FF小型ハッチバックがラリー王者に化けた出世魚!
ランチア・デルタと聞いて、1979年にデビューしたFF時代の小型高級車をイメージするカーカニアもいると思うが、おそらく自動車趣味人のほとんどがラリーカーのベースとなったデルタHF 4WD以降のモデルを思い浮かべるはずだ。
デビューせずに終わった幻の「デルタS4」後継車! 「ランチアECV」の驚くべき中身とは
最終的に600psを超えたバケモノ「デルタS4」
ランチアが世界ラリー選手権(WRC)のために、スーパーカーブームの名脇役でもあった「ストラトス」を開発し、その後、グループB規定が導入されるとミッドシップ/後輪駆動の「037」を投入したことは有名な話だ。そして、ライバルメーカーが4WDマシンを開発し、その熟成が進んだことによって037が苦戦を強いられるようになる。
そこでランチアは、もともとはジウジアーロがデザインした実用的なファミリーカーであった「デルタ」を元に、ミッドシップ/4WDの「デルタS4」を開発。1985年シーズンの最終戦からこのニューマシンを実戦投入した。
デルタS4の戦績は13戦中6勝という輝かしいものだったが、1986年シーズンの第5戦ツール・ド・コルスでトップを快走していたヘンリ・トイヴォネンのデルタS4がコースアウトし、崖下に転落。炎上してしまい、トイヴォネンとコ・ドライバーのセルジオ・クレストが亡くなってしまった。そういったこともあり、重大事故が続発するグループB規定は危険すぎると判断され、1986年シーズンで終了。1987年以降は各メーカーがグループA規定にて選手権を争うことになった。
「HF 4WD」→「インテグラーレ」→「16V」→「エボ」と進化
1987年から世界ラリー選手権がより市販車に近い車両で争うグループA規定に移行したことにより、ランチアは「デルタHF 4WD」というスポーツモデルを追加設定。デルタHF 4WDをベースとして、アバルトが開発したグループA仕様で世界ラリー選手権を戦うことにした。
1988年シーズン途中からデルタHF 4WDを改良したデルタHFインテグラーレを市場に投入し、その翌年にさらなるバージョンアップ版であるデルタHFインテグラーレ16Vが登場。1992年にデルタHFインテグラーレ・エボルツィオーネをデビューさせている。
HFは「High Fidelity(高性能)」のことで、インテグラーレはイタリア語で「完全」を意味する言葉だ。世界ラリー選手権での戦績についても記しておくと、デルタHF 4WDからエボリューションモデルまでを擁したランチアは、1987~1992年まで連続でマニュファクチャラーズ選手権を制し、6連覇という偉業を成し遂げた。
ランチアのファクトリーチームは1991年シーズンを最後に世界ラリー選手権でのワークス活動から撤退したが、チーム運営がプライベーターのジョリー・クラブに任された。引き続きマシンの開発を担当することになったアバルトが、ボディを拡幅したエボリューションモデルを1992年の開幕戦から投入したことにより、前人未到の記録を達成することができた。
最終進化形「エボII」は1千万円オーバーのお宝に
良質なユーズドカーが1000万円オーバーで流通し始め、自動車趣味人の間で話題となった市販車のランチア・デルタHFインテグラーレ・エボルツィオーネIIは、デルタHFインテグラーレ・エボルツィオーネの後継車として1993年に発売されたモデルだ。「エボII」という名でも親しまれている。
ランチアが撤退したことにより、世界ラリー選手権に投入されることはなかったが、エボIIがデルタHFインテグラーレの最終完成形であるという解釈に異論を唱える者はいないであろう。1994年に発売された車体色イエローの限定車「ジアッラ」、車体色ブルーメタリック/イエローピンストライプの限定車「ブルーラゴス」、1995年にリリースされた最終ロットの限定車「レッツィオーネ」(正式名称:ランチア・デルタ・アッカエッフェ・インテグラーレ・エボルツィオーネ・ドゥエ・コレッツィオーネ・エディツィオーネ・フィナーレ)などを含め、「ランチア・デルタHFインテグラーレ・エボルツィオーネII」は全車が神格化された存在だ。
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みんなのコメント
デルタHF もイタ車らしく派手にトラブル起きてるようですが、、オウナーは我慢強く治して乗ってますね
。
一度だけランチアベータモンテカルロ(中古50万)を買うチャンスがありましたが、やはりご縁がなかっす