複雑にすべきではないことを理解しているようだ。長年レバーやボタンで果たせてきた機能を、あえて電動スイッチに変更する必要はない。

現代のモデル開発において、新鮮にすら感じられる姿勢だと思う。果敢に独自の特徴を追い求めるマツダだからこそ、導かれる答えだともいえる。

まあ、マクラーレンGTが恋しいことは事実。だが、CX-5との暮らしが素晴らしい記憶を残してくれたことも間違いない。こんなまとめ方ができるファミリーSUVは、決して多くはないはずだ。

セカンドオピニオン

近年のマツダは、ライバルをトヨタではなくレクサスにしたいと考えている。ハイブランド化を目指す具体的なモデルとして、CX-5は確かにその役目を果たせている。

印象的に優れる操縦性と洗練性、優れたスタイリングとインテリア、インフォテインメント・システムなどが、心から欲しいと思わせるSUVに仕立てている。ただし、ターボチャージャーは付いていても良かった。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)

テストデータ

気に入っているトコロ

涼しいシート:ベンチレーション機能付きのフロントシートは、特に暑い真夏の味方だった。ブラウンのレザーの質感も素晴らしい。

ロータリーコントローラー:指紋でモニターが汚れる心配はなし。インフォテインメントのすべての操作が、手元で簡単に行える。

バックセンサー:不必要にブザーが鳴ることはない。目に見えない位置の歩行者にも、しっかり反応してくれた。

気に入らないトコロ

ステアリングヒーターのスイッチ:インテリアのデザインは素晴らしいが、ステアリングホイール・ヒーターのスイッチの場所は良くない。

眩しいモニター:インフォテインメント用モニターが夜間は明るすぎた。目がくらむほどで、安全性にも関わる。

走行距離

テスト開始時積算距離:1667km
テスト終了時積算距離:1万747km

価格

モデル名:マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
開始時の価格:3万7785ポンド(約627万円)
現行の価格:3万8905ポンド(約645万円)
テスト車の価格:3万8365ポンド(約636万円)

オプション装備

メタリック塗装:580ポンド(約9万6000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:12.5km/L
タンク容量:58L
平均燃費:11.9km/L
最高燃費:13.2km/L
最低燃費:10.2km/L
航続可能距離:692km

主要諸元

0-100km/h加速:9.3秒
最高速度:194km/h
エンジン:直列4気筒2488cc自然吸気
最高出力:193ps/6000rpm
最大トルク:26.2kg-m/4000rpm
トランスミッション:6速オートマティック
トランク容量:510-1626L
ホイールサイズ:19インチ
タイヤ:225/55 R19
車両重量:1660kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:408ポンド(約6万8000円/1か月)
CO2 排出量:182g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1286.0ポンド(約21万3000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:1286.0ポンド(約約21万3000円)
1マイル当りコスト:0.23ポンド(約38円)
不具合:なし

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みんなのコメント

18件
  • エンジンがダメって言われるということはその車の評価もダメという事に等しい。
    残念
  • なんで今さらこんな車のテストしてんの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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