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ホンダNSXとの惜別 NA1とNA2、NC1 和製スーパーカー3世代を比較 中編

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ホンダNSXとの惜別 NA1とNA2、NC1 和製スーパーカー3世代を比較 中編

NSXの走りは常に軽快で機敏

初代ホンダNSXが搭載するV6エンジンには、5800rpmを堺にカムが切り替わるVTECシステムが採用されている。高回転側のカムでは、明確にエグゾーストノートも変化する。加速の鋭さが違和感なく、目に見えて高まる。

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レッドライン目掛けて咆哮がクレッシェンドしていく。穏やかに運転している時とはまったく異なるサウンドが、一帯に響く。走りは常に軽快で機敏。それでいて、ペースを速めても安心感は変わらない。

サスペンションは、前後ともにダブルウィッシュボーン式。鍛造アルミニウムを採用することで、バネ下重量を30%も削っているという。

コンプライアンス・ピボットと呼ばれる、角度の変わる支点部品をアームの付け根に採用していることも特長。タイヤへ掛かる負荷を逃し、路面変化へ影響を受けにくい、まとまりのある走りを実現している。

NA1型のNSXは、速度を高めても想像以上にライン取りが容易。前触れなく落ち着きを失うようなこともない。その優れた軽快さと安定性を、1990年に自動車雑誌のホイール誌が端的に記した。

「男っぽさが漂うイタリア製スーパーカーとは違った雰囲気で、素早く走ります。脳と指先で運転するように。フェラーリやランボルギーニのように上腕二頭筋を使って、気張る必要はありません」

1990年に3.0L V6と5速MTで発売が始まったNSXは、月日を重ねるごとに洗練度を高めた。1995年にはタルガトップを備えたNSX-Tが登場。1997年にはMTモデルで排気量が3179ccへ増え、クロスレシオの6速MTが搭載されるようになる。

フェイスリフトで固定式ヘッドライトに

駆動系がアップグレードされたことで、NSXの型式も3.2Lエンジン版はNA1からNA2へ変更。オリジナルのスタイリングを維持したまま、パフォーマンスの向上を果たした。

見た目のリフレッシュが図られたのは、販売が始まってから12年後の2002年。サスペンション・スプリングのレートやタイヤサイズの変更以外、基本的にメカニズムに手は加えられていない。

フロントバンパーのデザインが新しくなり、サイドスカートやリアバンパーまわりも一新。空力特性を向上させ、最高速度は281km/hへ高められた。このフェイスリフトで大きな特徴となるのが、開閉するリトラクタブル・ヘッドライトの廃止だろう。

ヘッドライトを点灯した時、リトラクタブル式では空気抵抗が増えてしまう。ホンダとしては、モータースポーツでの戦いを有利に運ぶためにも、固定式のプロジェクター・ヘッドライトは必要な改良だった。加えて、製造コストでもメリットがあった。

NSXの大ファンだと認めるマイク・ジェームズ氏は、フェイスリフト後のモデルに取り憑かれた1人。走行距離を重ねたイエローのNA2型を購入する機会が訪れた時、逃すことなく掴み取ったと誇らしげに話す。

「自動車メディアの売買欄に掲載されていたんです。かつてF1ドライバーだった人物が8年もオーナーだったNSXで、過走行だと説明されていました」。と、出会いの瞬間をジェームズが振り返る。

走行距離30万km超でも快調

「NSXは以前から好きでしたから、前オーナーがジェンソン・バトンだろうな、と察知はしていました。イエローでフェイスリフト後のNSXは、英国には1台しかありませんからね」

「バトンの後に医者が購入し、毎日運転していたそうです。彼は走行距離を17万7000kmまで伸ばしました。自分が購入したのは10年前。今の走行距離は、30万kmを超えましたよ」

「英国西部のスウィンドンまで、定期的に運転していた時期もありました。4800km毎にエンジンオイルの交換をしていますが、今まで故障で落胆したことはありません。調子はとても良いですね」

「クラッチは27万kmで交換していますが、それ以外、目立った整備はしていません。ホイールベアリングも、サスペンションのブッシュやアーム類も、まったく交換は不要そうです。エンジンのリビルドも、もちろんしていません」

「エグゾーストは錆びたので、変えてあります。ホンダの純正部品は3000ポンド(約45万円)もするので、社外品のプライド社製を選びましたけどね」

「このクルマの前には、前期のNA1型も所有していました。その走りに、すっかり魅了されたんですよ。自分にとっては夢のクルマ。夢のクルマを手に入れて、実際に頻繁に運転する人は稀でしょうね」

「でも、NSXは想像以上に良かった。完璧でした。今まで色々なクルマを運転しましたが、どれよりもNSXが1番ですね」。と話すジェームズから、キーを預かる。

スーパーカーとして感心するほどの乗り心地

NA1型のNSXと同様に、フェイスリフト後でも運転は喜びに溢れている。速度域を問わず乗り心地は穏やかで、路面の起伏や橋桁の継ぎ目も充分に吸収してくれる。スーパーカーという基準で考えれば、感心するほど。

右足に力を込めると、突然様相が変わる。6000rpmを越えると一層意欲的になり、レッドラインへの接近とともにサウンドが共鳴するように響く。社外マフラーへ交換してあることも理由だろう。

NA1型のレブリミット付近のサウンドは、車内で聞いていた方が気持ち良い。だがジェームズのNA2型は、5kmくらい遠くにいる人まで楽しませることができそうだ。

16年という長いモデルライフを経て初代NSXの製造は2006年に終了するが、翌2007年、ホンダはフロントエンジンのアドバンスド・スポーツカー・コンセプトを発表した。スーパーカーへの関心を失っていないことを、アピールするように。

さらに2012年、V6エンジンを横置きしたNSXコンセプトをお披露目し、次期モデルへの期待を高めた。ホンダのF1レース撤退と同時に、V10エンジンを搭載した公道用モデル、HSV-010の計画がキャンセルされた過去はあったが。

2代目NSXの開発に携わったのは、ホンダのノースアメリカ部門。初代NSXプロジェクトに携わった、3名のエンジニアが在籍していた場所だった。

彼らが開発のベンチマークに選んだのは、アウディR8 V10プラス、ポルシェ911 ターボ、フェラーリ458 イタリアなど。初代NSXの開発には6年が投じられていたが、2代目は図面の制作開始から約3年と、短期間で仕上げられたようだ。

この続きは後編にて。

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