スバルWRXの「A-Line」が投げかけたもの
人気の高いスバルWRXを振り返ると、3代目WRX STIには、EJ20型2.0L水平対向4気筒ターボを搭載するモデルのほか、EJ25型2.5L水平対向4気筒ターボを搭載するA-Lineというモデルが存在する。WRCからニュルブルクリンク24時間レース、全日本ラリーやスーパー耐久などさまざまなモータースポーツで活躍したWRX STIシリーズのなかでも、A-Lineはプレミアムスポーツというコンセプトで、スポーツ一辺倒のWRXに一石を投じたモデルといえる。そんなA-Lineの魅力をお伝えしよう。
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「A-Line」には秘められたものがある
EJ20エンジンに、ドライバーズコントロールセンターデフを組み合わせるWRX STIは、じつは筆者の愛車でもある。これに対し、A-Lineは5速ATとVTD-AWDセンターデフ方式を採用している。違いが気になる近しさにあり思うのは、A-Lineはスポーツ走行を楽しめる仕様ながら、300psの高出力と低速から湧き上がるトルクの組み合わせが、MTモデルとは異なる“大人スポーツ”といった印象だ。 A-Lineは排気量が500cc拡大されているだけではなく、その回転フィールは”ブン回す”タイプのEJ20と比べ、広いトルクバンドにより、どの回転域からでもモリモリと加速していく印象だ。 タービンもMTモデルがツインスクロールであるのに対し、シングルスクロールのA-Lineは過激な印象が無く、フィーリングも穏やかだ。スペック上では最高出力も、最大トルクも2Lモデルにはおよばないものの、扱いやすく速度域を選ばずパワフルな印象。メーカーオプションのブレンボキャリパーの有無を除けば、張り出したフェンダーや低く構えたフロントフェイスなどMTモデルとの違いはほとんどない。それだけにステアリングを握ったときの印象の違いが顕著に感じられもする。
とくに、前期型では双方とも共通とされていたサスペンションセッティングも、後期型ではA-Line専用となり、後期型はキャラクターの違いによる棲み分けがしっかりなされているものになった、という印象だ。
長く乗るお付き合い深さの設定オプション
また、排気量やトランスミッションの違いだけにとどまらず、昔ながらの不等長エキゾーストが奏でる独特のサウンドも根強いファンからは支持されているようだ。 装備面も、基本的にはMTモデルと共通ながら、8ウェイパワーシートやシートヒーター、電動ガラスサンルーフといった快適装備のオプションなどが充実しているのがA-Lineの特徴。スポーツ走行には車両重量の増加はデメリットとされるが、ロングツーリングも快適にこなせるA-Lineには快適さも重視されており、MTモデルには設定のないオプションなども多数存在した。 ロングツーリング向けの装備としては、このほかにクルーズコントロールなどA-Lineならではの装備がある。この装備はGH型インプレッサのターボモデルでMTにも設定されていたこともあり、個人的には標準のWRX STIにもぜひ欲しかった装備だ。
A-Lineは名称こそWRX STIであり、そのスタイルもMTモデルと大きく変わることはないが、実際に乗ってみるとそのキャラクターの違いは歴然。とはいえ2ペダルでもWRXの名に恥じない高いポテンシャルを持つモデルとして、スポーツドライビングを愉しむユーザーにもおススメできるモデルだ。
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